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【STG】シューティングゲームで生産職 製品版  作者: 結城明日嘩
宇宙開拓時代(フロンティア)
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 BJの操作するオパ2は、軽快に重力場を避けながら災厄(ルーク)へと攻撃するが、リング状粒子砲は直撃しても大したダメージは与えられない。

 それが分かったルークは、回避よりも攻撃を優先するが、的が小さく小型軽量のオパ2を捉えきれない。

 膠着状態に陥っているが、このまま続けば重力場に質量弾、大口径粒子砲を駆使して攻撃できるルークの方が有利になっていくだろう。


 いつの間にか韓国チームは姿を消し、重力場が乱れ飛ぶ戦場にはBJと俺だけが残された形だ。戦艦を諦めれば逃げ出せるか……いや、重力場を操る相手から逃げ切れるかは分からんな。

 いや、戦艦か……1000m級の戦艦の側なら次元航行システムの干渉で重力場を上手く使えない可能性があるな。


「という事で、あの戦艦を盾にするぞ」

『了解だ』


 ……が、ルークの取った行動は、戦艦への超質量弾による攻撃だった。至近に重力場を生み出せなくても、要塞砲でも破壊不能な強度を持つ弾が容赦なく戦艦を叩き壊していく。

 戦利品が壊されるだけなので慌てて離れるしかなかった。


「打つ手がないぞ……」




 そんな戦場に新たな機影が迫ってきていた。

 高速で飛来したそれは、ルークの機体へと体当たりを敢行。ただルークはそれをあっさりと避ける。しかし、その機体から飛び出したドローンが、ルークの周囲へと展開され誘導性能の高いミサイルの様に、ぶつかろうと迫った。


『What's!! New intrusion?』


 小型のドローンは、重力場の影響を受けにくく、ミサイルよりしつこくまとわりつく。ただし、動きは単調なので、ルークが後方に引きながら攻撃していくと、落されてしまった。

 その様子を見ている隣へと、真紅のファルコンが飛来する。


『……来ちゃった』


 このレイドで海賊を多数撃破したのだろうホワイトネームへと復帰したフウカだ。

 機体をバレルロールさせて存在をアピールしてくる。ホワイトに復帰したことで、俺を避けてきたのも解除ということだろうか。

 こっちは気にしていないのに、変に頑固な奴だからケジメをつける必要があったんだろうな。


『フウカ、下駄を借りるぞ』

『ん』


 そして攻め手に欠けていたBJは、フウカが追加ブースター兼コンテナとして使用していた機体を回収し、自分の追加装備として利用するつもりらしい。

 フウカの乗る真紅のファルコンもこのコンテナブースターもBJが作成者なので、互換性を持たせてあったという事か。


『お、レールガンもあるね。ありがたく使わせてもらおう』

『お姉さまがいるのは分かってたから』

『うむ、フウカは良い子だな』

『ん』


 コンテナブースターに乗っかったオパ2に武装が付けられていく。どうやら元ネタを踏襲して、成長する機体がコンセプトらしい。


『それじゃあ、役立たず呼ばわりされた汚名挽回といこうか』


 師弟で災厄(ルーク)へと向かっていく。追加ブースターに積まれていたドローンを使って攻め手を増やしたBJに、かつてはそこへと身を寄せたフウカ。その連携はトッププレイヤーらしい強固なものだ。


『Haha, entertain me!』


 鋭い機動で迫る2人に、ルークも手強さを感じたのか、重力場を展開しながら、攻勢を掛け始めた。




「倒してくれたら御の字だが、俺としては重力場を解析しないとな」

「次元震のデータを表示します」


 ルークの乗る機体は大型機だが機動力もある。超質量弾以外にも大口径粒子砲などを攻撃手段として使える。

 対する2人は小型機だが、ノーマルにこだわっていたフウカもBJの手でカスタマイズされた機体で攻撃力を増しており、コンテナから武装を回収したオパ2もレールガンで攻めていく。


 互いに位置を入替え、重力場を利用しながらの攻防は一進一退。正直、あの中に入ってのドンパチは俺には無理だろう。なんで重力場に引っ張られながら、問題なく動けるんだか。


