表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/51

7.闇の毒グモⅢ

楽園の薔薇


7.闇の毒グモ


<3>


「イスフィール様!大丈夫ですか!?」

本当に心配そうな声が聞こえる。

顔を上げると、そこにはマリーナの金色の目があった。

「うん…まあ、大丈夫っぽいけど。」

曖昧な返事だったのにもかかわらず、マリーナはすごく安心したようだ。

「…マリーナ、あなたは…どうしたの?」

「?」

イスフィールの質問にマリーナは首を傾げる。

「どうしたって…精霊を呼んで風を吹かせただけですけど?」

「…そうじゃなくて。」

「え、でもそうですよー?」

「今のことじゃないんだって。闇に――。」

「…そうですね。よく覚えてませんけど、イスフィール様が助けてくれたんでしょう?――だから私も、イスフィール様を守るんです。」

マリーナはそこまで言って立ち上がる。

金の光を鋭くして、イダを見た。

今までイスフィールと話していた穏やかな目とは明らかに違う。

「イスフィール様を傷つける者は、私が許さない。」

イダが小さくうめいた。

自分で操っていたのに、そのことがきっかけで敵の仲間になってしまったのだから。

「ふん…おもしろいじゃん。」

くやしまぎれとしか思えないが、つぶやくイダにイスフィールは向き直った。

「でもね、マリーナ。非力な君に何が出来んのさ?」

再びイダはクモの糸を使って攻撃を仕掛けてくる。

それに、アリーナは笑った。

「非力ですって?」

動こうとも何もしないで、ただ笑う。

マリーナは続けて言った。

「私達ステライト家は、守りし者と共にいることで力を得るんだって話、知ってる?で、私はステライト・マリーナ。守りし者は――イスフィール様。守りし者と一緒にいる私の、どこが非力なの?」

スーッとイダの顔が青ざめていく。

目の前に迫った糸を、マリーナは片手で掴んだ。

僅かな割れる音とともに、クモの糸は消えた。

「イダさん。覚悟は出来てますか?」

マリーナは微笑した。

そしてイスフィールの方を振り向く。

「イスフィール様。――反撃、といきますか。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