表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
218/290

198. 異世界1258日目 不穏な噂

 遺跡を出発してからこの国の最南端にあるまだ見つかっていないと思われる遺跡に向かうため南下を開始する。距離を考えると1ヶ月くらいはかかるかなあ?変なトラブルもいやなのでできるだけどこにも寄らずに一気に走って行くことにした。

 10日ほど走ったところでオカロニアという大きな町の近くまでやってきた。あまり町には寄らないようにしていたんだが、さすがに全く寄らないのも悲しいのでこの町には少し寄っていくことにした。


 この国の中では交易が盛んな方の町なのか、町を出入りする人は結構多くて行列ができていた。町に入ると、他の町に比べてお店などに置いている商品が多い感じがする。王都よりも多くないか?特に平民エリアの出店の品揃えの差が顕著だ。なにか闇での商売が行われているんだろうか?何かの横流し品なのかな?値段も他よりも安く売られているしね。


 お昼は食堂で食べたんだが、値段はやはり同じくらいだが、内容は上という印象だ。周りの声に耳を傾けているとちょっと気になる内容が聞こえてきた。どうも東の方の町で反乱が起きているらしい。鎮圧はされたということみたいだが、反乱が他の町にも飛び火しているようなことも言っている。


「ジェン、この話どう思う?」


「正直、この噂話だけじゃよくわからないけど、全くデマというわけでもなさそうだよね?」


 今まで少し聞いた話だと、貴族の横暴は昔からなんだが、今は国王もひどいらしく、領主と国からの重税で生活がしゃれにならない状況のようだ。国政がうまくいっていないせいで外交がうまくいかなくなり、物資も不足しているみたいだしね。

 反乱自体は今までも時々起きていたみたいだが、今回は結構規模が大きいというような話だ。さすがにあまりにひどすぎて頻発しているのか?


「貴族エリアでも平民エリアでも話が出ているからやっぱり反乱が起きたのは間違いないだろうね。どこまで拡大しているかはわからないけどね。」


「そうねえ。ただ単発での反乱ではないようだったら、他の国からの介入とかもあるかもしれないわね。組織的な反乱とかだと、その資金源とかその裏に何かしらのやりとりがないとうまくいかないはずだから。」


「そういうもの?」


「そういうものよ。」


 ジェンが言うにはどこかの国がこの国の利権を狙っていて、それに都合の良い国に変えるために反乱軍に資金援助をしたりすることはよくあるらしい。まあたしかに地球でもそんなことはあったよね。たしかこの国は鉱物とか宝石とかが有名だったように思う。



 役場に行って他の町の情報を聞いてみるが、あまり情報は得られなかった。まあ変に吹聴すると大変なことになるから情報統制はされているのだろう。

 とりあえず噂レベルだが、反乱が起きたのは間違いなさそうなのでしばらく国の中が荒れてしまうかもしれないね。まあすぐにどうこうなるとは思わないけど、注意はしておいた方が良さそうだ。


 町の雰囲気も悪くなさそうだったので少し買い出しをしてから宿に泊まる。宿の値段は他と変わらないが、レベル的には他よりもいい感じだった。




 途中で行商の団体と遭遇していろいろと話を聞いたりとか、優階位の魔獣が出てきたりとかいろいろあったけど、特に大きな問題にもならず南下していく。しかし街道沿いに優階位の魔獣が出てくること自体ヤバイ気もする・・・。

 結構な距離を走ってきたせいか、徐々に気候も変わってきた。まあ熱帯から温帯になってきたという感じだろうか?南半球なので今は春という感じかな?まあちょうど南下してきているので気温はそれほど変わらない感じで良かったけどね。

 こっちの国も南の方は冬には雪が降るみたいだから冬になる前にはある程度北上しておかないといけないな。


 遺跡を出発してから20日ほどかかってサビオニア国の南にある結構大きなニンモニアという町までやってきた。規模としてはオカロニアと同じくらいだろうか?このあたりの海岸は切り立った断崖になっていることもあり、海岸沿いに大きな港町はできなかったらしい。このためこの町は内陸の方に位置している。

 戦争とは縁が無かったのか、魔獣対策と思われる城壁があるくらいなので町の大きさの割には城壁が低い。もちろん小さな町に比べると頑丈な造りにはなっているけどね。気になることもあるので、情報を仕入れる目的もあり町に寄っていくことにした。


 貴族用の門を抜けるとそのまま貴族エリアにつながっているのは他と同じだ。ちょうどお昼時だったのでまずは貴族エリアにあるお店に入って食事をしながら周りの情報に耳を傾けてみる。もちろんこっそり魔法を使うので結構はっきり言っていることを聞くことができるのだ。

 国の発表によるとすでに反乱は鎮圧されていると言っているみたいだが、まだ反乱は収まっていなくて拡大中という話も聞こえてくる。まあ国の発表と実際に遭遇した人からの伝聞とかの情報が違っているのはよくあることだね。

 このあと平民エリアにも行って、ちょっと遅い時間だったが人の多そうなお店で軽く食事をとる。こちらでも周りから聞こえてくるのは同じような内容だった。ただ小さな声で反乱に合流しようかと言っている人達もいたのが気になった。


 正直なところ正確な情報を知っている人はいないと考えた方がいいみたいなので、どっちにしろ東の方の町にはしばらく行かない方が良さそうだな。


 お店を見て回るが、特に購入するようなものはなかった。役場とお店で魔獣の素材を買い取ってもらってから出発する。

 このあとは西にある遺跡に向かうことになるが、残念ながら遺跡までは道がないようなので途中からは走って行くしかないだろうなあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