 見ている分には、トッププレイヤーの対人戦は面白いが、こちらに飛び火する可能性もある以上、俺もできることを進める。

 次元震の出現と重力場の発現。消失。

 それらが入り乱れて起こる戦場は、次々にサンプルが集まっていく。


「次元震の強度は一定かつ波形も酷似してるな」


 つまり5つほど同時に発生する重力場は、同じ次元航行システムにより制御されている可能性が高い。

 となるとやはり連続的に使用してくる部分がネックとなりそうだ。重力場というか次元震が連続するのを見るうちに、記憶に引っかかるものがあった。


「次元空間を利用して攻撃してくる……そんな奴がいたな」


 初期星系で戦った他次元生物の中に、次元の狭間(はざま)に潜み、触腕を伸ばして攻撃してきた奴がいた。次元航行を探ってる時に再度戦っていたのを思い出す。


「奴は連続的に次元空間からの現出を繰り返していた。となればヒントとなりうるだろう」


 つまり、本体は次元空間に残したまま、部分的に現出させれば、一回の航行とは見なされず、途中で引き返した場合は、再度別の所に現出する事ができる。

 何か回数を数えるところで発生しているバグのようにも思えるが、他次元生物もやってることを考えれば仕様なのか。

 3次元空間から高次に突入するのにエネルギーが必要で、3次元に戻るのは大したエネルギーは要らないとすれば理論として辻褄は合わせられるかもしれない。

 ……となると、次元航行する際に、次元空間で留まってチャージを終えてから、3次元空間に出れば星系での滞在時間は削れるかもしれないな。

 直ぐにでも実験したいところだが、今は戦闘中。それに多次元航行を連続使用できる事が分かってもルーク攻略には至らない。

 重力場攻撃を阻止する手段が必要だろう。



 再び戦闘へと目を向ければ、フウカのファルコンがルークへと攻勢を掛けている。フウカのトッププレイヤーとしての能力は、目の良さ、空間認識の優秀さだと俺は思っている。

 最小限の動きで相手の攻撃を避け、攻撃できる時間をより長く、そして相手の動きを見てポイントをずらして当て続けられる技量は、マネのできないレベルだ。


 ルークの乗る大型戦闘機相手に、小型戦闘機の中口径粒子砲なんかは何発当てれば良いのやらレベルの性能差がある。しかし、フウカの技術で同じ場所を何度も攻撃していれば、シールドに穴を開ける事すら可能なのだ。


 それを嫌ったルークが重力場で粒子砲を曲げて回避すると、重力場同士の中間点を通して影響を消し、真っ直ぐにルークへと当てる。

 機体をどの位置に置いて、どの角度で攻撃すれば影響を受けずに命中させられるのか、それを瞬時に判断できるのは超能力と言ってもいいんじゃないだろうか。


 ルークは重力場の継ぎ目を狙われると認識すると、一つの重力場の真後ろへと逃げ込む。するとフウカは、重力場に引っ張られて曲がる弾道を認識し、曲げることで重力場の後ろにいるルークへと当て始めた。

 やっぱり頭おかしい。(褒め言葉)


『All right. But, no power!』


 ペシペシと弱攻撃を受け続け、それでも着実にダメージを積み重ねられたルークは、重力場で加速して一気にファルコンへと肉薄する。

 フウカもそれは見ているはずだが、反応が鈍い。

 小型機であるファルコンが、大型戦闘機の体当たりを喰らえばどうなるかは想像に容易い。


『私の可愛い妹に手を出すとは不貞な輩ですことっ』


 しかし、その遅れはフウカとBJが仕掛けたトラップだったのだろう。フウカの周囲に配置されていた電源を落された状態のドローンが起動、ルークへと突撃していく。


『Shit!』


 舌打ちしつつ反射で撃破していくルークの腕ももちろん高い。ドローンを避け、壊し、突進を止めない。小型機で機動力を強化されたファルコンとて今から逃げたのでは間に合わない。


『リンダ』

『はい、お姉さま』


 更にそこへと鳥の尾翼を形成していた追加ブースター3機がジャミングを仕掛ける。レーダーを阻害した上で、レールガンを使っていく。かなり鬼畜仕様な攻撃だ。

 重力場に翻弄され、鳥型をやられた恨みが込もっていた。


 ルークの戦闘機も翼を広げ、突進を諦めて回避に入るが、BJの攻撃はそんなに甘くない。翼がちぎれ、胴体へと命中弾が増えていくと、ルークの戦闘機が撃破されるのは時間の問題だった。

ネタに困りながら読んでた他人の作品

『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい』

ゲームの世界へ飛び込んで無双するハーレム主人公な話。

ちょっと主人公が強すぎて趣味じゃないんだけど、SF系は少ないので読んでます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 重力場の数が固定だからチェスで言うキャスリングみたいな使い方でもしてるのかと思ったけど違ったようで そして久々登場したけどフウカがヤバかったwきっとフウカの後ろにはキュピーンと効果音ならす…
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