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【STG】シューティングゲームで生産職 製品版  作者: 結城明日嘩
宇宙開拓時代(フロンティア)
198/200

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 フウカが先行してシールドに近づくと、閉じていた傘の骨が再び広がり待ち受ける。その先端には装甲板の代わりに大口径の粒子砲が取り付けられていた。

 そして傘の骨からムチの様なしなりを持った動きに変わる。フウカのファルコンを包囲するように動き、粒子砲を浴びせていく。

 フウカの空間把握能力をもってしても侵入口が見当たらないようだった。


『なんでやねん、サボりすぎ』

「へいへい」


 フウカに促され、俺も接近していく。とはいえV2は飛び道具がないので、本当に近づいていくだけだ。

 しかし、先程こっそり接近して死角から攻撃したのを覚えていたのか、傘の腕が敏感に反応。こちらにも攻撃してきた。


「わわっあぶっ」

『Do you want to do it many times!』


 ルーク様はご立腹の様だ。マーキングできる距離に近づくには、腕を何とかしないと駄目か。しかし、腕の本数がこっそりと増えている。今は8本が粒子砲を放ってきていた。タコか。


 触手モノの基本としては間を飛び回ってそれを追ってくる触手をこんがらがせて、蝶結びにしてやるって感じだな……と思ったが、飛び道具を持った腕は間を通るどころか、近づくことすら許されない。


『なんでやねんの鋭いツッコミが見てみたい』

「いや、流石に無理だから」


 8本の腕が4本ずつ、俺とフウカに割り振られ、十字というか、上下方向も加わった3方向から攻撃され、更に1本が遊撃的に違う角度から狙ってくる。

 視界から外れてしまい、死角になっているとかなり際どい回避を強いられた。




『お困りのようだな。タコの相手なら任せてもらおうか』


 攻め手を欠いているうちに、真紅の機体が現れた。コーラルボールのコアでチャンバラした機体だな。


『ハニーは、分身で気を逸してくれ。フウカは私のフォローだ』

『はい、お姉様』


 二度撃破された割には活き活きとしたBJの指示に従って、俺達は行動を開始する。




「ドローン展開、蜃気楼システム稼働」


 コアを積んだ少し大きめのドローンで蜃気楼を発生させて、ハミングバードを増やし、一定距離でランダム機動させつつ、タコへと近づいていく。


「!?」


 4本の腕による攻撃を避けながら接近していくと、レーダーに幾つもの影が映って慌てて避ける。


「機雷か!」


 分身を活かして本体のシールド付近まで迫ると、その付近に機雷がばら撒かれていた。V2には飛び道具がないので、仕方なく剣で斬ってみると大きく機体が揺さぶられる。


「やばっ、剣の間合いじゃ本体にもダメージを受けるぞ」

『ハニー、ちゃんと掃除してくれ』

「いや、武器がないんだけどっ」

『マスター、援護します』


 そこにシーナから粒子砲のバルカン攻撃が飛んでくる。


「あばばばばっ」


 剣で斬るよりはマシだが、爆発した機雷が近くの機雷を誘爆させて、レーダーが機雷と破片とで埋め尽くされていく。

 破片を剣で対処しつつ、機雷は避けながらバルカンを誘導するというかなりの力技で機雷原を掃除させられる。

 もちろん、腕による攻撃も止まる事はないのでそちらも避けないといけない。


「ムリムリムリムリ」

『さすがマスター、動きがおかしいです』

『どんな視界になってるのか分からない』

『ハニー、人外の領域だな』


 適当に言ってくる観衆の声をBGMにメインディスプレイとレーダーとで視界を揺らしながら、ほぼ直感だけで空いてそうな空間へと機体を滑り込ませる。ガス惑星で氷の欠片を避けまくった時の経験がなせる技だろうか……。

