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破綻者

この物語はフィクションです

実在のものとは以下略

あれは夢ではなかったのだろうか

あんな殺人事件も使役者(ファミリア)とかいう摩訶不思議な超能力も美少女が俺の部屋に居候するとか

特に最後、何だよ美少女が居候って下手なエロゲじゃあるまい

こんな事が健全な男子高校生にあってはならない

そうだ夢だ、夢なんだ

と、大きく寝返りを打った瞬間にガタンと床に落ちて目が覚めた

「...夢じゃない」

どうやら自分はソファーで寝ていたらしい、と辺りを見回して確認する

時刻は午前5時12分

結局3時間しか寝てない

欲望に身を任せるならここで再び眠りにつくのがいいのだが、生憎明日は学校だ

今のうちに起きておかないとマズい

「...着替えよ」

さてと、さっさと気分的に目覚めるためにも自室へ向かう

公暁結生の暮らすこの寮「安心院(あじむ)寮」は公暁自身が他所と比較したことはないので知らないが、一人一人の部屋が広い

居間と台所に和室、洋室と浴室など一人で暮らすには広すぎるくらいだ

ソファーを置いてる居間から洋室に向かう

わざわざ私服を着た後に学校の制服を着るのも面倒だ

ガチャっと扉を開けて明かりをつける

クローゼットから制服を...

あれ?と公暁はここで疑問に思う

「(何で俺はソファーで寝てたんだ?この部屋にはベットもあるのに....)」

ふと、振り返ってようやく気付いた


自分が以前まで使っていたベットに雪のように白い少女

久遠由莉奈が寝ていた

「....!?」

しかも結構大胆に

寝巻きとして着てるのはワイシャツ(公暁の物)だけだ、恐らく、後はパンツだけだろうというかパンツだけだ

桃色の布地が細い脚の付け根から覗いている

ボタンも3つ程しかかけておらず胸の谷間が確認できるし下着も着けてないようだ

最近は地球温暖化とかいうし、現在5月だが少しずつ暑くなってくる

本人はこれぐらいが丁度いいと思ってるのかもしれない

「よくねぇーだろおおおぉぉぉ!!」

ゴンゴンと壁に頭を叩きつけて深呼吸

さて落ち着こう、俺はなにも見てない

美少女が俺のベットでパンツとワイシャツだけで寝ているとかあの安羅河凍夜の言うとおり、久遠由莉奈は胸もそこそこというか結構あって顔も可愛いというのも見てない

うん、それでいいと公暁が部屋の電気を消して部屋から出ようとすると

「んっ....ん...」

久遠が寝返りを打った

それだけならいいんだが、その際にただでさえ意味を成していなかった毛布が全部床に落ちてしまった

無視する手もあったが見逃せなかった

「...ええい、手間をかけさせやがって」

俺を守ってくれるらしい人が風邪を引かれたら困る

そう思って今度は明かりをつけずに部屋に入って落ちた毛布を手に取り久遠にかけてあげようとする

手の届く位置に彼女の胸が...じゃない

そんな事はどうでもいい

あるものが見えた

別にいやらしい物ではない、ただ背中のあたりの傷が見えた

まだ新しい傷で、安羅河凍夜につけられた傷だろう

使役者(ファミリア)越しではなく、直接肉体に付けられた傷だ

傷なんて余程のものでない限り、時間が経てば綺麗に消えていく

だけども、彼女はそれを分かって戦ってくれた

俺を囮にすれば無傷で逃げれたろうに

彼女にばかり無理させる訳にはいかない

俺だって使役者(ファミリア)が使えるんだ

あの藍色の騎士を使いこなして...

