片想い①
学校に着くと、昇降口の扉にクラス分けの紙が貼ってあった。
数人の生徒の中をかきわけて見に行くと、
「あたしA組だ」
「C組…
わー!!みゆちゃんと離れたー!!」
「ちょっと!!
恥ずかしいから大きな声出さないでよ!!」
3階へ上がり、それぞれの教室へ。
「休み時間みゆちゃんのとこ行くね!!
お昼も一緒に食べよ!!」
「来なくていいから。
友達作りなさいよ」
教室に入ると思ったよりも静かだった。
黒板に席順が書いてある。
あたしは柴崎なので、教卓の目の前の列の
真ん中だ。
席に着くと、前に座っていた女の子が話しかけてきた。
「ねぇ、髪型可愛いね!!
自分で巻いたの?」
肩くらいまである栗色の髪を内巻きのボブにして、ふんわり可愛らしい雰囲気を放つ女の子。
「あ、ううん!!
ちょっと知り合いに…」
「そうなんだ、いいな!!
なかなか巻くのってコツがいるから難しいんだよね、可愛かったからつい声かけちゃった」
そう言って、てへへっと笑う彼女。
「ありがとう、名前なんて言うの?
あたしは柴崎美優」
「美優ちゃんね!!
あたしは佐倉亜由美、よろしくね」
高校生活初日、初めての友達が出来た。
晴翔は大丈夫かな?
人懐こいからすぐ打ち解けられると思うけど…。
それから担任の先生がやってきて、
自己紹介をしたあと、
体育館に集合となった。
「式はめんどくさいけど、この後の部活紹介が楽しみなんだぁ♪♪」
と、校長先生が話をしている中、
小声で話しかけてくる。
「部活紹介?」
「うん!!
バスケ部の永倉先輩、すっごいカッコいいんだ!!」
…そういうことか。
「知り合いなの?」
「中学一緒でね、
あたしサッカー部のマネージャーやってたの。」
「そうなんだ!!
じゃあこっちでもマネージャーやるの?」
「そのつもり♪♪」
あゆみちゃんは本当に嬉しそうだった。
校長の長い長い話が終わり、
いよいよ部活紹介が始まった。
ダンス部のリズミカルな動き、
体操部のアクロバティック、
軽音部の演奏に、お琴、三味線。
いよいよサッカー部の紹介がきた。
「あの人!!真ん中の!!」
あゆみちゃんに言われた通り、真ん中の人を見る。
黒髪短髪、適度な筋肉に、確かに良い顔をしている。
「確かにかっこいいかも」
「でしょう!?
ほんと好き!!大好きなの!!」
はしゃぐあゆみちゃんが可愛くて仕方ない。