表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/51

10.風邪をひいてもⅢ

楽園の薔薇


10.風邪をひいても


<3>


「こら,イスフィール!ちゃんと寝てなさいって言ったでしょー!?」

上からラウディーの声が聞こえる。

リカティアのかわりだろう。

リカティアは水の守護神。

水は幽霊とシンクロすることが出来るらしい。

だから、儀式では先祖の幽霊とシンクロしてなんたらかんたら――。

というのを聞いたことがある。

「私がいないのに始めようとするのが悪いんです!さぁ、続き!」

少し頭に響くが、話をするために大声を出した。

リカティアinご先祖様が笑う。

「おもしろいねぇ。いいだろう。悪化しても責任は取らないよ?」

「いいです。父様、始めよう。」

「え、あぁ〜うん。」

イスフィールは席に着いた。

相変わらずボケッとしているレイアースを見て、少しため息をつく。

「レイアース!再開するよ!」

「へ?」

何がどうなったのか分かっていない様子。

「…いいわ。なんでもない…。」

「では、イスフィール。そなたがレイアースの弁護をするのか?」

「まあ、私から見た感じだけどね。」

再びリカティアinご先祖様が笑った。

つられてイスフィールも笑う。

「彼が私を叱った理由は私にあります。勝手に家を抜け出した私を注意しただけのことです。」

始まった。

口論対決によって、部下(?)の処遇が決まるのである。

「でも、そばにはセイレーンがいたのでしょう?なら彼に頼んで叱ってもらえばいいじゃない。」

「そういう話になります?レイアースは要点をまとめて叱ってくれました。セイレーンはそういうタイプじゃないんで、それは無理です。」

「うぅ…そう思ってたんだ…。」

広間のはじっこで嘆いているセイレーンはちょっと放っておくとして。

2人の口論はヒートアップしていく。

「彼には諭すという方法もあったはずよ。わざわざ叱った意味は何?」

「私はもとから諭されることが嫌いです。それをレイアースは理解してくれてるんです!」

ソフィアが選んだからとか、深緑の目だから、なんていうのはこの際関係ない。

「私のことを数日で理解してくれた数少ない人です。理解者は追い出しません!」

風邪のことなど忘れてイスフィールは叫んだ。

今まで来た使用人達は誰も理解してくれなかった。

理解する気がない人だって。

でも―レイアースは違う。

進んで話しかけ,身分のことなんて捨てている。

そして、誰よりも早くイスフィールのことを理解してくれた。

「だから、うちの使用人――いや、初期通り薔薇の護衛にしたいんです。」

素直にイスフィールはそう言った。

心からそう思って。

「いいだろう。期待しているぞ、薔薇姫。」

ご先祖様はリカティアの体から出た。

ホッと息をつく。

次の瞬間、イスフィールの体は床に転がっていた。

(そういえば私、熱出してたんだっけ――。)





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