そうだ、彼女に任せっきりになんか


「...なにしてるの?」


久遠がドスの効いた声で聞いてきた

「!?」

状況としては、自分が目覚めたら毛布持って固まってる公暁の姿

まるで毛布取られてこれから脱がされてあんな事やこんな事...襲われるような


ジャキンッ!!と久遠は使役者(ファミリア)を召喚してそのわずか20発で乗用車一台をこの世界から消滅できるガトリング砲を構える

「ちょ!?ちょっと待て!誤解だ!!勘違いしてる!」

キュインキュインと回転を始めるガトリング砲に思わず毛布を手放してその場に尻餅をつく公暁

嫌な汗がドバッと噴き出る

下手すればつい先程の安羅河凍夜戦以上に

「言い訳は...」

ガトリング砲が回転を始める

ギュルンギュルン!と機械音が鳴り響く

「...あの世で、言えーーーっ!!」

あゝ、なぜこうも

俺の日常は異常なのだとーー


ーー公暁結生、16歳の春だった




『公暁、放課後、職員室に来なさい』

念を押されてたとはいえ、課題の未提出が面倒な事になりそうだ

数学の担当教師、宇都宮はクラスでただ一人課題を提出してない公暁に何か言うことがあるのだろう

一限目にその数学があったので既にテンションがガタ落ちだ

もう疲れた、寝たい

そう思って机の上でぐてーっとしてると

「よう公暁!朝っぱらから何やってんだよっと!」

ふと、背中をバンッと叩き公暁に声をかける軽薄そうな少年の声がする

振り返ると見慣れた友人の姿があった

「...(たかむら)か...今現在進行形でナイーブだからほっとけ」

「んだー?釣れねー奴、そんなんだから彼女も出来ねーんだよっ」

(たかむら)深夜(しんや)

公暁と同じクラスに通う高校2年生の男子だ

地味に小学校からの腐れ縁なので公暁とも仲がいい

絶賛彼女募集中だそうだ

「...で、何か用か?」

「おうおう!バイト代出たし今日辺り遊びに行かねー?」

隣町のゲーセンとかカラオケとか、といろいろ案を出してくる

「まことに嬉しい話だが遠慮しとくよ、先生に呼ばれてるし」

別の理由もあるのだが

「あー、そういやそうか...悪りぃな」

「いいって、また誘ってくれよ」

正直、夜遊びなんてしたくなかった

前日あんなもの見せられた

死体と使役者(ファミリア)

そして、破綻者(シカバネ)


以下、回想

破綻者(シカバネ)...?」

公暁はお手製のサンドイッチを咥えながら赤く腫れた頬を触りながら言った

「そ、私はそう呼んでるわ...安羅河凍夜を含めた殺人使役者使い集団、この久遠市を中心に起きてる殺人事件の犯人よ」

目の前の少女、久遠由莉奈は紅茶を飲みながら新聞を眺めてそう答えた

新聞の一面はやはり、この殺人事件だ

犯人を捕まえれず既に数ヶ月、確認できるだけでも43人が殺されて行方不明者がその2倍近くいるという異様な事件

ここまでくれば流石に異常だろう

警察も本腰を入れているそうだが、一向に手掛かりがないらしい

それは使役者(ファミリア)という能力が絡んでいれば仕方ないかもしれない

「彼らが何の目的で何故人を殺しているのか、何故この久遠市を中心にしてるのか...聞くことはいくらでもあるわ」

「どのみち戦い慣れしなきゃな...この調子じゃ勝ち目がない」

あれから藍色の騎士を出していない

使いこなせる自信が無いからだ

せめて自分の意思通りに動かせるようにしなければ

「その辺りは何とかするわ、私が教えてあげる」

教えるとは、この場合、使役者(ファミリア)の使い方だろう

「いいのか?」

「それしか手がないからね、私は厳しいのよ、ちゃんとついて来てよね?」

そう言って紅茶を飲み干すと久遠は学校の準備を始めた

時計を見るとそれなりの時間

公暁もサンドイッチを飲み込んで学校の準備を始める


破綻者(シカバネ)

