火属性の彼はライターが使える
「見ててごらん」
男は親指でフリントホイールを回した。
ボッ!
ライターに火が灯る。
「すごい!火が出てる!」
少年は不思議そうに炎を見つめた。
「貸して!」
少年はライターを握って、男と同じようにやった。
カスッ、カスッ
「出ない...どうして...?」
「ははっ、それはね、パパが火属性だからさ」
男はかまどに火をつけた。
「パパは火が出せるのに僕は出せないのはずるい!」
少年は不満げな顔をした。
「そういうものさ。ほら、蛇口をひねって。米を研ぐぞ」
「うん」
ジャーー
父と子は家で夕飯の準備をしている。
「ーーところで、パパは蛇口がひねれないんだよ」
「えっ?そうなの?」
「ほら、はあああぁー、はあ、はあ。固すぎてね」
男は力いっぱいに蛇口をひねるが、全く回らない。
「固くないよ」
「爽太が水属性だからさ。お互いの属性を生かして、助け合っていくことが大切なんだよ」
少年の父は穏やかに言った。
日が暮れた頃、夕食が出来上がった。
「いただきまーす。ーー美味しい!かまどで炊いたご飯って、こんなに美味しいんだね」
「かまどで作ったの久しぶりだからな。美味しいな」
「...部屋、暗いよ」
「...光属性のママが出て行っちゃったからね...明かりが付けられない...」
2人はろうそくの光でご飯を食べた。
END
パチッ
「ただいま〜!ごめん遅くなって〜」
明かりがついた。