249. 異世界2233日目 3年ぶりのサクラの町
まずはシルバーフローに行って部屋の確保をする。3年経っているが、受付には知っている顔もあって自分たちのことを覚えていた。少し世間話をして予約を済ませる。「冒険者の方達が長い間いらっしゃらないことは結構ありますよ。」とか言っていたので3年ぐらい来ないのは普通のようだ。
それから役場に行って登録の手続きをするが、アルモニアのクリアレントを出発してから全く滞在地の申請していなかったのでちょっと怒られてしまった。まあ国が変わったらすぐに申請するのがマナーだったからね。一気に走ってきたせいで完全に忘れていたよ。よく知っている人だったから言ってきたんだろうけどね。
「実績を見るとかなり腕を上げたようですね。優階位の魔獣もかなり狩られているようですし、実績ポイントがたまったら優階位に挑戦してみますか?」
「実績ポイントはまだまだでしょ?良階位までは結構いいペースで実績ポイントを稼げたけど、最近はなかなかたまらないですからねえ。」
「それでも十分に速いペースですよ。本格的に魔獣狩りを中心に活動すれば結構早くたまるんじゃないですか?」
「まあそれはそうですけど、いろいろとやってみたいことも多いですからねえ。」
しばらく話をした後、資料を少し見てから役場を後にする。さすがに変わった依頼というものはない。
続いていったのはカサス商会だ。受付に行くとすぐに部屋に通してくれてコーランさんとカルニアさんがやってきた。相変わらず元気そうだ。
「お久しぶりです。直接会うのは3年ぶりくらいですかね?」
「そうですね。途中、通信で会話はしましたけどね。」
「ええ、その際はありがとうございました。おかげで他の商会に先んじて動くことが出来ましたし、紹介してもらった方達にも会うことが出来ましたよ。
おかげでサビオニアからヤーマンへの物流関連に食い込むことが出来ました。サビオニアの鉱石関係はかなり品薄になっていましたからね。一部とはいえ関連商会として入れただけでもかなり大きなことです。
それにモクニク国とタイカン国での物流にもかなり食い込めましたからね。ホクサイ大陸の商会でここまで入り込めたのはうちくらいなものです。」
「さすがですね。」
「いえいえ、ジュンイチさんの助言があってこその成果です。あれで動けないようなら商人としては失格ですよ。」
ナンホウ大陸の販路が広がったこともあり、重量軽減の魔道具の需要がまた増えてきていたので定期的に納めていたが、やっと販売数量も落ち着いてきているらしい。ハクセンとアルモニアにいるときは結構受注を受けたからなあ。
結婚式など他の商売についてもいろいろと情報を交換してからカサス商会を後にする。
少し町の中を見て回り、夕方にクリスさんの家に向かう。事前に到着日は連絡していたのですでにクリスさんは帰宅していた。
「「お久しぶりです!!」」
「「「「「いらっしゃい!!」」」」」
全員が出迎えてくれた中に小さな子供が二人こっちを見ていた。
「「い、いらっしゃいませ・・・。」」
「もしかしてスレインさんとイントさんのお子さんですか?」
「そうだ。スレインの息子のスリクとイントの娘のイルランだ。ちょうど眠りについたのでベッドに寝かせているが、あと3人いるぞ。アルドの息子のアルリフとデルタの息子と娘のデリフとデルニアだ。デルタのところは双子だったんだよ。」
「そ、それはおめでとうございます。」
「スリクとイルランはジュンイチ達が旅立った後、4月頃に生まれたんだが、アルリフとデリフとデルニアは昨年末に生まれたんだ。驚かそうと思って内緒にしていたんだけどな。」
クリスさんがちょっと照れながら説明してくれた。
「そうだったんですね。」
上の二人のお土産は買ってきたけど、下の子供達のもなにか考えないといけないなあ。とりあえず買ってきたお土産をいろいろと渡してから、いろいろと近況を話しながら夕食をいただく。今回も夕食はアルドさんが中心になって作ったようだ。
子供達の世話は人を雇っているのでそこまで手間はかかっていないようだ。やはりこっちでは布おむつみたいで大変そう。まあ浄化魔法があるからまだいいみたいだけどね
今はまた冒険者としての活動を再開させたいと思っていてリハビリ中らしいが、そこまで本格的には行わないようだ。事業の方がかなり大変になってきているようだしね。
結婚式の事業でカサス商会と提携していろいろとやっているので支店もかなり増えているようだ。忙しいけど、かなりの利益も上がっているみたい。
今回のナンホウ大陸での話をしたが、すでにスレインさん達の実家の話は伝わっていたようだ。現地に行ったときの話をするとため息をついていた。
「結局、私たちがいたときから何も変わっていなかったのね・・・。」
事前に聞いていたこともあり、それほど悲しい感じではないようだが、やはり血のつながった家族なので心に引っかかるものがあるのだろう。
折角なので、サビオニアで仕入れてきた食材やお酒を渡すとかなり喜ばれたが、特に一人はお酒に感激していた。
「ずっと飲みたいと思っていたものがまさか手に入るなんてーー!!」
どうやら実家にあったという記憶だけで、ずっと気になっていたものだったみたい。折角なので何本かはプレゼントとして渡しておいた。
子供が出来てから断酒していたらしく、最近になってやっと解禁したようだ。実際は乳母のような人がいるので生まれた後は大丈夫だったんだが、せめて半年はとがんばっていたらしい。
ちなみにスレインさんとイントさんは手伝ってもらいながらも卒乳までは断酒していたらしく、アルドさんもそのつもりらしい。デルタさんは・・・確かに無理だね。
翌日もクリスさんのところに行って手合わせをしてもらう。がんばってきた甲斐もあったのと、スレインさん達がまだリハビリ中だったせいか、重量軽減魔法を使わなくても互角以上の戦いが出来た。
「驚いたな。いくらリハビリ中だとは言え、ついていくのがやっとだ。全盛期だったとしても、もうかなわなかったかもしれないな。」
クリスさんは自分たちの力にかなり驚きながら言っていた。
「ハクセンの騎士隊とアルモニアの魔術団でかなり鍛えられましたからね。」
「それぞれの国で訓練していたとは聞いていたが、まさかそんなところで訓練してきたのか?
