↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/107

第九十七話 前人未到の山中(5)

第九十七話です、よろしくお願いします。


今回、前半は前から決めていた設定でしたが、後半は急に思いついたことがあって急遽差し替えました。

(投稿前に変えたので、差し替える前の文はもうありません)

 一人残された零は、ふとリーフェ・ヨリック夫婦の姿を思い返す。男の自分は皆よりも先にああなるのかなと零は思った。

 その時、零はハッと危機感を覚えた。先に容姿が変わりだすと、自分が男だとバレるのではないかと。

 零はディアに相談をする事にした。


“ディア? 今はいい?”

“あ、レイですね? はい、大丈夫ですよ。どうしましたか?”

“え~っと、実は――――”


 零は容姿の変化についての危機感をディアに説明していった。


“そういうことですか。ですが、零の体については前代未聞な状態過ぎてハッキリとした事が言えないんですよね……”

“そうなんだ……。あ、でも、ボンヤリとは分かってるんだよね? それでもいいからどうなるのか教えて?”

“いいですよ。容姿の変化……つまりは老いや寿命について零に起こり得る可能性があるものを教えますね”


 ディアは少し端末を操作して、再度確認をしながら零に説明を始める。


“確率の低い方から話しますが、まず最初は……ウィルスとの不具合で次の瞬間には死んでいるパターンですね……”

“えっ!?”


 すぐに死ぬと聞いて、零は固まってしまった。

 ディアはすかさずフォローにまわる。


“あ~、驚かせてすみません。大丈夫、確率は一番低いと言いましたよね? 流星が人一人に何個も同時直撃するより遥かに小さい確率ですよ? 今までも不具合は起きていないんですからまず起こり得ないものです”

“な、なんだ。よかったぁ~”


 先ず起こり得ないと聞いて、零はホッとした。


“さて、その次なんですが。次に大きいのは日本での平均寿命ぐらいに生きて、同様に年をとる物がそうです。ちなみにこれも最初の物に近い確率程度ですね”

“あれ? 僕はこれが一番多いと思ってたんだけど?”


 予想が大きく外れて、零は何故だろうと首を傾げた。


“原因は次の2つの可能性にあります。先ず片方がこちらの女性の人と同様の平均寿命程度で年を取らない、これが10%程度です。もう一つはこちらの女性の人の1.5~3倍程度の寿命で年を取らない、これが20%程度ですね”

“それって下手をすれば1000歳超えちゃうって事? 一体どうして?”

“ほら、零の体は今はこちらの女性と同様に魔力で活性化されていますよね? その影響で寿命も伸びる可能性のほうが高いんです。しかも元々のものが強化される形なので更に多く”

“うわぁ……”


 自分が1000年も生きるのが想像できない零は、なんとも言えない気分であった。


“えっと……レイ? これで驚いていたら次が大変ですよ? これが一番多い確率なんですから”

“そう言えばまだ70%も残ってるんだっけ? で……その場合の寿命は……?”

“その場合は……寿命が……”

“寿命が?”


 零はゴクリと息を呑んだ。


“ありません”


 零はがたっと体制を崩した。そのせいで小さなテーブルが少々ピンチであったがなんとか潰さずに済んだ。


“いや、無いって、それじゃあ最初のと同じじゃないの?”

“あ、ごめんなさい。言い方が紛らわしかったですね”


 ディアは誤解の無いように訂正して言い直す。


“寿命が無いというのは残りが0と言う意味ではなくて、際限が無い方の意味ですね。つまりは半永久的に生きられますし、年も取りません”

“は、はんえいきゅうぅ~~――――!?”


 唐突に不老半不死の可能性を示唆(しさ)されて、零は混乱に(おちい)った。


“どど、どうしてそんな無茶苦茶な事に!? 何がどうなってるの!?”

“その~、簡単に説明しますとウィルスは外的要因がない限りは変化も消滅することも無くって、レイがそれを受け継いでる可能性が非常に高いんですね。なのでその結果、先程説明した様に半永久的に活動出来る可能性も高くなる事に……”

“あ~……となるとその場合……僕が地球で暮らしてると……そのうちに大騒ぎだった?”

