6.心の闇、浄化します!Ⅲ
楽園の薔薇
6.心の闇、浄化します!
<3>
「もちろんって、お前できんのか!?」
レイアースが慌てて聞き返した。
「ええ。やってみせる。」
今までなら『分からないけど』と答えていただろう。
でも今回は違っていた。
「私の中に、出来るって言ってる気持ちがあるの。それに、マリーナを助けなきゃ。」
闇に飲まれた者を助けるのは、殺すほかに道はない。
だから闇に飲まれる前に、薔薇が助けなければいけないのだ。
それとイスフィールの性格を知っているセイレーンは、仕方なくこう言った。
「無理しない程度にやりなよ。」
イスフィールは笑って頷いた。
「大丈夫。」
自分が身につけている薔薇のペンダントに触れる。
鮮やかなピンクの光がイスフィールを包んだ。
目の前には、泣いているマリーナ。
イスフィールの気持ちは、彼女を助けたいという、強い望みだ。
(その望み、無駄にはなりませんよ。)
触れている薔薇のペンダントから意思が送られてきた。
軽やかな女性の声だ。
(誰?)
イスフィールもそれにあわせて意思をペンダントに送る。
ちゃんと通じたようだった。
(私は楽園において一番最初の薔薇です。今までこれを付けた人は何人かいますが、反応できたのはあなただけです、薔薇姫様。)
(一番…最初の…?)
(はい。エプスタイン・カリス――カリスとお呼びください)
話すたびにイスフィールを包む光は強くなった。
(とにかく、説明は後です。今は、あの少女を助けるのでしょう?)
思い出してイスフィールは深く頷く。
(では、この光に意思を乗せて)
意味が分からなかったが、助けたいという思いをより強くした。
すると、それにあわせて光がより眩しくなった。
(それでいいのです。これから教える言葉を、一緒に。)
頭に自然と浮かぶ言葉。
イスフィールは手を前に出し、言った。
「あなたの心の闇、浄化します!」