 いわゆるゾーンに入った状態で、感覚が研ぎ澄まされ、ディスプレイに映ったすべてを把握している様な感覚、全能感。


「時が止まってみえ……」


 まあ、そんな集中が長く続くこともなく、あっさりと限界をむかえて撃墜されてしまった訳だが。




 ホワイトアウトした視界が戻り、再びシュネーの艦橋へと戻っていた。二度目の撃墜だったので、クールタイムがやや長くなっており、戻った時には傘の骨のうち2本が切断されていた。


「どうなった?」

『BJのドローンカッターによって、足が2本切断されました。マスターのおかげで機雷が減ったので、ドローンを飛ばせたみたいです』

「なるほど」


 何度かBJが仕掛けてきた2体のドローンの間に、単分子ワイヤーを張って切断する攻撃か。

 ダクロンのタコもそうやって足を切断していって撃破したらしいので、実績は十分だ。

 ただルークもその攻撃を見切り始めたらしく、3本目はやらせまいと、足の動きが激しくなっていた。


「でも足の動きが激しくなっている分、射撃頻度は落ちてる感じか」


 そうするとフウカがするすると懐へと飛び込んで、傘の付け根に向かって攻撃を仕掛けている。本来のファルコンの攻撃力では、航行船の装甲は抜けないはずだが、BJのカスタマイズとフウカのピンポイント集中攻撃で装甲へとダメージを蓄積させていた。


「ならば最後のひと押しに参加しないとな。シーナ、バリスタの準備だ」

『はい、マスター』

「シュネーでマーキングするぞ」


 2機のハミングバードを失った俺には、もうシュネーしか残されていない。しかし、戦闘力という意味では、シュネーこそがウチで最強だからな。やってやんよ。




 しかし、ルークも災厄と呼ばれた海賊。一筋縄ではいかなかった。傘の柄部分が格納庫になっていたらしく、戦闘機が飛び出して来る。

 その数は3機、ドローンの制限と同じという事は無人機かもしれない。


「ルークも仲間がいないっぽいな」

『マスターの同類ですか、強敵ですね』

「いやいや、俺も最近はちゃんと仲間がいるだろ」


 6本の腕を相手にするBJと航行船本体を攻撃するフウカを見る。


『ついにBJさんも仲間と認めちゃうんですか?』

「はっ、いや、フウカやFoodsの人達の事に決まっているだろう!?」

『マスター、敵機が近づいています』

「うぉっ、大型3機かっ」


 高速に近づいてくる3機からレールガンが発射される。シールドを突き抜ける実体弾は、装甲に直接ダメージを受けてしまう。航行船だと撃ち落とすしかないだろうが、シュネーなら避ける事が可能だ。

 ……まあ、撃ち落とすだけの腕がないとも言う。


『Is that the guy at that time?』

「あんだって?」

『あの時の相手かと言ってますね』

「あの船の仇は取らせてもらうとでも返しといてくれ」

『アイアイサー』


 レールガンの弾を避けながら、戦闘機へと近づいていき、ぶちかましをかます。韓国チームにやったのと同じ手法だが、ルークにはまだ見せていなかった分、楽に接近できた。


『What is that movement!?』

「いっついーじー」

『マスター、発音が悪いから通じませんよ』

「うるしゃいっ」


 そう言いつつ2機目に近づいたが、すぐに対応されて避けられた。大型機だが機動力はそれなりにある機体のようだ。


「だがこの距離なら当たるぜ」


 至近距離から拡散型のレールガンを発射。ショットガンの様に扇状に広がった弾が、相手を捉える。


「あと1機」

『Disappointing...』


 その声と共に新たな機体が出撃してきた。まだまだストックがありそうだ。最大3機しか扱えない制限はあるが、撃破してもその分が補充される。

 となると航行船を撃破するしかないな。


「やる事は変わらない。シーナ、マーキングしに行くから射線を確保しておいてくれ」

『はい、マスター』


 交戦エリアから少し離れた所で待機するコンドルからのバリスタが切り札だ。


「さーて、無人機について来れるかね」


 シュネーの最大機動でルークの航行船へと接近していく。

ついにコロナに感染してしまい間があいてしまいました……

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