“可能性は高かったと思います。いつまでたっても変わらずに、文字通りずっと生きている事になるわけなので……”

“結果論だけど、こっちに来て正解だったのかも知れないなぁ……”


 零は、どこか遠い所を見るようにして呟いたのだった。




 しばらくして話がまとまった様で、妖精達が零のいる部屋に戻ってきた。


「レイちゃん、おまたせしたわね」

「一旦話がまとまったから伝えに来たよ」


 夫婦が代表して零に決まったことを話してくれた。簡単に言えば今日は零が良ければ町を散策して、明日中の好きな時に零を町の近くまで運んでくれるとの事だった。


「すぐに帰そうかと言う考えのあったんだけどね」

「結局は本人の希望も聞いてみてからと言う事になったんだ。それでも遅すぎても後が困るだろうし、期限は付けさせてもらったよ」


 夫婦に続いてフェリシアがレイに話しかけてくる。


「それで、レイはどうするの?」

「そうだね、せっかくだからちょっと町を回らせてもらおうかな?」


 零が留まることを伝えると、フェリシアやその友人達は喜んだ。


「やった! じゃあ、案内はアタシにまかせて!」

「フェルだけじゃなくてアタイらもだぞ?」


 張り切るフェリシアにヤコミナがツッコミを入れる。

 その間にショルシーナが零の頭へと着地(?)した。


「という事でこれから四人で町を散策。それじゃあ、レイ、発進!」

「発進って、乗り物じゃないんだから……。えっと、スミマセン。一旦失礼します」


 文句を言いつつも、零はショルシーナに付き合って部屋を後にする。


「あ、ショルずるいぞ。アタイも乗りたかったのに」

「それはアタシだって。ちょっと待って~」


 出遅れた2人も零達の後を追って飛んで行った。

 そんな元気な娘や友人達を見てリーフェ・ヨリック夫婦は嘆息する。


「本当、やんちゃな娘に育ったわね。困ったものだわね」

「一通りのしつけはした筈なんだけどなぁ」


 どうしてああなったのかと、夫婦は頭を悩ませた。




 再び町中を歩き始めた零は、今度はゆっくりと様子を見ることにする。

 零を見た妖精は驚いてやや参考になり辛かったが、まだ気がついていない妖精達を見る限りでは建物との対比がおかしいこと以外は特にこれまで見た街中の雰囲気とは変わりが無かった。

 ただ、1点違うことがあると言えば、店に相当する建物が見当たらないということだ。

 そして更に見ていると、時折何か物と物、特に食べ物と服や家具等の作った物での交換をしている光景を見かける事があった。


「ねえ、ここでは物々交換が当たり前なの?」


 零は妖精達に尋ねてみた。


「そう、わたし達はこれが普通」

「人達が使ってるお金なんて出回ってないしな」

「集落単位で暮らしてるから、それで充分に物がまわるの」

「なるほど」


 貨幣は支払い方法として、交換手段として、貯蓄として、価値の尺度としての側面があるが、その内の尺度以外を物々交換で出来てしまっている上に他との交流が要らないので尺度を決める必要がない。そのせいでお金を作っても意味が無いのだろう。


「そう言えば、レイはアタシ達の使うものがどう作られるかも知りたいんだっけ?」

「なら、そこの建物で服を作ってるから覗いてみるか?」

「そうと決まれば突撃~」

「え、勝手に入っていいの?」

「別に変に弄らなければ何も怒られないわ」


 零は若干不安ながらも3人を追って建物の中に入っていった。

 そこでは聞いたとおりに服が作られていたのだが、零の思っている作り方とは大分かけ離れていた。大勢の妖精達が零からするととても細い巻糸を持って縦横無尽に飛び交っているのだ。


「うわっ! なんかすごい迫力! これで服が出来るの?」

「そう、部屋の真ん中を見て」


 その部屋の真ん中には人形のような物が置いてあって、妖精達が飛び回るに連れてドンドンと服の形ができあがっていく。

 これと似たような光景をテレビの工業機械の特集で見た覚えがあった。


「うわぁ……まさかの立体編み……しかも早い……すごい技術だね」

「ここまで綺麗に飛び回れるようになるまでには、すっごく苦労するみたいだぞ?」

「どう? 驚いた? 何もない町だけど、この辺は人には負けないと思うわ」

「うん、これは本当に凄いよ」


 他にも家具等も飛べるのを利用して複数箇所を同時に加工したりと、人より断然早く作れたりしていた。

 そんな風に零の街中散策は様々な違いを見つけながら進んでいった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


服の作り方を、空を飛べる利点を使った作り方に変えてみました。

妖精らしさが出ていれば幸いですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。