ヤバイ病院~院長しっかりなさって!~
これは、私が猫を飼い始めた時の話です。
季節は冬。木々はすっかり枯れ落ちて、外には乾いたうすら寒い風が吹いていました。
私は猫を買った直後、すぐに鼻炎とのどの痛みを感じることになりました。猫アレルギーかな、と思った私はすぐに病院に行ってアレルギー検査を受けることにしました。
市内の某クリニックで、妙に威圧感がある看護師――補助まではするが注射まではしないので、看護師もどきの疑いあり――に案内され、私はクリニックの院長と対面しました。
齢65くらいだろうか。目元にしわの多い、老齢の医師です。
「それで、今日はどうされました?」
「猫を飼ってから鼻炎とのどの痛みがあって」
「この時期は乾燥しますからねぇ」
――!?
このとき、恥ずかしながら私は、「乾燥すると猫アレルギーになるの?」と一瞬騙されかけました。だって、猫を飼ってからといったのに、それに対する第一声が「乾燥しますから」だったのですから。
しかし私は部屋に湿度計を常備している人。一応言ってみます。
「えーと、部屋は湿度50パーセントに保っているのですが……」
「みなさん、自分の家は乾燥してないと思っていらっしゃるのですが、実は乾燥しているんですよ」
そうですか。50パーセントは乾燥しているのですね。
某まとめサイトで検索すると
「50~60が理想的。40パーセント以下ではウイルスが増え、50パーセント以上でダニ・カビが繁殖。肌の乾燥は50パーセント以下だとよくない」
うーん、ドクター。どちらが合っているのですか?
インターネットの情報は鵜呑みにするなってやつですか。
「でも、理想的な湿度は50って聞いたので、50にしたのですけど」
「なんだかんだ乾燥しているものですよ」
ドクター正しい、ドクター嘘つかないネ。
でも、ドクター私の話、聞いてない気がするネ。
「まあ、乾燥しているのかもしれないですけど。で、最近猫買ったんですよ。それで、アレルギーの検査をしたくって」
「ああ、はい。アレルギー検査ですね」
「猫のアレルギーです」
一応念を押して、採血されて帰宅。
2週間後、また病院に行きました。
「ああ、シンさんですね。アレルギー検査でしたね。犬アレルギーは陰性でしたよ。乾燥ですね」
――!?
猫、猫です先生!!
私、猫と言いました。3回言いました!
「猫と言ったのですが。それとやっぱり部屋は湿度50パーセントありました」
「猫アレルギーと犬アレルギーは同じもんですよ」
そう言って渡された検査結果の表。
このとき、私は愚かにも医学博士の言葉を信じかけました。「犬も猫も、所詮は同じ哺乳類だもんね」と。
考えたら私も同じ哺乳類。犬猫同じなら、人間にもアレルギー起こしとるわ!
検査結果。
犬:陰性
猫:陽性
犬猫違いました。ですよねー。
そして予想通りの猫アレルギー。
「まあ、花粉症でしょうね」
先生。2週間前と言ってることが違います!
そして、この時期冬です。この地方、枯れてないどころか、雪に埋まってない草木探す方が大変です!
「いや、猫アレルギーじゃないですかね。草とか生えてませんし」
「シラカンバって知ってます?」
知ってるわ!
花粉が4月~6月に飛散する植物ですよね。当時2月。ちょっとそのシラカンバ、生き急いでますね。
「まだ時期じゃないですよね」
「結構花粉症の方、多いんですよね」
そうですか。
関係、あるのだろうか……。
花粉の飛んでいない季節に、花粉症の患者数が。
「それじゃあ、ありがとうございました」
なんとなく不完全燃焼を抱えた私に、最後にドクターから暖かい一言。
「花粉症のお薬出しておきますね」
「いらないです!!!」
プリーズ、スピーク、ジャパニーズ!!!
似た体験をされた方などいましたら、感想くださると嬉しいです。