プロローグ
静かな教室だった。
すでに日は落ちて、僕たちだけが学校の中にいた。
授業が終わって、放課後の部活も終わって、さあ帰ろうとなった時に、僕は校舎の中から出られなくなっていた。
下駄箱から一歩外に出ようとすると、なぜかとても透明なビニル膜が張られているような感じで、出られなくなっていた。
他の同級生たちは、僕が横にいないことに気づかないような感じで、そのまま家路に就いた。
誰かいないかと校舎の中を探してみると、部屋の隅に隠れていた他学年の子と一緒になり、僕がいつもいるクラスの教室に行った。
「…で、君たちも出れなくなったのか」
女の子二人と、男の子一人を見つけたわけだが、電気はついているので暗くはなかった。
3人はうなづいて言った。
「あたしたち、同級生なんです。それで、明日テストあるから、教室で勉強してたんです。チャイムが鳴って、帰ろうと思ったら、下駄箱の扉になんか膜みたいな、そんなものが張ってあって…」
「とにかく、名前を聞いてもいいかな」
僕は、3人に聞いた。
「3年生の相羽卮、矢鱈惹良、高屋嶄雅です」
相羽と矢鱈が女の子のようだ。
「僕は、片絵椋、5年生だよ。よろしく」
自己紹介が終わると、すぐに次の問題を考えることにした。
どうしてここに閉じ込められているかという問題だ。