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11.側仕えの少女Ⅲ

楽園の薔薇


11.側仕えの少女


<3>


時は、一週間ほどさかのぼる。

イスフィールがイザベラになる前だ。

「レイアース!セイレーンを父様の部屋に呼んで。」

今日の天気は快晴。

セイレーンはこの屋敷に来て、どこかの部屋にいるはずだ。

イスフィールはそんなことを考えつつ、レイアースに声をかけた。

「は?何でだ?」

「話があるの。」

「何の?」

「いいから。早く!」

「…へいへい。」

レイアースは首を傾げながらセイレーンを探しに向かう。

それを見送ると、イスフィールはマリーナを連れてユニゾンの部屋へ走っていった。


「あれ、イスフィール?どうしたんだ?」

部屋にはいると、いつものようにユニゾンののほほん声がイスフィールを向かえる。

「父様、ハーブティー入れといて。私から話したいことがあって…」

ユニゾンは細い目をわずかに見はると、マリーナに向かって手招き。

「なら、マリーナ。君も手伝ってくれ。」

「はいっ!任せてください〜☆」

元気に(でもどこかのほほんとしている)立ち上がるマリーナを見て、イスフィールも立ち上がりかけた。

「じゃあ、私も何か」

やりたい、と続ける前に、ユニゾンが微笑む。

「そんなにやりたいなら、見てハーブティーの作り方を覚えなさい。」

「えぇっと…。」

「分かったかい?」

「…はぁい…。」

ユニゾンの言い方には、有無を言わせぬ感じがあった。

仕方なく見ていると、ゆっくりとハーブのにおいが漂ってくる。

思わず話の内容を忘れるところだった。

「イスフィール!連れてきたぞ。」

ドアが開き、レイアースが入ってくる。

その後ろにはひらひらと手を振っているセイレーン。

「ん、ありがと。じゃあ、話し始めてもいい?」

「ああ。ハーブティーもできたようだしな。」

ハーブティーがそれぞれの前に置かれる。

一口飲んで、それを十分に味わい、大きく息を吸い込んだ。

「い、言うわよ。」

何となく確認。

ユニゾン達はしっかりと頷いた。

「私、外に行きたい。イズライールの時みたいに。」

しーんと部屋が静まる。


ハーブティーの湯気だけが、ふわりと揺れた。



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