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【完結】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~  作者: ばいむ
第二部 異世界の古代文明

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185. 異世界1178日目 遺跡の調査

 翌日も遺跡の調査を行う。何か古代の遺物が残っていないか、見つかっていない空洞などがないか探しながら遺跡を歩いて行くが、さすがにすでに調査の終わったところしかないようだ。まあそれもそうだろう。

 ここには魔獣石をストックするような建物はなかったようなので、すべての町にそのような機能があったわけではないのかもしれないが、普通に人が住んでいたところだったら魔素が薄くて魔獣が現れないのかもしれない。

 町から離れたところにそういう施設を造って送魔(?)するとか?その可能性はあるかもしれないね。発電所みたいにすると言うことも考えられる。効率のいい送電線のようなものがあれば可能だと思うしね。

 もともとあったと思われる扉や配線などはすでに無くなっているのでやはりすでに調査されている遺跡だとそこまで新しい発見はなさそうだなあ・・・。



 遺跡の中は定期的に魔獣は討伐されているらしいんだが、やはり時々魔獣が湧いてくるので油断はできなかった。まあ湧いてくるのは並~上階位くらいなのでまだ対応はできるんだが、ちゃんと索敵をしておかなければ危ないからね。このため調査は固まってやるしかないのはしょうが無い。




 デリアンさんたちは嬉々として遺跡の調査を行っており、ひたすら資料となるものを集めている感じだ。できるだけ資料を集めてあとは町に戻ってから研究するつもりらしい。まあ今回の調査は7日間と言うことで話をしているからね。



 結局そのあと予定通り5日間調査を行ったんだが、文字の解読がすべて終わったわけではないので

詳細な研究はこれからである。詳細な解読などはデリアンさんの調査結果を待つことにしよう。

 一応自分たちも調査はしているんだけど、ジェンとも話をして気になったのはやはり壁画の部分だった。

 古代文明では魔法と科学で文明が造られていたのに今は魔法が中心となっている。あの絵が能力を与えているのではなく能力を奪っているというのを現しているのであれば科学の知識を奪っているということになるし、その方がつじつまが合う。

 前の神が人類を見捨てたというより、能力を奪ってしまったということはないだろうか?そのあと子供だった神がその後を引き継いだと言うことではないだろうか?


 この世界ではスキルは覚えたからと言ってそれに関する能力や知識がすべて手に入るわけではない。あくまで技術や知識が増えるとスキルが与えられると言うことになっている。でも逆にスキルが無くなってしまったとしたらその能力はどうなるんだろう?

 覚えたスキルでも使わないと徐々に忘れていったりはするらしいが、スキル自体がなくなることはないと言われている。もしスキルを消されてしまったとしたらその技術や知識は消えてしまうのだろうか?


 この世界では科学に関する知識については制約がかけられているみたいだけど、自分たちは別の世界から来たのでそのあたりの制約がかかっていないように思う。ジョニーファン様とも話をしたけどやはり変に感じるところもあったからね。

 やはり科学に関する知識はあまり話さない方がいいだろう。あまりに大々的にやってしまうとなにかのペナルティーがかけられてしまう可能性もある。場合により消されてしまうことも考えておかないといけない。




 一通りの調査が終わったところで今回の調査は終了することとなった。いろいろと調査結果に付いて意見を交換したんだが、やはりそう簡単に結論づけられるわけもなく、解読もすべて終わっているわけではないからね。自分たちもこのあといろいろと回ってみようと考えているので、また戻るときには寄らせてもらうことにした。



 二人はこの後王都に戻るようなんだが、自分たちは他の町に向かうことにしているのでここでお別れだ。二人にはかなりの感謝されたんだが、どうやら今回は2級エリアだけでなく1級エリアにも入れたことがよっぽどうれしかったらしい。



 最後の夜はせっかくだからとちょっと豪華なお店に行って食事をとることにした。もちろん平民エリアのところだけどね。平民エリアにも高級レストランはあり、なかなか美味しかった。

