5.イズライール、バレた!?Ⅱ
楽園の薔薇
5.イズライール、バレた!?
<2>
「んで?」
「もう全部言いましたってばぁ…。」
すげー笑ってる(その笑いが逆に怖い)レイアースに問いつめられ、イスフィールは今までのことを話した。
「何でそんなことしたんだよ!」
「だって、」
「だってじゃない!」
怒鳴られて顔を上げると、そこにはレイアースの怒った顔とセイレーンの苦笑い。
「薔薇は闇の人に狙われてんだぞ!抜け出した時に偶然会って殺されたりしてたらどうするつもりだった!?」
イスフィールは、確かにそんなことは考えていない。
「まあまあ。イスフィールにも理由があったんだろう?」
セイレーンがレイアースをなだめ、優しく聞いた。
「私は大人しくしてるのが性に合わない。それだけよ。」
「死んでたらどうするつもりだ?」
「私の親戚にも似た力を持つ人がいるわ。薔薇はその人ができるじゃない。」
「バカ言ってんじゃねえ!」
ついに、レイアースが立ち上がった。
座っていたイスが後ろに倒れる。
「薔薇としてはそれでもいいかもしれないし、そうするしかないだろうな。けど!いなくなるのは『薔薇』じゃねえ。『イスフィール』っていう『人』なんだよ!」
イスフィールは驚きで目を見張る。
「でも、さ。薔薇が人のために何かやっちゃいけないの?」
「そういう意味じゃねーよ。『イスフィール』がいなくなったら、ユニゾンさんやセイレーン、今はいないソフィアさんはどう思う?悲しむんだ。そういうことを起こさないために、どうすればいいか。答えは出てるよな?」
静かな、淡々とした口調。
その言葉達はすっとイスフィールの頭に入り、答えを知ったイスフィールは深く頷いた。
「無茶はせずに、別のやり方で、危険じゃない方法で事実を探り出し、闇の心を浄化する。」
「その通り。じゃ、行くか!」
「行くって、どこに?」
レイアースはニッと笑って言った。
「もちろん、ラクリーン家さ。」