2.「闇を光で」イスフィール大作戦!!Ⅰ
楽園の薔薇
2.「闇を光で」イスフィール大作戦!!
<1>
次の日。
イスフィールは、部屋に誰かが入ってくる気配を感じ、むくりと身を起こした。
「あ、起きた?」
一日でなじんだらしいレイアース。
彼がさっきの気配の犯人だ。
「…今日の天気…」
「あ゛?俺のこの姿見たら分かるだろ?雨だよ、雨!!」
確かにレイアースの服はところどころ濡れている。
イスフィールは安心して息をついた。
「どうした?雨の天気が好きなのか?」
レイアースが不思議に思って聞いた。
「うーんとねー。雨が好きって言うより、晴れが嫌い。」
「へー。変わってんなあ。」
理由はある人のせい。
「仕方ない」としか言いようがなかった。
と、その時。
昨日と同じようにガタガタッと外で音がした。
「ひっ…」
「ひ?」
レイアースが不思議そうに首を傾げる。
「レイアース!!今日、本当に雨だよね!うそじゃないでしょ!?」
「降ってたよ、すごく。ほら、今だって雨音するし。」
イスフィールの焦りに、レイアースも思わずつられた。
ちなみに、どうしてあせっているかは不明。
そしてまた、昨日と同じように扉が壊れそうになりながら開かれた。
「薔薇姫♪遊びに来たよ~。」
「セ、セイレーン!!何で来てんの!?」
驚きのあまり、部屋の隅っこに逃げる。
「なんでもなにも無いでしょー。だってここ、僕の家だし。」
当然のように言うセイレーン。
イスフィールが聞いているのは、実はそのことではなかった。
「じゃなくて!あんた、雨の天気が嫌いだって言ってたじゃない!」
「そーだっけ?」
「とぼけないで!服が濡れるから嫌いって!なのになんでいんの?」
「月日がたつと、嫌いな物も変わるってことだよ、薔薇姫♪」
「なにそれ!あ、じゃあ好きな人も私じゃないのね!」
「いや、それはない。」
「えー!!!」
意味の分からない会話が、レイアースに押し寄せる。
「ちょ、ちょっと待て!セイレーンが来てるのも分からないが…」
「…レイアース君。今、僕のことを呼び捨てに…!」
「はぁ?どうせ双子だし。」
「双子でも兄は兄なんだよ。」
「信じてねぇし。」
一刀両断。
「それにレイアースの方が大人っぽいし。」
イスフィールが続けた。
「イスフィール~。僕のフォローしてくれないんだ~~~」
わざわざ泣きまねをを始めた。
「するわけないじゃない。晴れの日ばかりやって来たりして、うっとうしいの!」
「なるほど。」
レイアースが小さくつぶやいた。
(そうかこれが「嫌いな理由」)
レイアースに心の中で『これ』扱いされたセイレーンは、気を取り直して、と立ち上がる。
なんとセイレーンには理由があったらしい。
「は?気を取り直して帰んの?じゃーね。」
イスフィールがなんか冷たい気がする。
「ちがーう!君に仕事。」
「はぁ?」