 二人も結構飲んでいたみたいで翌朝はかなりつらそうにしていたのでおまじないと言って簡単な治療をしておいた。さすがに朝一からバスでの移動なのにしゃれにならないだろうからね。二人を見送ってからこのあとのことを決めることにした。



 ちなみにクルマニアという貴族とはあのあと遭遇していない。貴族エリアから出ていないせいか、王都に戻ったせいだろう。まあ顔は合わせたくなかったので会わなくて良かったけどね。



~カルアSide~

 デリアンとは学生時代からの付き合いだ。最初の印象はかなり野暮ったい暗い人だと思ったんだけど、研究にかける情熱はすごかった。普段はほとんどしゃべらないくせに遺跡のことになると目を輝かせて話し出すのだ。

 私も昔の遺物に魅せられて研究の道に進んだんだけど、残念ながらそれを仕事にすることはできなかった。国の研究員には貴族が優先して入るため、平民が入れる枠がないのだ。結局は実家の商店を手伝うことになり、休みの日などに調査を続けることになった。


 デリアンは遺跡の調査に没頭していたが、さすがに生活に困窮していたので見かねて父に相談して雇ってもらうことにした。父とは何度か会ったことがあり、以外と馬が合っていたので二つ返事で受けてくれたのはありがたかった。父がなぜか変な目で見ていたのは気のせいだろうか?



 デリアンからテルク内部の遺跡調査に行かないかと連絡があったときには何事かと思ってしまった。もしかしてやっと調査許可証を手に入れたのかと思ったんだけど、どうやらダメ元で出していた調査許可証を持った人が見つかったらしい。

 遺跡の調査許可証を持った人と会ったんだけど、自分たちよりも若くて驚いた。しかも持っていたのが特級の調査許可証だったのには本当に驚いた。たしかにあることは聞いていたんだけど、本当に持っている人を見たのは初めてだった。

 そのあと身分を示すペンダントを見せてくれたんだけど、その色を見て驚いた。中位爵の黄色のペンダントだ。すぐに非礼をわびたんだけど、あくまで褒章での爵位だけで実質平民だからといわれて普通に接するように言われてしまった。いくら他の国でもそもそも貴族位がもらえる褒賞を受ける時点で平民では無いと思う。

 呼び方も今まで通りと言うことでそうしなければこの依頼は断ると言われてしまってはしょうが無かった。



 準備をしてからテルクの町に着くと、先に宿の予約などを済ませてくれていた。宿は私たちと同じところに泊まっていたみたいで、その時点でこの国の貴族とは違うことがわかった。


 さすがに良階位の冒険者と言うだけあって車を持っていたのはとても助かった。しかも調査の時に冷房の魔道具まで貸してくれたので不快さを感じることもなく遺跡調査をできたのはとてもありがたかった。


 古代ライハン語をかなり読めるので気になったことを聞いて見るとやはり論文にあった名前の本人だった。どうやらジョニーファン様の知り合いだったらしい。貴族位を持っていて良階位の冒険者で古代遺跡調査でここまでの知識があるってどれだけすごいことなんだろう。これで自分たちより年下というのがちょっと悲しい。貴族位も偶然のたまものだし、古代遺跡調査も運良く遺跡が見つかったので先行して知識を得られただけと言っていたけど、それでもすごいことだわ。


 遺跡の調査は今までと違ってとても快適に楽しくすることができた。いつもは時間に追われてほとんど確認もできなかったからね。クルマニアのやつに一泡吹かせられたのも面白かった。学生時代に散々いやな目に遭ったからね。もっと着飾れとか余計なお世話だわ。変に化粧とかしたらちょっかいがひどくなるだけじゃない。


 二人と別れるときに二人からから「頑張ってね。」と声をかけられた。イチもなかなか気持ちに気がついてくれなくて大変だったと言っていた。ジュンイチさんは否定していたけどね。どうやら私の気持ちは二人とも気がついていたらしい。


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