1/33
00.プロローグ
シュトラエネーゼ王国。それはこの世界の中でも小さな国だった。
八方を山々に囲まれ、閉鎖的な環境。しかし、この国が大きく繁栄しているのは、魔術という希少な力による。
元来神々によって創設されたこの世界は、神の加護である魔法で溢れ栄えていた。しかし、それに変化が起きたのはもう約400年も前のこと。人間は神を蔑ろにし、敬う心を忘れてしまったのだ。
強欲に溺れ、力により己の力を増そうとする人間を嘆き、神はその力を奪ってしまった。しかし、そうでなかった国が一つ。信仰を怠らず、崇め続けていた国が合った。
―――それこそがシュトラエネーゼ王国。
神はその国の信仰を信じ、自分の存在を忘れないようにとの約束を残した。神はその存在を忘れられてしまっては、在ることができないのだ。
人々はその約束を交わし、代わりに魔法の力を得た。そうして、今も繁栄し続けている理由となり、他国に絶対的な力を示しているのである。
そんなシュトラエネーゼ王国の王城のある部屋で、口論が続いていた。