51. 異世界226日目 新しい町へ行くことにする。
今後の予定を決めないまま、結局9月中旬になってしまった。冬の間はこのままサクラにいるのか、それとも別の町にいくか悩むところだ。狩りをするにしてもなんとか日帰りで対応はできるんだが、兵の討伐の後は一気に収入が減ってしまうのが問題だ。今は副収入があるんだが、これもいつまでかはわからないのであくまで臨時収入と考えておいた方がいいだろう。
やはりここを拠点とするにはもっと実力をつけてからでないと厳しそうな気もする。それ以前にここを拠点にするならいろいろな伝がないと仕事もないからね。たしかに居心地はいいんだけど。
ジェンに自分の考えを話して、とりあえず本格的な冬になる前に行ったことのない南の港町に行ってみようと考えていると話してみる。
「暖かいところはいいわね~~。っていうことは、港町ルイサレムってことね。久しぶりに新鮮な魚も食べたいし、いいんじゃない?」
自分と一緒に行く気満々なようだ。
「一緒に行く?」
「当たり前じゃない!!イチとはパートナーでしょ!」
「パーティーメンバーな。」
「同じようなものでしょ。なに?私と一緒だといやなの?」
「いや、一緒に来てくれるならうれしいけど、ジェンも何かしたいこととかあるんじゃないかと思って・・・。」
「もうっ!イチと一緒にいるっていったじゃない!他の人とパーティーを組むなんてことはしないからね。」
「わかったよ。・・・ありがとう。」
とりあえず、まだしばらくは一緒に行動すると考えてもいいようだ。あまり別行動というと機嫌を損ねそうなので今度からは一緒に行動する前提で話した方がよさそうだな。
「それじゃあ、オーマトの町経由でルイサレムに行くけど、オーマトの町はほぼ素通りでいいよね。」
「面白そうだったら、また移動するときに寄ればいいし、それでいいわよ。」
せっかくなので前にいた南西の港町のオカニウムではなく、南東にある港町ルイサレムに行くことにした。途中に州都であるオーマトの町があるんだが、ここは戻る場合にも通っていく町になるので今回は半分素通りの予定だ。まあそのまま他の国に行くことになったらそれはそのときだ。
まずはバスの状況を確認してみると、明後日の朝出発のバスに乗ると乗り継ぎもよくオーマトの町に到着できるようだ。日数は10日ほどで到着できるらしい。ばたばたになるけど、これで行くかな。
金銭的には高速バスでも可能なんだが、やはり今後のこともあるので普通のバスの指定席で行くことにした。ということで明日までに荷物の整理とか済ませないといけないと言うことか。まあ収納バッグがあるのであらかた持って行けると思っているんだけどね。
いろいろお世話になったのでカサス商会に行ってカルニアさんに挨拶することにした。受付で面談を申し込むと、すぐに部屋に案内してくれた。
明後日にルイサレムに向けて出発することを伝えて、少なくとも冬の間はあっちにいることを説明する。もしなにか新しいことを思いついたら向こうのお店の人に伝えてほしいと再度頼まれる。
あとは商売の状況を教えてくれた。
フードコートの席を共用にしたとき、店によってかなり反対意見も出たんだが、グループでもいろいろな料理を食べられると評判も良く、売り上げがかなり上がったらしい。反対していたお店も、売り上げがあがったので今では全く文句も出なくなったようだ。
半年か1年に一回、最低限の売り上げを出せない店舗は撤退させる可能性があることを伝えているのでお店も必死なんだと思う。
配膳を客がするスタイルは当初こそ混乱してしまったため、案内係を置くことになっていたが、いまでは浸透してきているらしい。お店の方も配膳係がいらなくなったので良かったようだ。
お客も増えたことで併設のお店の売り上げも上がっており、かなり繁盛しているようだ。もう少し様子を見て問題なさそうだったら他の町にも拡張していくようだ。そういえば視察の時以来顔を出していなかったなあ。町を移動する前に一度行ってみるか?
インスタントラーメンについてもかなり好評みたいで売れ行きもよく、他の町での販売も前倒しで行うことになったらしい。ちなみに販売はいまのところそのショッピングモールのみで行っているみたいで、それも客寄せになっているようだ。
お昼はフードコートに行ってみた。お昼を過ぎているんだが、まだ結構混んでいる。定食と麺類を頼んで食べることにする。配膳方法などを説明しているスタッフもいるが、かなり慣れている人もいるようだ。周りの声を聞いてみると、やはりどの店で食べるかもめることがないので好評らしい。
インスタントラーメンの販売コーナーは閑散としていたが、「本日の予定数の販売は終了しました。」と札が貼られていた。まだ即日完売なのか。すごいな。
食事を終えてからいろいろなお店を見て回り、夕方にスレインさん達の家に行って挨拶すると、「それじゃあ、壮行会をやろう!」ということになってしまった。ちょっと挨拶に来ただけだったのに・・・。
お店に行くのかと思ったが、テイクアウトの料理をいくつか買ってきてスレインさん達の家で夕食を食べることになる。会ったときは塩対応だったけど、ほんとに打ち解けたよなあ。
最初は普通に食事会だったんだが、お酒が進むと途中からスレインさん達が酔っ払ってちょっと羽目が外れてきたのはびっくりだった。外では落ち着いた雰囲気なんだが、家では結構羽目を外しているんだろうか?
ちょっとエッチなスレインさん達はちょっと自分には刺激が強すぎです。いや、うれしいんだけどね。胸を顔に押し当ててくるとか、本当にうれしいんだけどね。