何者なのか、公暁の頭はしばらくその事で頭いっぱいだった

安羅河凍夜とそれを回収した謎の大男

あの二人で終わりは無いだろう

まだ、戦いは続いている

「...それにしても、公暁くんって料理できるんだー、意外かも」

「1人暮らしだったからな」

簡単だが、サンドイッチに紅茶

全部公暁が作ったのだ

見た目も味も悪くない、学園祭とかで出せば普通に稼げるレベルだ

「サンドイッチも紅茶も美味しいし、これで今朝のことは無かった事にしてあげるわ」

「だからあれは誤解だ!!..って、もういいや...あとお前張り手もしてきたろ、朝食でチャラならその分お釣りくれよ」

「お釣り...まさか今度こそ!?」

「ちげーよ!」

以上、回想


「じゃー次の授業行こうぜ、えっと物理か?」

篁は軽く背伸びをした後、骨をポキポキ鳴らしてそう言った

「そうだな、何の実験するんだっけ...」

「公暁くん」

声をかけられた

最近よく聞く女の子の声だ

振り返らずとも分かるがそれでは失礼だから振り返っておく

白い肌に銀色の髪で赤い瞳

久遠由莉奈だった

「...なに?」

「昼休み、ちょっと付き合って?」

何やら事情があるのか、久遠は小声で言う

そういうと、こちらの返事を待つ前に久遠は教室から出ていった

「...公暁....て、テメェ!お、おまっ!お前何で久遠さんとなに仲良くしてんだ!?」

篁が公暁の両肩を割と本気で掴んでブンブン振って聞いてきた

「な、何言ってんだ!?あれのどこが仲良んだっ!?」

「学年で稀に見る可愛さであるアルビノ系美少女ぼ久遠さんと...テメェ裏切りやがって!!」

殴りかかられた

確かに彼女が可愛らしいかもしれないがそんな怒られほどだろうか

とにかく、この誤解を解くのにほぼ一日費やしたとかはまた別の話



「あっ、こっちこっち!」

昼休み、体育倉庫の裏でこちらに手を振る少女ーー久遠の姿があった

こちらとしてはきっと何処かで目を光らしている友人がいるのでそちらが気になって仕方ないのだが

「話があるって伝えなきゃいけない事があるの」

「なんだよ、何かあったのか?」

「私の使役者(ファミリア)...【アージェント】が他の使役者使いを探知したの」

アージェントと久遠のは使役者の名前だ

安羅河凍夜の【血肉喰人(ブラッドイーター)】も同じく使役者(ファミリア)の名前だ

ちなみに公暁の使役者(ファミリア)にはまだ名前は無い

公暁が考えてないからだ

「探知って...そんな事が出来るのか?」

「ある程度わね、大勢の中であの人ってのは難しいけど、広い範囲にいるかなーってのが分かるぐらい」

話によると使役者(ファミリア)を使いこなせば、この技術を使いこなせるらしい

完璧に使うにはその使役者(ファミリア)に強力な索敵属性がないと難しいそうだ

属性についても、説明しなければならないだろう

使役者(ファミリア)にはそれぞれ特出した得意分野があり、それを属性と呼ぶ

その属性が各使役者(ファミリア)に何個あるのかは、不明で幾つ開花させれるかが鍵らしい

ちなみに現在では公暁が【切断】久遠は【貫通・消音】だ

「この学校で3人ぐらいね、それぐらいの使役者使いがいるわ」

「例の破綻者(シカバネ)か?」

公暁が声を押し殺しながらそう小さく呟いた

「まだ...何とも言えないわね、今は誰がその使役者使いか把握する事から始めましょう」

丁度、チャイムが鳴った

掃除の予鈴だが、この体育倉庫にも掃除道具があるから放っておけば人が増えるだろう

面倒になる前に抜け出そう

「じゃあ、また後で」

詳しくは寮でという事で二人はその場から離れていった



『このプリント今日中に提出しろ』

と言われたのが約2時間半ほど前で既に時刻は7時を過ぎており、外は部活に専念する学生がちらほらいるだけだった

例の課題の未提出がこんな数倍になるとは思わなかった

それと軽いお説教、もう二度としない方がいいというありがたーいお言葉を頂き、公暁は現在下駄箱から出ようとしているところである

確認したが久遠の靴は無かった

先に帰ったらしい、鍵を渡してるから締め出されてる訳でもなさそうだ


「さっさと帰って夕飯作らねーと...てか、あいつの好みってなんだ?」

できれば、美味しく食べて貰いたい

いつか聞いてみようかーーと

靴に履き替え、外に踏み出した瞬間



ガッ!と視界が回転した

体が重力以上の力で空中に飛ばされた感覚

まるで殴られたような痛みが横腹を貫いていた

「がっ...はっ...!」

地面に勢いよく叩きつけられた

変な位置で叩きつけられていたらただでは済まなかったろう

そこまでの大怪我ではない

「いやーっ!お前が例の新人かー?手応えねーじゃんかよーっ!」

随分テンションの高い声だ

調子の良いだけでここまで人に不快な気持ちを与える人も珍しいと思う

その男の後ろに立っているのは

使役者(ファミリア)...!」

「俺の使役者(ファミリア)、【ジャッジマン】がお前の首貰いにきたぜーっ!!」

人型、顔に付いた×(バツ)のマークと右手の(クエスチョン)マークと左手の(エクスクラメーション)マークが特徴の使役者(ファミリア)

「この俺様...破綻者(シカバネ)数藤(すどう)鷹彦(たかひこ)様に殺されることを感謝しやがれ!公暁結生!!」


どうやら、向こうから自分のことは調べ済みらしい

こうなれば、逃げられない

迎え撃つのみ


「頼む...何とか上手くいけよ...!」

公暁も己の藍色の騎士を呼び出す

問題なく呼び出すことができた

二人の男が対峙する


戦いが始まった



第三話、完



さてはてやってきました第3話

こんな駄文読んでくれる人がいるのが本当に嬉しいです

お陰で学校でもこの物語の設定をどうしようか考えまくりです


いつも思いますが新キャラやラノベお約束のアレなシーンとかその他もろもろ

是非ともイラスト化して欲しいものです

私は絵は無理なので、是非とも書いてくれる人大募集なので地味にお待ちしております


さて、次回「鳥神星」お楽しみに

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