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【完結】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~  作者: ばいむ
第一部 異世界での懐かしい人々

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132. 異世界608日目 装備の更新を考える

 夕べは眠りが深かったみたいで目覚めはすっきりだ。さすがに高級なベッドは違うな。掛け布団とか重さがないくらいな羽毛布団だったし。

 出かける準備を終えてから朝食の準備をしてもらう。朝から外の展望を眺めながらの優雅な朝食だ。うーん、金持ちになった気分だねえ。横にメイドさんまで立って給仕してくれるからね。食後は優雅に紅茶までいただく。まあずっとこんなんだと疲れてしまいそうだけどね。



 今日も紹介してもらったところや昨日ちょっと気になったところを中心に鍛冶屋を見て回る。ジョニーファン様やラクマニア様に紹介してもらったところは確かにいいところなんだけど、やはり貴族相手なのかちょっと雰囲気が違っていた。置いている装備も見栄えの方を意識している感じでその分値段が高い傾向があるんだよね。


 結構裏道とか小さなところに隠れた名店とかがあるんだよなあ・・・とか思いながら適当にうろついていると、あまり綺麗ではないが、冒険者がそれなりに来ている店に気がついた。冒険者は狩りに行っている時間なのでそんなに姿はないのに、この店はそれなりに来ているということは冒険者の中では有名なのかな?

 店の名前はカルマの店となっており、店内を見てみると見た目は豪華なわけではないんだが、実用レベルのもので結構良さそうなものが売られていた。


「すみません。いきなりで申し訳ないのですが、少しお聞きしてもよいですか?」


 お店に来ていた熟練者っぽい感じの男性に声をかけてみる。


「うん?なんだ?」


「自分は冒険者で装備の更新を考えているんですよ。このお店の商品は結構良さそうですが、有名なお店なんですか?この時間なのに冒険者が結構多い気がするんですが・・・。」


「おお、わかるか?豪華さはないんだけど実用レベルではこの店が一番という奴らも多いんだよ。俺もここの店を愛用しているからな。

 値段はそれなりに高いんだが、自分に合うように細かく要望に応えてくれるし、値段以上の価値があると思うぞ。もし金に余裕があるならおすすめできるな。」


「そうなんですね。ありがとうございます。」



 店に置いている武器は高レベルのものまでで、良レベル以上のものは置いていない。店員に話を聞いて見ると、良階位以上は注文しか受けていないらしい。


 せっかくなので完成したものを少し見せてほしいとお願いすると、いくつか見せてくれた。ただし注文品なので試し切りなどはできないと言われる。


「そんなに詳しくわからないけど、結構よくない?」


「ええ、持った感じがいいわね。オーダーで作ってもらったらもっとしっくりしたものになりそう。」


「付与魔法の技術も高い感じだよね。」


 これはたしかにいいところかもしれないと店員に注文について話を聞くことにした。


「すみません、注文して装備を作ってもらうと金額と期間はどのくらいかかるのでしょうか?」


「えっと、少々お待ち下さい。」


 そう言って奥に入っていった後、しばらくしてから戻ってきた。


「受けるとしても武器だと1ヶ月近くはかかると言うことです。防具関係は調整だけであれば数日、注文となるとやはり1ヶ月近くかかります。ただ注文は最低限の技量が無いと受け付けないということなので、その点はご容赦下さい。

 金額については武器だと安くても200万ドールはみてくれとのことです。あとは材料によって値段が変わってきます。注文の場合は前金で半額、完成後に残りとなります。手直しがある場合はその都度相談となります。」


