3.ラクリーン家調査「闇の人物」Ⅲ
楽園の薔薇
3.ラクリーン家調査「闇の人物」
<3>
「で?伝言って何?イスフィールはなんて?」
椅子に座ったとたん、トライドはイスフィールを質問攻めにする。
少しだけイスフィールはたじろいだ。
(何も考えてないじゃーん!!)
ただ、、トライドの家に入り込む為についた嘘。
だから、「なに?」と聞かれても、どうしたらいいのか分からない。
(ああ~~~。ここに長く居られるための理由~~~)
「あ、もしかして、あの手紙のことかな?闇の人かもしれないっていう―――」
何を勘違いしたのか、トライドがそんなことをつぶやいた。
(それだ!)
心の中でひらめく。
顔に出さずにと注意しながら、出まかせの『理由』をイスフィールはしゃべり始めた。
「そう、そのことで、なんだけど。『まだ闇の人物と確定したわけじゃないけど、一応イズライールを送っておく。だから、執事として使っていいから、その子に調査させてほしい。』だそうだ。」
ちょっと早口で言い切る。
トライドはふーんとだけ言った。
(…これはいいってことなのかな?他に何か言うことはないのか!)
少しイライラ。
ややあって、トライドは口を開いた。
「分かった。いいよ、イール。分かるまでラクリーン家で調査して。僕も多分狙われてるし。イスフィールの執事がいるなら心強いし!」
「ちょちょちょ、ちょっとストップ!」
トライドの言葉にイスフィールはストップをかける。
「今、僕も狙われているって言ったよな!?どういう意味だ!?」
身を乗り出して聞いたイスフィールに、トライドは少しとまどう。
「え、いや、だって、僕のお父さんとお母さん、それで死んじゃったし。」
(つながった!)
「え、まあとにかく。よろしく、イール。」
あの人懐っこい笑みに、頭が少し痛む。
(どうして…?会ったのは初めてのはずなのに。)
「あ、ああ。任せろ!」
とかなんとか、てきとーに言う。
調査をするためには、かなりの時間が必要だ。
そしてふと考える。
「悲しくないの?」