3.ラクリーン家調査「闇の人物」Ⅱ
楽園の薔薇
3.ラクリーン家調査「闇の人物」
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「あ~くそっ!イスフィールの奴め、どこいったんだ~?」
一方、イスフィールに見事にだまされたレイアース。
「レイアース!見つかったか?」
もう町の半分を探したセイレーンが駆けてくる。
両手で×の形を作って見せた。
「そうか…。ま、あいつは昔から行動力だけは人一倍あったもんなぁ。どっかに調査しに行ったんだろう。」
能天気に口笛を吹いている。
(…あいつがセイレーンを嫌いになる気持ちが分かった気がする…)
なんといっても、一緒にいるだけで疲れが100倍!またはそれ以上たまりますって感じなのだ。
セイレーンは顔つきをサイコロでも転がすように変えて言った。
「まあ、イスフィールもイスフィールなりにがんばっているんだ。僕らも負けないように調査に行こう。」
何の勝負だとつっこみたくなったが、こういうところだけはカッコイイなと思い、双子の兄の背中を追いかけた。
* * *
伝言というのはもちろんうそ。
「本当!?イール、僕の家に来てよ!それで、その話を教えて。」
しかし、トライドは、もうすっかり信じてしまっていた。
そして、半分引きずる感じで、イスフィールを自分の屋敷に連れて行った。