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【STG】シューティングゲームで生産職 製品版  作者: 結城明日嘩
宇宙開拓時代(フロンティア)
132/200

113

 レイドのリベンジが終わり、プレイヤー達には様々な衝撃が走った。レイド中には見てない者も多かったが、動画が拡散するにつれ波紋を呼んだ。

 STGに戦艦が導入されていた。

 その衝撃は国内にとどまることはなく、海外サーバーでもそれぞれに戦艦を作るべく動き始める。


 しかし、ステーション用工作機械で外装や内装を整える事はできても、大型コアを入手する手段が見当たらなかった。

 その情報は日本サーバーの海賊王によってもたらされる。


「ダクロンのこの座標にいる大型他次元生物から採れる。しかし、覚悟せよ、運営は取らせる気はなかったと思わせる難易度だ。これを撃破できる者は私と肩を並べる事になるであろう」


 レイドでの賭けに負けた海賊王は、成金王の要請に応え、大型コアの採取場所を公表したらしい。

 しかし、本人が言ったようにダクロンでのバトルは多くの屍を築き、クリアできた者は現れていない。




「海賊王と成金王がグルではめたとかって話になってしまったな」

「僕は情報開示を求めただけで、一応BJも誠実に応えた結果なんですけどね」


 ダクロンで確認された敵は、視界の利かないダクロンでレーダーに映らないという反則な代物だった。果敢に挑んだプレイヤー達は、犠牲を払いながら場所を特定し、攻撃を加えるところまではいったものの、粒子砲もレールガンもミサイルも効かない。

 倒し方が未だに判明していない状況だ。

 BJいわく、運営はクリアさせる気がなかったはずだという評価。まっとうな手段では撃破できないだろうとの事だ。じゃあどうやって倒したんだと聞いてみたが、付き合ってくれたら教えるとか、ふざけた事を言ってきたので無視している。


「となればもう一つの手段の方が可能性は高いという訳だ」

「まあ、あの銛も動画で拡散しましたしね」


 見えない敵を撃破するよりは、見えているスカラベを撃破する方が可能性があると、再びスカラベ撃破を狙う連合が増えている。

 その中でもカタパルトを利用して銛を撃ち込む方式が模索されていた。しかし、カタパルトを起動するのに十分なエネルギーを確保できずに頓挫している状況。


 俺が一週間かけて修復した空母を待ち望む声は多かった。幾つもの手伝いの申し入れがあったが、自分の物を他人に任せる気にはならず、待ってもらう形にした。

 その時間、様々な連合がダクロンやグラガンでトライを繰り返し、被害が拡大してしまったので、俺に対する風当たりが強くなってしまっている。


「そういえば、海賊王の拠点から回収するって方法もあるのでは?」


 俺は鳥籠と名付けられたBJの防衛機構から大型コアを回収した。その事はキーマさんを通して知らせて貰っている。


「それこそ海賊王に撃破数を稼がせるための罠って話になっているぞ」

「えー」


 俺が海賊王に利するとかありえないんだが、なぜかそういう話があがってくる。ネットというのは適当すぎるな。


「ま、今日でFoods連合にも大型コアを渡せるはずなんで、そうなれば矛先は逸れるかな」

「スカラベのリポップ間隔によるな」

「確かに」


 未だ撃破報告のないスカラベを倒してから、次のスカラベが出るまでの時間は誰にも分からない。いやまあ運営は分かってるんだろうけど、そんな情報は出してくれないしな。


「それじゃ行きますか」


 キーマさんを銛の狙撃手として乗せて、俺達はグラガンのスカラベを倒しに向かった。




「まあ、簡単なはずがなかった」

「数を集めるのは大変だな」

「倒している間に精度が上がる……といいですねぇ」


 銛を撃ち込まれたスカラベは、一撃撃破とはいかずにこちらへと襲いかかってきた。空母の船体がいきなり終わる様な事はなかったが、何度も体当たりを仕掛けてくるスカラベに対して、周囲に展開した俺やFoods連合の攻撃チームが集中砲火。