 どうやら技量が無い人間の為にいいものを打つのは嫌らしく、その場合は店に出ている装備で我慢してくれと言うことらしい。えらくこだわっているなあ・・・。

 それでもお願いしたいというと、奥に通されて親方と思われる人と面談することとなった。


 奥の工房では数名の人が作業しており、何人かは指導を受けながら作業を行っていた。横目で見ていると、細かくやり方を指導している。

 前に何度か鍛冶屋をみたことあるけど、みて覚えろっていうところばかりだったんだよなあ。ここはかなり近代的な教え方をしているみたいだ。


「それで作ってほしいというのはおまえ達本人か?まだ若そうだが、最低限の技量を見せてくれなければいくら金を積まれても断らせてもらうぞ。」


「今は冒険者の上階位です。技量についてはどの程度なのかはわかりませんが、残念ながら良階位のレベルはありません。」


「まあいい。とりあえずこっちの武器で少し動きを見せてみろ。」


 そう言って中庭のようなところに並べられた武器を示される。自分は片手剣と槌、ジェンは短剣と杖を使って二人で打ち合いをやってみる。


「わかった、今後の成長を期待して片手剣と短剣については作ってやろう。鎚と杖についてはまだまだ店に置いてあるものでも十分だ。細かな金額についてはさっきのルイドと話してくれ。」


 一応最低限の技量はあったようだ。まあ、鎚や杖は買い替えなくてもよかったからいいか。金額的にも厳しいしね。


「ありがとうございます。すみません、もう一つお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」


「なんだ?」


「少しだけでもいいので、ここで鍛冶の勉強をさせていただけないでしょうか?」


「なんだと?」


「装備の手入れだけでも自分でできるようになりたいんです。鍛冶についてはある程度勉強しています。」


「おままごとなら他を当たってくれ。そんな簡単に身につくもんじゃない。」


「そんなつもりはありません。この工房をみただけでも指導方法がとても素晴らしく感じました。かなり効率的な指導をやっていることはわかります。見させてもらうだけでもかまいませんし、雑用であれば何でもさせてもらいます。」


 しばらく自分たちの方をにらみつけた後、口を開いた。


「・・・ふん、そこまでいうなら技術者のクラスを取得できたらうちで鍛えてやってもいい。まあそれの取得だけでも結構かかると思うがな。」


「本当ですね!!その言葉に間違いないですね。」


「ああ、タミス神に誓って約束しよう。」


 よし!


「それではお願いします。」


 ジェンと二人で身分証明証を出す。


「ん?なにを言ってるんだ?」


「いえ、ですから技術者のクラを確認してもらおうかと思いまして。付与、調合、錬金のスキルは持っていますし、これだとわからないかもしれませんが、タミス神の祝福ももらっていますので。」


「なんだと・・・見せてみろ。」


 そういって二人の身分証明証を奪い取って確認している。


「・・・くっ、しかたがない、約束は約束だ。」


 さすがにタミス神にまで誓ったといった手前、かなり悔しそうにしている。


「ただ指導は厳しいから覚悟しておけ。うちで習うのなら最低限のことができるようになるまではやってもらうからな。」


「それはこちらもお願いしたいところです。」


 一応納得した後、少し言いにくそうに聞いてきた。


「あと、気になったんだが、おまえ達は貴族なのか?」


「ああ、ちょっと色々ありまして・・・。貴族と言っても名誉職的な身分なので気にしないで下さい。」


「そうか。それじゃあ、装備について話がすんだら明日からでもかまわないぞ。」



 このあと武器についていろいろと話した結果、ミスリルの片手剣と短剣をお願いすることとなった。ただ他にも注文されたものもあるし、ある程度調整が必要なので、やはり1ヶ月ほどは見てくれと言われる。ちょうど鍛冶もそのくらいはやっておきたいのでちょうどいいだろう。そのくらいで最低限は身についてくれるのかな?

 そのほかにも装備類を見てから購入するものを決めていく。ジェンの防具関係は大体そろっているんだけど、自分の方は見直したいからね。


「それでは明後日からよろしくお願いします。」


 さすがに1ヶ月もあの宿に泊まるのは悪いので他の宿に移ることにした。とりあえず明日はせっかくなので一日観光してから明後日から宿を移って鍛冶をすることにしよう。


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