60. 異世界251日目 島をひたすら探索する
島上陸2日目
いつものように0時に起きてから探索の準備をする。着替えをしてから朝食は昨日のスープで済ませる。今日のルートを大体確認してから出発だ。
少し歩いて森の中へと進んでいく。森は熱帯雨林地方の森林という感じで結構生い茂っている。もちろん道なんてものはないので結構大変だ。いくら体を軽くしていても歩きにくいのはしょうがない。
「まだ冬で良かったよねえ。」
「ほんと、これが夏だったらもういやになっていると思う。」
気温も高くないのと虫も少ないのが救いだ。まあ虫に関しては魔法でなんとかなるんだけどね。今では普通なんだが、常に風魔法をまとっているからね。こっちの世界にも蚊はいるので正直夏だったらかなり面倒だった。
森の中を索敵しながら進むので奇襲を受けるわけでもなく、出てきた魔獣も順調に倒して行くことができる。さすがに孤島では普通の動物は生き延びられないのか、いるのは虫と魔獣だけだ。
魔獣は並~上階位くらいのレベルで毒大蜘蛛、巨蟷螂、大角甲虫などの虫系や二頭蛇、狂蛙などだ。そんなに頻繁に出てくるわけではないのでまだ大丈夫。解体は後ですることにして、素材になりそうなものはとりあえず収納バッグに入れていく。
「しかしこの魔素でこの頻度で現れるにしては強い魔獣がいないのが気になるなあ。普通だったら淘汰されてもう少し上のレベルの魔獣がいてもおかしくないのに索敵にも引っかからないよ。」
「飛行タイプの魔獣の狩り場にでもなっているのかしらね?」
「それはそれでちょっと怖いなあ。上空にもある程度注意した方がいいね。」
魔獣のレベルに違和感を受けながら探索を進める。
途中から少し上り坂になり、しばらく登ったところで山の頂上に到達する。山と言っても丘程度だが、海面からだと崖の分を含めてそれなりには高さがある。風のせいか、山の上の方には低い木しか生えていないので見晴らしはいい。
「「いい眺めーー!」」
ここから島を一望できるが、見る限り海賊の拠点となるようなところは見当たらない。周りは断崖となっているんだが、特に目を引くようなところはない。広さは前に家族で行った最南端の島くらいなのかな?森があるのでそこの探索にどのくらい時間がかかるかだ。
島の西の方の森のほとりに小さな湖みたいなところが見える。こんな小さな島で湖があるというのもすごいな。こんなところだから雨水がたまっているところと考えた方がいいかな?
あと北西方面は草原、北東方面は岩場、南側が森林で最南端が山という感じだ。えらくバラエティーに富んだ島だな。
通ってきたところから少し東側を歩いて森を抜け、拠点の付近を抜けて岩場方面へと進む。岩場の陰などを確認しながら一通り歩いてみるが、何も見つからない。こういう岩場には来たことがなかったため、毒蜥蜴や岩蜘蛛、岩蛙など初めて見る魔獣が多い。
毒持ちが多いので注意は必要だが、動きはそんなに速くないのでそれほど倒すのは難しくない。ただ素材になるところはないし、肉も食べられないのが残念だ。岩蛙なんかはほとんどが岩のような部位で食べれそうなところがほとんど無いんだけどね。ただ治癒魔法とか回復魔法がないと相手をしたくない魔獣だろうね。
そのまま草原の方にも進んでいくが、こっちはさらに何もなかった。途中で魔牛や大角兎が出てきたのですぐに狩っておく。
結局一日歩き回って島の北の部分をだいたい探索した感じになった。地面に開いている穴はいくつか見つけたが、人が下りて行くにはちょっと厳しそうな感じだ。魔獣の住処とかかもしれない。まあ穴についてはまたあとで探索することにしよう。海岸についてはやはり断崖になっていて下りられそうなところは見つからなかった。
4時には拠点に戻り、狩ってきた魔獣の解体を行う。いらない素材についてはまとめて海に投げ捨てることにした。海が適当に処分してくれるだろう。
今日は兎の肉を使ったシチューを作ることにした。やはりシチューとかの方が体も温まるし、調理もしやすいからねえ。野菜だけはかなりの量持ってきているので大丈夫だろう。さすがに一日歩き続けたので早めに寝ることにした。
島上陸3日目
さすがに明け方は大分寒くなってきている。寝袋に入っていると問題はないんだけど、朝は長袖が必要になってきた。朝食に昨日の残りのシチューを食べてから準備をする。
