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103話にてハミングバードの性能を見せる為の戦闘サンプルをBJの基地攻略としていましたが、ダクロンでは視界がなくて映像も取れないので、フウカとのバトルに差し替えました。

推敲が足りず申し訳ないですorz

『まずは前回のレイドについておさらいしておきます』


 進行役のプレイヤーが、映像を出しながら流れをなぞっていく。

 レイド開始と共に現れた衛星型要塞。色々と命名案は出たらしいのだが、最終的には珊瑚玉コーラルボールで落ち着いたらしい。


 小魚タイプの他次元生物を多数排出し、表面にあるフジツボ型砲台からレールガンの様な弾を発射してくる。

 その衛星が、徐々にゲートへと近づいてきて、攻勢も激しくなっていく。コーラルボールから出てくる小魚の量は変わらないが、撃破するまでの余裕は減っていくので、徐々に押し込まれる形になっていく。

 やがてゲートへと到達すると、レイドは失敗となってしまう。


 続いてクリア条件の確認に移る。

 コーラルボールに開けた穴から侵入していく映像が映し出された。何度か見た映像ではあるが、珊瑚の森をくぐり抜けていくのは、かなり勇気がいりそうだ。そこで怯んで減速すると、珊瑚の脇に隠れたフジツボから砲撃を受ける。狭い空間で狙い撃たれたら直撃を食らうか、珊瑚にぶつかり自滅するか。

 ルートを見つけて一気に駆け抜けるしかない。


「ガス惑星と違って物理的な障害だから許容範囲が狭いよな……」

「どうかね。俺としては目に見える方がありがたいが。ガス惑星は見えない流れがたまにあるし」


 突入チームの中でも意見が分かれるところのようだ。戦闘機を改造して、乗りやすくなるようにチューンナップを施していっているが、速度も向上している。狭い空間を駆け抜けるには、相応の技量が必要だ。


「とりあえず船体を固めて、慣れていくしかないな」

「だな、そろそろ作業が終わるし、タイムアタックに行ってくるわ」

「会議はいいのかよ」

「俺達の役割は明確だから、作戦練るより機体の習熟度上げる方が大事だろ」

「そういうこったな」


 工作機械により、パーツが取り付けられると、すぐさま発進して感触を確かめに行く。模擬戦をやる者もいれば、ガス惑星へ突っ込んで確かめる者もいる。突入チームを組んではいるが、やはり個の集団といった雰囲気だ。


「最終的にはそこがポイントになるかもしれないな……」


 個をまとめるには、より強烈な個が居た方がまとまりやすい。前回のレイドではそれがフウカだった訳だが、今のリーダーにそれが務まるのか。いや、そこは任せるしかないな。

 空母を隠す気がなくなった時点で、俺は突入部隊に入るのは諦めている。やるべきは彼らが成果をあげるまでの時間を稼ぐ事。そのためには他次元生物用ジャマーを切って、小魚の囮になるくらいの覚悟は決めている。




『ここがコアだ。小魚の群れに守られていて、ファルコンの体当たりでもビクともしなかった』


 フウカが最後の手段として体当たりする様子が映し出されていた。ということはこの映像は、リーダーが撮った映像か。そのリーダーはというと、まだ会議場にたどり着いてないわけだが……ちょっと遊び過ぎじゃないかね?


