ジェンside-10. 異世界1127~1139日目 オカニウムで
ナンホウ大陸に行くためにオカニウムに向かうことになった。途中のアーマトでは風の翼のメンバーとその彼女と会うことになったけど、かなり優しそうな感じの人達で、とても仲が良さそうで良かったなあと思ったわ。
ニックさんはもうすぐ結婚式をすることにしたみたいだけど、日程的に参加ができないことを謝っておいた。結婚式は自分たちがやったようなことを考えているみたいで、カサス商会が宣伝をかねてやってくれることになったらしい。せっかくなので自分たちも打ち合わせに参加して色々と助言はしたけどね。
そのあとオカニウムまでやってきてからさっそくメイルミの宿に行って二人に挨拶するとかなり喜んでくれてこっちもうれしくなった。
船の予約に行ったけれど、やはりすぐに出航するというわけではなかったので、しばらくはこの町に滞在することになった。せっかくなので宿屋の手伝いをやることにしたんだけど、知り合いから色々と声をかけられてとてもうれしかった。ちゃんと自分のことを覚えてくれる人がいるというのはうれしいものだわ。
アキラとマラルとは前に良く行ったお店など色々と回ったけど、いくつかのお店はなくなっていて悲しかった。気に入っていた喫茶店がなくなったのは一番ショックだった。どうやら奥さんが亡くなったみたいで営業できなくなったみたい。
あと、当時はさすがにいけなかったというお店にも行ってみた。事前予約は必要だったみたいだし、ある程度の地位が必要だったみたいだけど、貴族位と冒険者の良階位を示すとすぐに予約を入れてくれたので良かった。
食事の時に二人から心配の声が上がった。
「ねえ、ナンホウ大陸にいくって言ってるけど、大丈夫なの?あっちに行った冒険者達からいろいろと話を聞いたことがあるけど、結構大変だったと言っていたわよ。」
「そうそう、平民だとかなり下に見られるみたいだし、父もあっちの支店長は大変だと言っていたのよね。アルモニアやハクセンでは大丈夫みたいだったけど、貴族との格差がもっと強いみたいだよ。」
「うん・・・まあ・・・これは内緒にしていてね。
実は私たち一応貴族位を持っているんだ。ハクセンで褒賞をもらったって言っていたでしょ?あの褒賞は緑玉章で、下位爵相当の地位をもらえるらしいの。それとヤーマンからも同じ緑玉章をもらってね。だからナンホウ大陸では貴族として扱ってくれるらしいの。」
「「ええ~~~~!!緑玉章!!」」
「褒章と言っていたから赤玉章だと思っていたわ。まさか緑玉章って・・・。しかも二つの国から?」
「じゃ、じゃあジェンは貴族様??ジェニファー様って呼ばないとまずい?」
「やめてよ。私がどんな立場になっても二人からそんな風に呼ばれるのはいやだからね。」
「ふふふ・・・ジェンは相変わらずね。うちの商会でもみんなは年下でもさん付きで呼んでいるのに、会議以外で私がそう呼ぶと怒るもんね。」
「あたりまえじゃない。だからアキラもお願いよ。」
「はいはい、ジェン様!!じゃなかった、ジェン。」
「もう!!」
半分ぼかしながら貴族になった経緯を話すと、結婚式の顔ぶれのことがわかったみたいだ。ただそうはいっても他国のかなりの有名人やクリストフ様のことは不思議がっていた。まあ私たちもこんなに上の人達と関係ができるとは思ってもいなかったからなあ。
「そうそう、ジェンにはプレゼントがあったんだ。」
「え?そうなの?」
「うん、二人からのプレゼントだよ。イチとうまくやってね。」
そういって渡されたのは前に渡されたものの続刊だった。
「こ、これって・・・。」
「そろそろ次のステップにどうかなと思ってね。ちょっとハードな内容もあるけど、頑張ってみてね。」
「う、うん・・・。」
ちょっと恥ずかしすぎる・・・。
何日か経ってオカニウムを出航するときは二人も見送りに来てくれた。また戻ってきたときには会いたいな。
こんなにいろいろなことを普通に話せる友人ができるなんてほんとに良かったわ。もし元の世界に戻ったとしても私たちはずっと親友だよね?




