64. 異世界262日目 古代遺跡を探索
島上陸13日目
昨日で海賊が使用していたと思われるエリアの調査は完了したので今日はそれ以外のところの調査をすることにした。まず開いていない扉からだ。
魔法の鍵の解錠についてジェンといろいろ話してみるが、なかなかイメージがわかない。イメージとしては魔力の種類に反応する感じなので、地球で言う指紋認証のような感じなのか?ということは魔力が一致しないと開かないと言うことになるよなあ・・・。
小部屋のある部屋の入口が開いていたのはもともと開いていたと考えていいのだろうか?そうでないと簡単に解錠できるとは思えない。 魔力については一人一人違うから魔力をあわせるというのは無理があるだろう。
扉には魔力を感知するようなプレートが貼られているのでここに魔力を流し込めば認識して開くと思われる。プレートを鑑定してみると、登録した魔力で解錠できる、または魔力登録の際の暗証番号を入力すると出ている。暗証番号は全部で8桁らしいんだが、暗証番号は5回間違えると一定時間使用できなくなるとなっているので、どう考えても順番に打っていくこともできない。
「これって解除する方法はあるのか?」
考えられる方法は登録されている魔力を再現することだ。ただ魔力を調整できたとしてもどのくらい試さなければいけないかも分からない。魔力を調整するにしても暗証番号と同じようになる可能性もあるからなあ。
「普通に考えたら簡単にはできないでしょうね。そんなに簡単だったら鍵の意味がないし。
地球でもカード式の鍵はそう簡単には破れないわよ。もしできるとしてもそういうことに詳しい人に聞かないと無理でしょうね。教えてもらえるかは別にして。」
「あとは鍵のようなものを見つけるとか、パスワードを見つけるという方法だが、あるとしてもこの扉の中だよなあ・・・。」
他の閉まっている扉はすべて同じ感じで開けることはできなかった。とりあえずなんかいい方法が見つかるまでは放置するしかないだろうなあ。魔道具で魔力を調整する道具とかってあるのかね?
昼ご飯の後、入ってきた入口が気になったので確認してみる。土魔法で加工できる部分を除いていくと、土魔法で加工できない部分が引きちぎられたように残っていることが分かった。
「やっぱりここは元々入口ではなく、通路の途中だったと言うことか?ということはこの西にも地面があったと言うことなんだろうか?地殻変動?それとも戦争で吹き飛んだ?」
「どうかな?戦争で古代文明が滅びたという話が一番可能性高いみたいだけどね。」
さらに調べていると、なにやらケーブルのようなものが途中で断線されていた。もしかしてこれが魔素を供給しているケーブルなのかな?材質を調べてみると、銅、アルミニウムがメインで、その中にミスリルやいくつかの金属が若干含まれている。
現在は魔獣石から魔符核に魔素を供給するとき、銅をメインとしたケーブルで接続されているんだが、配線でもかなり効率が落ちているみたいで魔素がかなり無駄になっているらしい。もしかしたらこのケーブルだと効率が高いかもしれない。持ち帰って研究したいので端の部分を切り取って持って行くことにした。
魔素の伝達についてはこのケーブルというのはいいんだが、問題は魔素の供給源だな。空気中の魔素を効率よく取り込むシステムでもあるのだろうか?
古代遺跡の調査からも空気中の魔素を取り込むだけで大型の魔道具を動かす技術はなかったらしく、魔獣石を核としての補助的な使い方がメインだったと言われている。このせいで、古代遺跡は劣化防止の魔法が切れて風化してしまっているらしい。それなのにここはどう考えても劣化防止の魔法が維持できているようにしか思えない。
開いていない扉の中には入れれば何か分かるかもしれないけど、扉が開かないことにはどうしようもないからなあ。
一通り調査は終了したし、やるべきことはやってしまったので休息をとることにした。外はそれなりに寒いんだが、建物の中は快適な温度なので過ごしやすい。
港の一部は砂浜になっているんだが、ジェンはなぜか水着になってくつろいでいる。いつの間に用意していたんだ?服が一式入った袋の中に入れていたみたいで何を持ってきていたのかはさすがにわからなかった。
「何やってるんだ?」
「せっかくだからバカンス気分を味わってる。」
「まあいいけどさぁ。」
デッキチェアみたいなものとテーブルを作って南国風なイメージでくつろぎモード全開だ。たしかに寒くはないけど、暑いわけでもないぞ・・・。
まあ、今日はゆっくりするとは言っていたけど、水着がちょっと大胆すぎないか?胸がもうね・・・。いや、うれしいけどね。
せっかくなのでガラスでグラスを作り、トロピカルジュースみたいなものを作ってあげるとかなり喜んでいた。
島上陸14日目
できる範囲の調査は終わってしまったので特にやるべきことはない。このため今日は朝からのんびりしている。1時半頃に起きてからベーコンエッグとパンと珈琲で朝食をとる。
「ほんとここを拠点にしたいよねえ。」
「もっと近い場所だったらよかったのにねぇ。」
とりあえず明日にはこの島を出るので、いろいろと準備しておかなければならない。今晩まではここに泊まるが、明日の朝一で隣の島に移動しておいたほうがいいだろう。
まずは入ってきたところを前のように加工してわかりにくくしておく。扉も修理しておいた。後は出て行くときに全部封鎖して階段を消せばいいだろう。これで自分たちのように調査をしない限りはそうそう見つかることはないだろう。
収納バッグが手に入ったので、せっかく造った拠点は持って行くことにした。塀と建物は地面部分で切り取り、収納バッグに入れてみる。出してみるとちゃんともとの形で拠点が出てきたので野営時にはかなり便利になりそうだ。
せっかくなので手に入れたガラスも使って窓なども作っておいた。ドアもスライド式に変更しておく。
荷物がいっぱいになるようだったら捨てたらいいから気が楽だ。まあそれ以前に土魔法がもっとうまく使えるようになったら運ぶ必要もなくなるかもしれないけど。残った穴は少しならしておけば自然に分からなくなるだろう。このあと草原や岩場にいる魔獣を少し狩ってから遺跡の中に戻る。
午後からは遺跡内で飛行の訓練をしていたんだが、やはり風がない空間だとやりやすい。部屋の中だと狭いし、外だと人目があるし、なかなかできるところがなかったからねえ。
なんとかゆっくり歩くくらいのスピードで移動はできる様にはなったが、もっと速度を上げられないと意味がないな。
「遅いわよー!」
ジェンは普通に歩くくらいの速度で移動ができる様になっていた。せめて車と同じスピードで移動できるようになるのが目標だ。あとは持続時間も問題だけどね。
夕食はステーキをメインに野菜炒めなどをたっぷりと食べる。食事の後はシャワーも浴びてさっぱりしてからあらかたの荷物を収納しておく。