今のところ特に疲れは感じていない。初日は夜中に魔獣が来ないか少し心配していたけど、昨日はちゃんと眠れた感じだ。
今日は東の断崖に沿って南下していき、そこから山を登っていく。山の斜面には低い木があるので見ていくところが多い。魔獣はほとんどいないのはいいんだけどね。山を周回しながら山頂まで登るが、特に目を引くものは見つからなかった。
このあと森林の中を南北にローラー作戦で調査していくが、特に何も見つからない。魔獣も昨日出てきたようなものが現れるくらいだ。やはり森の中は探索に時間がかかり、全部を見ることはできなかった。
拠点に戻ってから今日はガバナンさんにもらった魚で刺身と焼き魚にした。とりあえず今日で大体島の2/3くらいは回った感じだ。残りは湖の方だけだが、正直まったく手がかりになるようなものは見つからない。
島上陸4日目
昨日と同じ時間に起きてから朝食用に持ってきたサンドイッチを食べてから出発する。
今日は湖の方に行ってみるが、かなり浅い湖だった。水深は深いところでも300ヤルドくらいしかない。雨水が貯まったところかと思ったんだが、湖の中心から水が湧き出ていた。ただ水の出る量が少ないせいか、ここから流れ出るわけではなく、地面に浸透しているようだ。水は飲めそうだけど、魔法があるからあえて飲まなくてもいいな。
湖の中を一応確認してみるが、小さな魚のようなものがいるくらいで特に何もない。魚がいると言うことは枯れるわけでもないのだろうか?
このあとまだ確認していない森林を探索してから確認エリアを広げていくが、特に気になる場所はない。
やっぱり違う島だったのかなあ?断崖の下がえぐれていて上から見えないようになっているとかあるかなあ?でも船で見たときもそんな感じのところはなかったしなあ。
夕食には生姜焼きのようなものにサラダを食べるが、二人とも口数が少ない。まあ何も手がかりが見つからないからしょうがないと言えばしょうがないんだけどね。
島上陸5日目
今日は島の外周に沿って断崖の方をもっと調べてみることにした。崖が切り立っているのでかなり怖いが、やはり船が着けられるような場所は見当たらない。どう考えてもここに海賊船を接岸できるとは思えないなあ。
しかも物語だとかなりの人数だったので船も一隻だけではなかったはずだ。そう考えるとこの岸壁に着けるのは無理がある。隣の島に置いていたとしても隣の島は平坦な島なので船があったらすぐに分かりそうだしね。
物語でも目的の島には来たがなにも見つからなかったと書いているので、やはり見つかりにくい場所に何かあるように思うんだけどなあ・・・。150年もたっているから入口のようなところが埋まったりしている可能性も捨てきれない。
朝から曇り空だったんだが、昼から雨模様になってきたので拠点に戻ることにした。
屋根は作っておいたし、自分たちがいるときは風魔法で雨が降り込まないようにできるので濡れてしまう心配はない。雨が降り込んだとしても浄化魔法があるのですぐにきれいにできるし、排水溝も機能しているので水に溺れることもないだろう。
さすがにここだと訓練することにも限りがあるので、魔法や付与魔法の練習をやっていた。魔法はイメージが大事なんだが、できるだけ自然の現象を利用するようにするだけで消費する魔素が小さくなる。
この世界には重力の概念がないので、重量軽減がいい例である。重量軽減の魔道具は既存のものよりもかなり効率の良いものになっていると思っているので、今はカサス商会にサンプルを預けているけど、どんな評価になるのかなあ。
今一番やりたいのは土魔法と風魔法で空を飛ぶことだ。重量軽減でほぼ体重を0近くまで持って行くことができるので、あとは風魔法で体をコントロールすれば飛べるはずだ。
とりあえず体を浮かべるところまではできる様になってはいるんだが、あくまで浮いて移動するというレベルである。土魔法を維持しながら風魔法の威力をあげていけばいけると思っている。ちなみにこのコントロールはジェンの方がうまくて自分よりも空中の移動は早い。
ただもし使えるようになったとしてもあまり人前では使えないかもしれない。空を飛ぶことのできる魔道具はあるが、一部古代の魔道具を利用しているからである。現代では飛行の魔道具は作ることができないようだ。
他にも新たに覚えた魔法もいろいろと試しているんだが、一朝一夕でレベルが上がらないのはしょうがないところか?