よく入隊できたな・・・って、二人の人脈を考えると可能か。それぞれの国のかなりの重鎮に伝があるんだったな。
ヤーマンでも入隊してみたいと思っている人間はかなりいるが、実際に体験入団できる人間はほとんどいないからな。特にアルモニアの魔術団は他国からの入団はほとんど聞いたことがないぞ。」
「そうみたいですね。アルモニアではかなり驚かれましたから。魔法については自己流でやっていたのでかなり勉強になりましたよ。」
夕べは話せなかった訓練のことなどいろいろと話をした。
「そういえば、このあとはどうするつもりなんだ?また他の大陸に行ったりするのか?」
「しばらくはこの国にいるつもりですが、しばらくしたらまた出発しようかと思っています。」
「相変わらず忙しいな。どこに行くのかは決めているのか?」
「まず直近では遺跡調査のためにルイサレム方面に行くことと、ジェンの親友の結婚式でオカニウムに行くことですね。
そのあとについてはまだ情報をいろいろと集めているところですが、折角なら行ったことがないところに行きたいと思っているのでトウセイ大陸が候補かと思っています。」
実はジェンの親友のアキラさんとマルラさんが結婚式を挙げると連絡が入っていたのだ。是非二人で参加してほしいと言われたので行くことにしている。
「そうなのか。まあ他の国の情報だったらこっちでも分かる範囲で調べてみるよ。また戻ったときに話をしよう。」
結局この日は一日クリスさんの家で訓練したり、話をしたりして宿に戻ったのはかなり遅くなってからだった。
さらに翌日にはチューリッヒ商会に行って車の買い換えを行った。納期に時間がかかることが分かっていたので、通信で概要を伝えて先行発注をかけていたのだ。普通は出来ないことらしいが、今までのこともあり受けてくれたので助かった。
前と同じ型で良かったんだが、後継車がでたということでそちらに変更した。乗り心地がさらに改善されたようで、車の振動もかなり抑えられているという話だった。
店に行くとすぐにクーロンさんがやってきて購入した車を見せてくれた。今までよりも空気抵抗の少ない流線型で、地球の車に近くなっている。模型を使った実験で風の流れなどを見せたのでそれを採用した形なのだろう。
いろいろとアイデアを出してくれたお礼として新型にもかかわらず、今回もかなり値引きしてくれた。ただ新しい車を宣伝してくれとは頼まれたけどね。今回の車は先行で製作したものらしく、本格的な販売はもう少し後からみたいだしね。
クーロンさんは今ではかなり売り上げを上げているらしく、車のメーカーから表彰されることも多いみたい。自分たちがきっかけとなったと言って、未だにかなりひいきにしてくれているのはありがたいことだ。「二人からの要望は最優先で行いますよ。」とか言われているしね。
受け取った後、予約しておいたガレージを借りてさっそく改造を施すが、大分慣れてきたことと錬金のレベルが上がったこともありそこまで時間がかからず改造が完了する。
町を走るとやはり目立つみたいでかなり注目を浴びているが、まあ宣伝も兼ねているので仕方がないだろう。クリスさんやコーランさん達にも車を見せておいた。そのほかにも役場の訓練場や道場にも顔を出していろいろと情報交換を行った。
~クリストフ王爵Side~
3年ぶりにジュンイチ達が戻ってきた。若干たくましさは加わったが、出会ったときとほとんど変わらない姿でちょっと驚いた。スレイン達も出会った頃からほとんど変わらないが、同じような血を引いているのかもしれないな。
久しぶりだったが、前と同じように接してくれるのでほっとする。スレイン達もかなりうれしそうにしていた。こういう風に気の置けない友人がいるというのは本当にいいものだな。
子供達は最初はかなり遠慮していたが、お土産をもらってからかなり打ち解けていた。最後はなかなか離れないくらいになっていたからな。二人とも子供のあやし方がうまいな。
サビオニアのことをいろいろと聞いてみたが、革命が起こるというのもうなずけるような内容だった。そこまでひどかったとは・・・。チカ家が処罰されたことは聞いていたが話しに聞いていた以上にひどくなっていたのだな。
今回の褒章のことを聞くと、やはり思っていたとおり連絡通路の発見に手を貸していたようだ。どうやら遺跡の調査の途中で連絡通路の記載を見つけたらしい。連絡通路の経済効果を考えると、褒章の内容も理解できるものだった。
かなりたくましくなった印象を受けたが、手合わせしてみるとそれは間違いなかった。もともとかなりの実力は持っていたが、今回の遠征で格段にレベルアップしていたのだ。まあハクセンの騎士隊とアルモニアの魔法団で半年ずつ訓練すれば実力も上がるというものだろう。
ジュンイチ達の人脈を考えると体験入隊の話もわかるが、最初にこの話を聞いたときは「ほんとか?」と思ったものだ。もしこの話を知ったらうらやましがるもの達がどのくらいいる事やら・・・。




