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【STG】シューティングゲームで生産職 製品版  作者: 結城明日嘩
宇宙開拓時代(フロンティア)
150/200

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 平日はポチョのシールド合体機の実現に向けて、色々とパーツを作製して過ごす。エキスパンションキットが発売となる木曜日には引き渡せる予定。

 ポチョは新星系に行けない分、撃破任務で腕を磨くとのこと。シールド合体機で、アクティブシールドとシールド機を同時に使用する方向で検討しているようだ。

 シールド機は基本動かずにエネルギーシールドを維持するのが役割。それを補助する形でアクティブシールドを操作するらしい。

 ダメージを受けるとエネルギーが食われて、徐々に回復はするものの、ダメージを受け続ければ回復が追いつかなくなるので、それまでに打開しなければならない。

 ただコバンザメ相手にシールドで立ち回れたのが自信になった様だ。アクティブシールドに刺突槍を持って、本当の騎士の様なスタイルになった。

 鮫皮装甲も備えて、少しコアパワーに不足が出そうだったので、こっそりと拡張コアで補強している。




 そしていよいよエキスパンションキットの発売である。といって流石に会社を休むほどではない。せっかくの新要素、余計な情報は入れるまいと、掲示板などは確認せずに、昼休みはフレイアちゃんの新曲を聞きながら過ごした。


「というか神歌万唱じんかばんしょうの声が凄いな」


 デビューはフレイアちゃんの方が先なのだが、万唱の方に貫禄を感じる。2人が競い合う様なデュオ曲なのだが、アップテンポで畳み掛けるフレイアちゃんを、万唱が受け止めてる感じだ。


「でも曲としてまとまってるし、テクノ調は維持されてるからBGMとしても心地よいな」


 うむうむ。またMVデータを購入しておこう……握手は諦めるが。




 楽しみにしながら帰宅。エキスパンションキットを購入して、最新データをダウンロード。ついでに新曲のMVもダウンロードしておく。


 先に食事やら入浴を済ませて、寝るだけの状態でログイン。まだ明日も仕事なので、夜ふかしはできない。悲しいけど社会人なのよね。


「おかえりなさい、マスター」

「ただいま。ぱっと見は変わらないな」

「パーソナルルームに変更はないですね。やはり次元の狭間に入って、胆石の情報から星系を見つけるのがウリですね」

「問題は、時間が必要そうなんだよな。ということでMVを観よう」

「それからなんですね……」


 昼休みにも聴いた新曲のMVを堪能する。フレイアちゃんの新コスであるワンピースによるダンスと、シャツに短パンにサスペンダー姿のフレイくんが、シルエット状に声を響かせる万唱に挑んでいくイメージビデオになっていた。


「万唱って魔王か何かか?」

「さて?」


 地の底から響くようなビブラートの効いた声は、確かに悪者が似合うのかもしれないが。


「プレイヤーだと聞いていたが、アバターもNGなんだ」

「プレイを変えたくないのかもしれませんね」


 確かに今まで一緒に遊んでいた相手が、歌手デビューとなれば接する態度も変わってしまいそうだ。連合崩壊の危機にも繋がるかもしれないし、身バレは良くないかもしれないな。


「でもファンなら声だけでわかっちゃうかもだな」


 ま、俺には関係ないか。

 その後、シールド合体機をポチョに引き渡す。


「そういえば、霧島さんは、艦隊戦どうするっすか?」

「艦隊戦?」

「あれ、公式見てないんすか?」

「昼には見たけど……」

「ああ、夕方に更新されたみたいっすね」


 シーナのタブレットでイベント情報を確認すると、今週末に艦隊戦が行われるらしい。


「いきなり艦隊戦って凄いな」

「船の購入を促したいって感じっすかね」


 エキスパンションキットに合わせて中型コアやそれを使用する船の販売が開始されている。ただ戦闘機に比べるとかなり高いので、レンタルやローンといった方法もあるらしい。


「ゲームの中で借金生活って……」

「今度の艦隊戦で敵艦を拿捕できたら乗艦にできるらしいっす」


 今度のイベントは、次元航行が可能となって開拓時代に突入するという段階で、地球の大国がその利権を狙って、開拓ステーションへと侵攻。その管理に乗り出してくるというストーリーだ。