夕食は気分転換に鍋にすることにした。魔猪を使ったぼたん鍋という感じである。やっぱり冬に鍋はいいねえ。とにかく、こういう野営の時はできるだけいつものような生活が維持できると気分も気力も維持できるものだ。
料理をするときにジェンも手伝ってくれるんだが、味付けに関してはちょっと大味になってしまうので、味付けは基本自分がやっている。包丁さばきとかの手際はいいんだけどね。
島上陸6日目
雨がやまないので今日も拠点に缶詰だ。時間つぶしに付与魔法の訓練をかねて土魔法で作ったテーブルなどに模様を入れたりとしている。何をやっているんだか・・・。おかげでただの土を固めたテーブルが彫刻の施された立派なテーブルになってしまった。
昼過ぎに雨もやっと小ぶりになってきたので湖がどうなっているのか見に行くことにした。なんかこんな形の島で水が湧き出ている湖に違和感があったからね。
結構雨が降っているのに湖の大きさは変わっていなかった。川のようにどこかに流れ出ているわけでもないのでなんかおかしな感じだ。よく見てみると、湖のほとりに穴が開いていてそこに水が流れ込んでいた。
「これって、地下に空洞がある可能性高いよね?」
「そうね。」
結構な量が流れ込んでいるので下の方は大きな空洞があるし、もしかしたら鍾乳洞のようなところがあってそこが隠れ家になっている可能性もある。
いったん拠点に戻ってからジェンと話をする。結局地中レーダーみたいなもので地下の空洞を探すのがいいだろうと言うことになり、魔法でどうにかならないかいろいろとやってみる。
採掘の時に使った探知スキルでどうにかならないかやってみたところ、水中ソナーのように魔力を飛ばすことによって地中の堅い部分と空洞部分がなんとなくわかるような感じだったのでこれで試してみることにした。
~魔獣紹介~
毒蜥蜴:
並階位中位の魔獣。岩場の多いエリアに多く生息している蜥蜴の形をした魔獣。体長は500ヤルドほどで、体の半分は強靱な尻尾となっている。
鋭い牙を持っており、唾液に多くの病原菌が含まれているため、かまれると炎症を起こし、数日間高熱を出す場合がある。子供は死亡する事例も報告されている。また強靱な尾を使って攻撃をしてくる。
思ったよりも動きが素早いが、装甲がそれほど厚いわけでもないため、口の動きを注意していれば一撃で倒すことも可能。できるだけ口と反対側に陣取り攻撃するとよい。
素材としての買い取り対象はない。見た目的に食べられそうであるが、肉にも毒が含まれているため食用にはならない。
岩蜘蛛:
並階位上位の魔獣。岩場の多いエリアに生息している蜘蛛の形をした魔獣。大きなものは大人の頭くらいの大きさで、巣を張るわけではなく、岩に擬態して獲物が通るのを待ち襲いかかる。
わずかな水でも生き抜くことができる。岩に擬態している上、さらに索敵に引っかかりにくいため突然攻撃を受ける場合があるので注意。
毒を持っており、大人でも全身がしびれて動きにくくなる。見つけた際にはできるだけ退治しておくことが推奨される。麻痺した獲物は糸で縛ってから食べられるため、生きたままという恐怖と痛みを味わうこととなる。全身が岩のように見えるが、実際にはそれほど固いわけではないため普通に切りつけることができる。
素材としての買い取り対象はない。
岩蛙:
並階位上位の魔獣。岩場の多いエリアに生息している蛙の形をした魔物。子犬ほどの大きさで岩に擬態して獲物が通るのを待つ。
わずかな水でも生き抜くことができ、雨がほとんど降らない場合は冬眠のように体を動かさずに雨を待つこともあり、半年程度水なしで生きていたという記録もある。
岩に擬態しているため、そのままだと気がつかない場合が多いが、索敵にはすぐに反応する。舌が麻痺毒を分泌するため、注意が必要。全身が岩のような皮膚に覆われているため、関節部分を狙うか、槌などの武器で潰したほうがよい。剣などは欠けてしまう可能性もあるため注意が必要。
素材としての買い取り対象はない。体のほとんどが石のような部位であり、それをつなぐ関節や消化器系のみがある感じなので食べられる部位がない。




