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第九話 街を目指して(5)

第九話です。よろしくお願いします。

新しくブックマークしてくれた方、お気に入り登録してくれた方、本当にありがとうございます。

今回は話の区切りの都合上短いです。(2500文字超え程度)

次は長さは戻ると思います。


一話から二十話までを改稿しました。('15.05.03)

話の内容が変わっている訳ではありませんが、気づいた部分の誤字修正や表現の変更を主に行いました。

そして、修正予定だったエリン・アビー・アリスン・イーディスの名前の追加をしました。

また、ウィルスで使用するエネルギーをマナに、人名のキャスリンをセアラに変えています。ご了承願います。

「……間違いなく、あったわね。でもアレは……」

「……な、何……アレ?」

「……オイオイ、アレは違うだろ」

「……ビックリした~。って、みんなは見たことあるんじゃ?」

「……私も初めて見たけど、エリン、アリスン、クローシェさんは結婚してた筈」

「そうだけど、……アレはもう別物ね」

「アレを夫と比べないで!」

「同感だ。アレは……異世界だ」

 零を調べ終わり、五人は口々に感想を言い合っていた。しかし、そこに「ちょっと!」と声をかけられる。

 聞き覚えのあるその声で五人とも錆びついたロボットの様に振り返ると、そこには顔を真っ赤にして涙目になった零が立っていた。

 零は二回目ということもあり前回よりは早く立ち直っていた。一回目はもちろんディアの時のことである。しかし、機嫌が直った訳ではなく、クローシェ達五人を涙目で見て叫んでいた。

「無理やり脱がさなくてもいいじゃないですか! ホントに怖かったんですからね!」

 クローシェ達も確認したことで落ち着いたのか、自分たちの行動を振り返り五者五様に謝っていた。

「ご、ごめんね。その、余りにも疑問の方が大きかったから……つい……」

「あー、スマン。悪かった」「……ごめんなさい」「すみませんでした!」「いや、ほんとにごめんな」

「もう! 気をつけて下さいよ!」

 五人にひと通り怒りをぶつけた零は気持ちを切り替えて本題に入る。

「それで? なんでまた、その……確認しようとしたの?」

 零の質問対してアビーがが質問で返す。

「レイ、あなたさっき魔法を使った?」

「……魔法みたいなものかな?」

 もちろん、零が使っていたのは魔法ではなく、ウィルスで作成した改変プログラムだ。どうやら魔法と区別はついていないらしい。

 しかし、今回のことは魔法を使ったことに対しての行動だろうと考えて、零は曖昧に返事をした。

「嘘だろ!? ありえねえ!」

「……これも世界の違いか?」

 五人からはまた、驚きの様子が伺えた。そして、クローシェが零に向かって忠告をする。

「ねえレイ、お願い。あなたは魔法を人前で使わないで欲しいの」

「どうして? この世界に魔法はあるし、回復魔法も珍しいだけなんでしょ?」

「ええ。それだけならその通りね。でも、あなたが使うことに問題があるの」

 クローシェは少し間を入れてから理由を話す。

「あのね、この世界で魔力を扱えるのは女だけで、男は誰一人として扱えたことがないのよ」

「えっ? 誰も?」

「そう。今までに誰もよ。もし、男で魔法を使えるのが誰かに知られたら確実に大騒ぎになるわ」

 確かに大騒ぎになるだろう。魔法ではないので全くの無駄ではあるが、もしかしたら実験台にされるかもしれない。

 零はその様子を想像して身震いをした。

「だから、魔法は使わないでね?」

 クローシェの忠告に零は頷こうとした。しかし、その時にイーディスがポツリとつぶやく。

「……あれ? いや、そんなに心配なくね?」

「はぁ? なんでだよ?」

 つぶやきに対してみんなが首を傾げ、それを見て説明をする。

「だって、あたいらはレイの性別を知ってたから驚いたんだろ? レイの見た目はまるっきり女だし、男だって言われてもアレをこの目で確認するまでは信じられなかったぐらいだぜ?」

 そこまで聞いて、クローシェは言いたいことに気が付いた。

「つまり、男とばれなければいいと言いたいのね?」

 それに頷いて、さらに考えを伝える。

「そうそう。第一、逆に言えばアレを確認するまでまわりは女と扱ってくるんだ。証明するたびにアレを見せるわけにも行かねぇし。レイが参っちまう」

 零はそれを聞いて顔が引きつっていく。普段から男だと認めてもらいたいのは確かではあるが、そんな方法は絶対に御免だ。

 その表情を見たクローシェ達は言い分に納得した。

「確かに、女と思わせたままの方がその点はマシね」

「で、その場合、小さい魔法すら使わないんじゃ、かえって変に思われるだろ? 使った方がいい訳だ」

「でも、その場合は男だとバレた時は大騒ぎよね?」

「あっ」

 クローシェ達は盛大にため息をつく。イーディスはいつも何か抜けているのだ。

「えっと、レイ。あなたはどっちがいい?」

 クローシェは零に問いかける。

「男と言った場合は、日常生活をする分で気をつけることはないわ。それどころか色々と女より優遇されるわね。けど、あなたの場合は見た目で判断出来ないせいで、事あるごとにまず間違いなく確認される事になるわ。そして、もちろん魔法も使った場合、問題になるわ」

「……う、うん」

「言わなかった場合は、あなたは女に思われるでしょうから確認されることはないし、魔法も隠す必要はないわ。でも、男とバレないようにする必要がある上、バレた時にどうなるかは分からないわ」

「……う~ん……」

 零は大いに悩んでいた。例えどっちを選んでも盛大に男として大事な何かを捨てる必要が出て来るのだ。

「……今すぐに決めなくてもいいわよ。返事は街についてからでも遅くはないわ。たとえどっちを選んでも私達は協力するわよ」

 零はその言葉を聞いて、昨日のことを思い出す。

「ねえ、もし僕が男って言わなかったらクローシェや病気の子が困るんじゃないの?」

「保護と補助金のこと? ……いいのよ。保護さえすれば違反にはならないし、補助金がなかったとしてもレイは元々保護するつもりだったから。……あっ! こっちの都合を考えるのは禁止よ! こっちのは頑張れば済むことだけど、そっちのはあなたの生き方を左右する事なんだから!」

「わ、分かった。ごめん」

 クローシェの勢いに押され、零は頷くしか無かった。

「さて、この話は置いといて、今は――」

 クローシェは空を見上げて太陽を探す。

「――わっ、もうこんな時間? みんな、急いで出発準備を!」

 盗賊の出現からここまでに結構な時間が経っていたようだ。零は先に馬車に乗せられて、クローシェは馬車や荷物の点検を、アビー以外の三人は盗賊の処理を慌ただしくしていた。アビーは馬車のは見張りである。

 処理が終わり戻ってきた三人が大きな布づつみを持ち帰り、馬車後方の外にぶら下げた。近づくと鉄の様な匂いが漂ってくる。零は中身を考えないようにして馬車の前方に座る事にした。

 確認が終わったクローシェが御者台に乗り馬車を発進させる。

「遅れた分、急ぐから気をつけてね?」

 道中暫くの間は、激しくなった馬車の揺れと、後方から発せられる匂いで零の吐き気は酷かった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

これでようやく街に行きます。ここまで九話、……完結に何話いることやら。

そういえば書き忘れてましたが、零の体の成長異常・男女比の偏り・女性のみ魔力を扱える等は何故かそうなってるのではなく、それぞれに理由があります。うまく出せるといいですが……。

続きは出来次第投稿します。

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