8.事件解決(?)!Ⅰ
楽園の薔薇
8.事件解決(?)!
<1>
「そんなの、する意味ないよ。」
イダが静かに言った。
疲れたような声で。
「僕、もう帰るから。」
ようなではなく、疲れていたらしい。
遊びに飽きた子供のような顔をしていた。
「4体1なんてずるいじゃんか。それに友達もいなくなった。」
「友達?」
(あのクモのことですよ、薔薇姫様。)
弱々しいが、カリスの意思が届いた。
イスフィールは、しゃべらないでいいから、と返した。
「…相変わらず。カリスは責任感強すぎ。」
イダの不思議な言葉に、イスフィールは首を傾げた。
「相変わらず…?イダって、カリスのこと知ってるの?」
聞きながら前に行くと、イダがビクッとして身を引く。
「?」
「そこまでは教えない。」
猫のようにイスフィールを警戒している。
何かを怖がっているようだ。
「イダ?」
イスフィールが手を伸ばしても後ずさる。
「ねぇ。どうしたの?」
「…本っ当に君はあのお方そっくりだ…。」
ますます意味不明。
「まあいいよ。帰るからねっ!」
イダは元に戻ると、マリーナについていたクモの死骸を拾う。
それを顔に近づけ、なにやら唱えた。
そしたら、クモは灰になっている。
「え!?」
(マジック!?)
イダはそれをフッと息で飛ばす。
その灰はやがて扉になった。
「じゃーね、薔薇姫様。その顔、忘れてあげないから!」
そう叫ぶと、さっさと扉の中に入り、消えてしまった。
沈黙が続いた。
あまりにもいろいろなことがありすぎたせいか、何も頭が回らない。
「ふぁ…」
イスフィール1人が動いた。
ため息のような声を残して、その場に倒れ込む。
「「イスフィール!?」」
「イスフィール様ぁ!」
(薔薇姫様!?)
再び、時間が忙しく動き出した。