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選任
とりあえず職員室の中を探してみる。
「誰もいないね」
「なんで、さっきまでいたのに……」
隠れているというわけではないようだ。
書類はなかったが、机に一台だけノートパソコンが置いてあった。
「手がかりはこれだけかな」
「そうですね」
僕のすぐ横に来て、矢鱈が言う。
「とりあえずつけてみましょう」
高屋が電源をすぐに押した。
ブゥウンと音が聞こえ、すぐに起動が終わる。
「ようこそ」
パソコンから声が聞こえる。
「君たちは選任された。必要であれば、君たちはいかなる武器を保有することが許可される」
「んなことどうでもいいから、家に帰せよ」
僕が言ったが、パソコンは無視をした。
「この学校は第1種戦闘区域に指定された。君たちは選任された」
「どういうこと」
相羽が聞く。
「戦いが始まる。相手は君たち自身だ。君たち自身、どちらが勝てるかな」
「僕たち自身ってどういうことだよ」
だが、パソコンはそこで電源が切られた。
「……なんだってンだよ、いったい」
僕は言ったが、もうパソコンは黙ってしまって、何も言うことはなかった。