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オセロ
オセロは、一進一退だったが、勝負が決まる時には、あっさりといくものだ。
全部埋まった状態で、明確に勝負は分かるほどの大差だった。
「僕の勝ちだね」
高屋が宣言をすると、偽高屋は悔しそうに笑う。
「困ったな…どこで間違えたんだろう」
「さあ、それは分からないね」
高屋が偽高屋に言った。
「でも、僕が勝った。それだけははっきり分かってるわけだ」
「そうだね」
そう言うと、偽高屋が薄れていく。
「君が勝った。それが全てだろうね」
それから、小さくなる声で、頑張れと言われた。
「…ガンバレ、か」
高屋が小声で言ったのが、僕にははっきりと聞こえた。
「次は誰だろ」
矢鱈がつぶやいた。
そのとき、ドアが勢い良く開かれた。