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第三話 小悪魔


 ――ピチョン。


「ぅ……?」


 冷たい何かを頬に感じ、俺は目を覚ました。


 ……ここは……どこだ?

 俺はいったい……


 覚醒直後でだるい頭を働かせながら、周囲を確認する。

 かなり暗いが、なぜか遠くまで見通せる。

 視界に映るのは、ごつごつとした岩の地形。

 床も壁も天井も、どこもかしこも岩だらけ。他にこれといった物は見当たらない。

 縦横30m、高さ10mはありそうな天然の広間に俺はいた。


「――イキュキュ、キィ(洞窟の中、か)?」


 って、あれ? 声が変だ。言葉になってない。

 というか、小動物の鳴き声みたいだった。

 もう一度、声を出してみるか。


「――キュ(俺は)キキキュイ(上田謙信だ)


 …………。

 間違いなく俺が発した声だ。が――


 ナニコレ?

 別人の声というより、別の生き物の声みたいなんだが。


キッ(あっ)!」


 ある可能性に思い至り、両手を目の前に持ってくる。

 そこにあったのは異形の手。

 指がやたら細長く、指先から鋭い鉤爪が生えている。

 さらに言えば、皮膚が薄く青みがかった灰色である。

 どう見ても人の手ではなかった。


 受け入れがたい現実を目の当たりにして、しばし呆然とする。

 人外、という単語が頭に浮かんだ。


 そうだ、こういう時こそ【状態確認】のスキルだ!

 というわけで使ってみる。


======================================

《種族》悪魔種・インプ

《名称》-

《性別》♂

《年齢》0

《状態》良好

《能力》

Lv:1/19+2

HP:70/70

MP:850/850

筋力:10

耐久:7

敏捷:14

精神:96

魔力:85

カルマ:545

ランク:☆☆


固有スキル:

【聖闘気】【成長限界突破】【悪魔の品格:憤怒】


派生スキル:

【聖気治癒】【成長操作】


種族スキル:

【状態確認】【事象の声】【悪魔の目】

【魔翼飛行(遅)】


技能スキル:


攻撃スキル:

【全力ひっかき:Lv1】


防御スキル:


特殊スキル:

【金切り声:Lv1】


魔法スキル:


耐性スキル:

【火耐性:Lv3】【聖耐性:Lv3】【魔耐性:Lv1】


一般スキル:


称号:


説明:悪魔種の最下層に位置する小悪魔。

滞留魔力が濃い場所において、強い怨念を宿した骸などを核として自然発生する。

戦闘能力は低いが、知能が高く狡猾なため、相対する場合は警戒が必要。

小型で可愛らしい外見のため、人族が使い魔にしているケースも多い。

======================================


 なん……だと……?

 脳内イメージに表示されたステータス情報を見て唖然とした。


 たっぷり十数えるほど呆けてから、なんとか気持ちを立て直す。


 自分が人外に成り果ててしまったのだという事は予想していたが。

 よりにもよって人類の天敵・悪魔種とはな……。

 しかも悪魔種最弱のインプときた。

 また、それ以外にも突っ込みどころが多数ある。


 どうしてこうなったと愚痴りたい所だが、理由は解っている。

 光如に殺され、固有スキル【夢幻転生】が発動したからだろう。

 本来なら同種族、つまり人間の新生児として転生する筈なのだが。

 悪魔の生贄にされるという普通ではない死に方をしたせいで、何かしら不具合が起きたのかもしれない。

 目覚める前に胸糞悪い体験もしたしな……。


 たぶんあの大口が、光如の召喚した悪魔だったのだろう。

 それで生贄の俺(の魂)を食おうとした訳だ。


 思い返してみれば絶体絶命の状況だったな。

 土壇場で妙な固有スキルが発現しなければ、【夢幻転生】発動前に食われていただろう。


 その固有スキルが【悪魔の品格:憤怒】。

 当然、今の俺のステータス情報にも登録されていた。

 果たしてどんなスキルなのやら。

 念じる事で項目の情報開示をすると、こんな内容だった。


======================================

【悪魔の品格:憤怒】固有/パッシブスキル

説明:天然発生した悪魔種が極稀に発現させる固有スキル。

混沌神アカシアに見初められた証と言われる。

抑えきれぬ憤怒はいずれ劫火となって世界を焼き尽くすだろう。

・悪魔種の進化先に影響

・能力向上(筋力・大)

・能力向上(魔力・小)

・能力成長率向上(筋力・大)

・能力成長率向上(魔力・小)

・火属性耐性向上(中)

・火属性スキル習得効率向上

======================================


 ……説明文言の不穏さに目を瞑れば、破格な性能のスキルだ。

 特に能力と成長率の向上効果は有難い。


 ただ悪魔種の進化先に影響、というのが未知数だな。

 多くの敵を屠り、経験を経た魔物が進化するという事は俺も知っているが。

 この説明を読む限り、悪魔種も同様らしい。


 ともあれ、転生してしまったものは仕方がない。

 前向きに考えよう。


 悪魔になってしまったのは遺憾だが、これはこれで好都合なのかもしれない。

 俺の目的は光如を倒し、奴の野望を粉砕する事だ。

 その為にはまず強さが要る。

 人間に転生していたら、肉体の成長を待って最低15年はかかっていただろう。

 だが今の俺(人外)ならレベルさえ上げればすぐに強くなれる。

 それだけ光如に余計な時間を与えずに済むだろう。


 ……よし。気持ちの切り替えはできた。

 次に考えるべきは当面の行動方針だな。

 さしあたり、この洞窟らしき場所から脱出して人里を探すのが妥当だろうが……今の俺、悪魔だからなぁ。

 言葉も喋れないし、人と交わってもトラブルの予感しかしない。

 というか問答無用で攻撃されるな。間違いない。


 まあ今は先々の事をあれこれ考えるより、生き延びる事に専念すべきか。

 今の俺は生態系の底辺に位置する雑魚だからな。

 魔物の餌にならないよう、くれぐれも慎重に行こう。


拙作を読んでいただきありがとうございます。

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