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異世界黙示録〜ISEKAI OF THE DEAD〜  作者: might
World Gone Bye
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第七話 ロープの道

征司たちは集会所に接する通りを挟んだところに建ててある、比較的高さのある建物の屋根から集会所とそこに群がるゾンビたちを見下ろしていた。

 集会所には即席で作ったと思われるバリケードで囲まれており、ゾンビの侵入を拒んでいた。しかし、大量のゾンビに押し寄せられれば壊されて突破されてしまうのか、兵士を中心に街の男たちが槍や長い棒でゾンビをバリケード越しに倒していた。


「二日もあの状態だと体力がそろそろ限界じゃろうな」


「助けに行こうにも中に入れませんし、どうしましょう?」


 悩むリヴィアとライボン。そこに征司が一つ提案をする。


「中に入る方法を一つ思いついたんですが...」


「どんな方法じゃ?」


「幸い集会所は目と鼻の先です。そこで、集会所より高さのあるこの建物から長いロープか何かをリヴィアさんの矢に付けて放ち、集会所とこの建物を空中で繋ぎ、そのロープを下る」


「「・・・・・・」」


 提案を受けた二人は少しの間、沈黙した。


「よし、準備するぞ」


「ええっ!?ほんとにやるんですか!?」


 冷静に準備を始めるライボンと征司の案を反対しなかったことに驚くリヴィア。


「どのみち我々だけではあの数のぞんびを相手にはできん。ならば戦わない方法を考えなければならん。征司の案は最適解ではないかもしれんが、即席の案としては実行できるものじゃ」


(さすがは賢者、頭の回転が速い。正直反対されると思ってたんだけどな)


「むぅ~」


 リヴィアは不満そうだが、ライボンに言いくるめられて準備を始める。ほっぺを膨らませた顔がかわいい。


―数分後―


 リヴィアはまず手紙付きの矢を集会所に向けて射った。その手紙には、自分たちのこと、これからロープを射るからちゃんと縛ってほしいことが書かれていた。

 手紙付きの矢はリヴィアの弓の腕前もあって、集会所の人々の目につく場所に刺さり、すぐに回収され、集会所の人々は征司たちを見つけてくれた。


「よし、しっかり結ばれていますね。これなら行けそうです」


 征司はライボンをおんぶした状態でロープに体重を乗せても問題ないことを確認し、鉄の棒をロープの上に通し、鉄棒の両端を両腕で掴む。


「しっかり掴まっていてください」


「ああ、心配ない。身体も紐で縛っているから振り落とされることはない」


「リヴィアさんは僕らが行けたことを確認してから、ロープに体重を乗せてください」


「うん、気を付けてね」


 心配そうに征司たちを見るリヴィア。リヴィアの細い身体の体重ならなんなくロープを滑走できるだろうが、男二人分が支えられるかは不明なため、ロープの丈夫さに賭けるしかなかった。


「行きます!」


 征司は足場を蹴り、鉄棒越しのロープに全体重をかけ、ロープを滑走し始めた。


 ロープの強度は問題なかったが、滑走のスピードが一瞬で加速した。


(ヤバい!ブレーキがかけられない。壁に激突する)


 鉄棒を両腕で持っていることとライボンと身体を縛っているため、複雑な動きもできず、ライボンの身も案じなければならない以上、征司自身が壁にぶつかるしかない。


(頼む、首の骨だけは折れないでくれ!)


 二人の身体が集会所のバリケードの中に入った瞬間、征司の背中のライボンが何かを呟く。


「■■■■■■!」


 そして、征司の身体は壁に激突する。


 ドンッ!!


 という音は鳴らなかった。

 征司の身体は壁に衝突すると、壁の中に沈んだ。そしてすぐに壁に弾かれて、地面に着地する。それはまるで布団に衝突するような感覚だった。


「ライボンさん?何をしたんですか?」


「タイミングが難しかったが成功したようじゃ。壁を一瞬だけ柔らかくする魔術を使った。壁の近くに行かないと柔らかくできないから、術の効能が間に合わないかとヒヤヒヤしたぞ」


「ありがとうございます。そうでしたね。ここは異世界...なんですよね」


 征司は改めてゾンビの世界である前にここがファンタジー世界であることを実感した。


「先生!セイジ!大丈夫ですか?」


 二人が着地したのを確認し、すぐ、リヴィアがいとも簡単にロープを滑走し、見事に着地した。身のこなしにおいてリヴィアはずば抜けていた。


「大丈夫です。ありがとうございます」


 征司は心配されたことへの感謝を述べ、


(そういえば、リヴィアさんに初めて名前を呼んでもらえたな)


 名前を呼んでもらえたことで少しだけリヴィアが自身に対する警戒心が和らいだのではないかと考える征司であった。

 そんなことを考えていると、集会所に避難してきた人々が征司たちの周りに集まってきた。


「ライボンさん無事でしたか?」


「ライボン先生!」


「ライボンのじいさん!」


 街の住人のライボンに対する信頼度が一瞬で感じ取れた。


「皆、心配してくれてありがとう。だが、わしの安否を喜んでいる暇はない。町長は居るか?」


 ライボンの問いに対し住民たちは無言で首を横に振る。


「そうか...残念じゃ。だが、悲しむ時間も今は惜しい!」


 一瞬だけ悲しい表情を見せるライボンであったが、その顔はすぐ切り替わり、老人とは思えないほどの眼光で集会所内を歩き始める。集会所の様子と避難民を見渡し、何人かに声をかける。


「レイン、ガウ、ボンド、それにアズマ!来てくれ、作戦会議じゃ」


 街の奪還作戦が始まる。

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