 銛によって装甲が剥げた場所にダメージを与える事に成功して、何とか撃破することができた。


「ようやく修復した空母がまた全損かと思いましたよ」

「ちょっと銛の威力を過信したな」

「まあ、あえてコアを外す攻撃をしないといけなかったからですかね」


 大型コアを入手するのが目的なので、コアを撃ち抜いてしまっては意味がない。心臓であるコアを破壊できれば、もう少し楽に倒せるはずなんだが。


 スカラベが運んでいた小惑星の塊へと空母を横付けし、採掘を開始しつつ破損箇所の修復にあたる。まあ外装のみなので張り変えるのには、それほど時間はかからないだろう。

 その間にFoods連合により大型コアが運ばれてくる。空母に積んでステーション側で建造中のFoods連合の船に設置予定だ。


 レイドに参加した主要連合は、軒並み俺に対して大型コアの採取を要請してきた。もちろん、それぞれに戦力の貸与はあるものの、中心となるのは銛による攻撃だ。Foodsの船が完成すれば、作業の分担はできるだろうが、少なくとも今週末はうちの船がフル稼働するしかないだろう。


「まあたっぷり資金コストをもらえるからやるしかないか」


 空母のレンタルにより、各連合からはそれなりの額が集まっていて、レイドのために吐き出した資金を回収しつつある。

 お金をもらった以上は、働かないといけない。社畜根性で踏ん張るしかないな。




「これでミサイル作り放題、撃ち放題なんですね!」

「ま、まあ、材料さえあれば……」

「ふふっ、これがレイドでもあればもっと撃ち落とせてたのに」


 主要連合の中には当然、作戦の中心にあったヴァルハラも含まれていた。フレイアちゃんを艦橋に招いての会合には、どうしても緊張してしまう。


「マスター、鼻の下が伸びすぎですよ」

「そ、そんな訳ないだろ……」

「ほら」


 そうして差し出されたタブレットには俺の顔が。その鼻は長く伸びて……。


「ってガネーシャやないかーい」

「ナイスツッコミです!」


 会心のサムズアップを見せるシーナに叫ぶと、無駄に入っていた力が抜ける。悔しい。


「へえー、その子がシーナちゃんなんですよね。ホントに人間みたいー」


 フレイアちゃんの興味は新しい船の図面から、シーナへと移った様で詰め寄っていく。さすがのシーナも戸惑う……事はないのか。いつものクールスタイルで受け答えしていた。

 シーナはAIとして成長したためか、かなり人間っぽくはなっているが、アクティブアイドルであるフレイアちゃんと並ぶと、やはり作り物感はあるか。




「霧島さん、すいません」

「ん、ああ、フレイくんか」

「フレイアが騒いでしまって」

「いや、シーナを追い詰めてくれるのはありがたい。いつもグサグサやられてるから、押し込まれるシーナを見れるのはレアだよ」

「そうなんですか……あの、それとは別件なんですが」


 やや控えめに切り出してきたフレイからは、戦闘機のカスタマイズを依頼された。どうやら突入チームの動きの変化から、その要因を聞き、俺に機体をいじって欲しいとの事だった。

 彼の乗るアクティブシールドは、相手との射線に機体を滑り込ませ、シールドで受けるスタイル。機動力がその成否に大きな影響を与えるだろう。

 前回のレイドで空母を守る際に、その役割を果たしたポチョムキムキンも、カスタムによる操作の変化は気に入ってくれていた。


「ああ、それは問題ない。というか、そっちが俺の本業だからな」

「お願いします」


 戦闘の手助けは俺の仕事じゃないんだよな。

 機体のカスタマイズが流行れば、それで稼ぐのも手だな。そのためにもフレイへのカスタムを成功させなければならない。

 幸いにしてスカラベを撃破した際に、多くのレア鉱石が手元に入ってきている。色々試作するには十分な状況だ。

 BJがこのまま大人しくしているとも考えられないし、対抗手段を模索するにも色々なプレイヤーの意見を聞けるカスタマイズは有効だろう。


 これは忙しくなるな。

もしかして章説明にネタを仕込んでも読者からは見えないのか……?

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― 新着の感想 ―
[一言] 章説明、あれ自分用のメモでしかないんですよね
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