2.「闇を光で」イスフィール大作戦!!Ⅳ
楽園の薔薇
2.「闇を光で」イスフィール大作戦!!
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その頃、セイレーン達はというと。
「…なあ、嫌な予感しない?」
レイアースがセイレーンに聞く。
何のことかは不明だけど。
「なにそれ?」
「いや、あのイスフィールだぞ。絶対何かある!」
決め込むレイアースに、セイレーンはため息をつく。
「そんなの、ふつうじゃないか。」
と。
* * *
「んーっと…。服はセイレーンのを使うとして、髪はどうしよ?」
イスフィールは、レイアース達がそんな話をしていることも全然知らず、準備にとまどっていた。
その作戦とは。
『男に変装して、ラクリーン家に忍び込み、調査しよう!作戦』
名前が長い作戦である。
「髪…結えば大丈夫?かな~。」
とつぶやき、後ろで軽く結んだ。そしてセイレーンの服に着替える。
「ま、一応大丈夫だね。」
鏡でもう一度確認すると、イスフィールは窓から外に出る。
外はもう晴れていて、抜け出すにはぴったり。
(ごめんね、レイアース、セイレーン)
心の中で謝ると、イスフィールは町に向かって走り出した。
「イスフィール!現地調査に…って、あれ?」
今度はレイアースが扉を開ける。
壊れそうな音はもちろんした。
しかし、その部屋にイスフィールはもういなかった。
その光景を見て、レイアースは固まる。
「どうした?急に止まったりして。」
ちょっと遅れてきたセイレーン。
「うそだろ…。」
ま、自業自得だな。