 もし負けたら決められた航路を攻略する制限が付くのだろうか。


「某国からクレームが出そうなストーリーだな」


 そしてSTGの母国は好きそうなストーリーでもある。


「しかし、敵艦を拿捕できそうになったら、自爆するとかないよな……」

「そんなマスターみたいな事はしないですよ」

「一攫千金を狙って拿捕にいくチームも結構あるみたいっす」


 かくいうポチョも新型シールド合体機で艦橋へと特攻、ワンチャン狙いそうな雰囲気だ。


「船の交戦能力を奪って、安全圏まで曳航できたら拿捕成功って感じっすね」

「艦橋を壊して、マンタみたいなので引っ張る感じか」

「シールド機のパワーなら中型船くらいは引っ張れそうっす」


 元々戦闘機の中では大きなコアを持つシールド機ならそれも可能だな。


「これまた盛り上がりそうだな」


 話し込んでいるうちにログアウト時間を迎えたのは少し失敗だった。




 金曜日はしっかりと予定を立てつつ仕事をこなし、帰宅後に艦隊戦への準備を行うことにした。

 今回のイベントはAlphaサーバーで行われるらしく、フレイアちゃんの所属するヴァルハラ連合が中心になるとみられる。旗艦はスキーズブラズニルというらしい。

 フレイアちゃんの攻撃力を最大限に発揮すべく、多数のミサイルが内蔵された艦である。


 敵艦隊は100隻を越える大艦隊。プレイヤーサイドは30隻の大型船と、中型船がそれなりの数を揃うらしい。


「俺は船は用意できないし、レンタルする気もないから単機で参戦かな」


 それでもワンチャンを狙うために仕込みを行う。次元空間を利用してショートカットでの、ソルレーザーの運用だ。

 タイムラグが無くなれば、数分間の継続攻撃というのは強いはず。まずはFoxtrotで試験運用を行う。エキスパンションキットのアップデートによって、封印されていたショートワープが解禁されたので、その辺の使い心地も試していく。


 ハイドロジェンのハンマーヘッドに積んだ拡張コアにより得たエネルギーゲインを、次元を渡るための機構に回して使用する。


「まずは星系内のショートワープからだな」


 クジラのヒゲを利用したコーティングで、省エネできるようになったので、チャージ時間が短く済むようになっていた。


「まあ、ある程度時間が必要だから、連続使用はできないな」


 ステーションを発進して、第1惑星の側へと転移ワープする。今までは何分もかかっていた距離を一瞬で移動できるのはかなり便利だ。

 ミラードローンを配置して、ゲート機構を持ったドローンも設置した。極小コアを積んだドローンは、短時間だがゲートを開く事ができる。戦闘機が通るほどの穴は作れないが、光の束を通す事くらいはできるはず。


「後は出口をハイドロジェンの方で作ってやれば、ソルレーザーを使えるはず」


 運営が制限を掛けたいのは無制限に撃ち続けられる状況のはずなので、ゲートを開く時間が限られる以上、これは制限されないはず。


 第2惑星軌道付近の小惑星帯に移動し、ゲートを開いて電波を通し、ミラードローンへと指示を出す。ミラーパネルが展開されて、向こうのゲートドローンも起動。収束された光の束が、ゲートを通ってハイドロジェン側の空間から射出された。

 小惑星の一つへと吸い込まれ、熱し、溶融させていく速度は、ヒートブラスターによる採掘よりもかなり早い。


「戦闘よりも採掘利用が良さそうだよな」


 準備に手間が掛かって、射出口は簡単には移動できないので、攻撃に使用しようとしても回避はしやすそうだ。

 機動力の低い戦艦や動かない小惑星向きの攻撃となるだろう。


「何にせよ、使えそうなのが分かっただけでも良かった」


 自分の戦闘力を確認し、金曜日はログアウトした。

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