『すまん、遅れた。渋滞に巻き込まれてな……』

「はい、ウソー」


 シーナから特に連絡もないし、予想外の事態が発生した訳ではないだろう。

 リーダーの顔は謝りながらも、表情はどこか晴れやかになっている。まあ、あの加速感は既存の戦闘機にはないから、スピードジャンキーにはたまらないだろうけどな。

 ハンマーヘッドを丸々推進機として利用しているので、直線的に加速する力はずば抜けている。車で言うならドラッグカーの様なものだ。

 目的地に到達するのは速いが、汎用性は減ってしまう。400km/h出せたとしてもサーキットを走行するには向かないのと一緒だ。

 そこをハミングバードを分離する事で補えている。


『まあいいです。突入部隊の準備はどうですか?』

『絶賛準備中だ。前回よりは働ける事は間違いない』


 まあ、前回はスタートの時点で遅れていたからな。ガス惑星でのタイムアタックで、操作技術に長けた者が、戦場におらず呼び集めるのにロスがあった。

 それを除外しても、機体性能の向上で攻略速度は上がるはずだが。


『大丈夫そうか?』

「皆それぞれに個性的で求めるものが違ってくるんで、大変ではありますが、考え方はしっかりしてるんで大丈夫かなと」


 キーマさんの問いかけに答える。

 今までは機体を調整するより、パイロットの腕でカバーしてきていたが、いざ調整できるとなると欲は出てくる。こちらとしてもできる限りは答えたいが、ノウハウがそれほどあるわけでもないので、どうしても時間はかかる。

 とはいえパイロット自身が慣れる時間も必要なので、今夜中には改装を終えるつもりだ。




『では本題と言うべき、海賊の動向です。最も大きかったのは、BJと呼ばれる海賊によるレーダーへの妨害でした』

『成金王のせいじゃないのか!』


 司会の声に、会場からブーイングの様な声が起こる。


『こちらに映像があります』


 かなり望遠したのか、詳細はわからないが後方が大きな戦闘機が飛来。後部のコンテナが開き小さな破片が飛び始める。


『映像分析にかけてクリーンにした画像がこちら』


 先程より鮮明になった画像が表示され、真紅の戦闘機が見て取れる様になる。ミサイルポッドの様に射出口の並んだコンテナから、マルチドローンを打ち出す仕組みになっているようだ。

 よく見ると、何発かのミサイルが脇についている。あれは赤外線探知なのだろう。


『こちらが成金王が愛機にしているハイドロジェンと呼ばれる機体です』


 Foods連合から提供された愛機の姿がそこに映される。血のような深い紅のBJ機に比べると、茹でガニの様な朱色の機体だ。ハンマーヘッドに咥えられる様にハミングバードが付いている姿は、BJのものより細長くスリムに見える。


『そんなの2機持ってるだけかもしれないだろ』

『成金王とフレンド登録していた者は、レイド中に成金王がダクロンにいるのを確認している。それを信じられないというならそれでも構わないが、我々は成金王の力を借りる形で作戦を考えている』


 直接の面識はない司会進行を務めるプレイヤーがそんな事を言ってくれる。隣では突入チームのリーダーが頷いていた。

 主要メンバーの中では、俺に対する一定の評価はあるようで、少し感動してしまう。


『今回、Foods連合から提供させてもらった熱源探知式のミサイルも元々は成金王からの情報提供だ。それを信じられないなら使わない事をお勧めする』


 キーマさんもそんな風に続けた。既に効果が分析され、デフシンの小惑星帯に生える海藻によるレーダージャマーに対しても、一定の効果が認められている。


『それはジャマーの特性を理解してたからで……』

『だから使わないことをオススメしている。どのみち熱源探知式はフレア弾で無効化されたり、乱戦で味方を誤認したりと、問題は多い。ジャマーが無ければ、今までのミサイルの方が利便性は高いからな』


 普段は柔和なキーマさんが、特務曹長らしい威厳のある雰囲気で場を制した。

 静まった会場の様子に、進行役が言葉を紡ぐ。


『BJのジャマーは、この小型ドローンにより行われている』


 レイド後に回収されたドローンも解析され、エネルギーをチャージするとレーダーを妨害する事も確認されているらしい。


『先のレイドでも実際にレーダーを阻害されたのは、フレイアちゃんの周辺だけだった。それでも対他次元生物の主戦場だったから影響は大きかったわけだが。このジャマーが原因だと分かっている今なら、狙って破壊する事もできる』


 司会の説明にキーマさんが頷く。ジャマーを発動している間は移動できない様なので、狙撃手の出番という事だろう。


『BJにとってもこのジャマーは奇襲手に過ぎず、手の内がバレたら通用しないのも分かっているだろう。さらなる奇策も考えられるので、その可能性を極力潰しておきたい』


 混乱を招くであろうフウカの寝返りは伏せられる事になったようだが、それでもBJ以外の海賊が来る可能性は高い。

 それらの懸念事項に備えるべく、会議が本格的な議論へと入っていった。

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