エルフ族ヒト型単一雌性生物種による「美」の支配と文化寄生
エルフという生き物は特異な生き物である。この世の人型生物の中で最も美しいとされ、この世の男であれば1度でいいから抱きたいと思い、会う為だけにこの世界の富の30%もの財産が消費された時代すらある。
そのような時代ほどこの異世界の現代は無法ではないが、未だにその美女伝説は各地に残る。
しかしながら気になるのは女性のみの種族であるということだ。女性のみで何故現代まで生きのびることが出来たのか。それはエルフという生物に刻まれた生存戦略が雌雄を持つ生物と全く違うからだ。
彼女達の生存戦略は言わばヒトのオスに寄生する寄生生物に近い。
これは彼女達がヒトと違い無月経であることと驚く程に長寿であることから推察した結果だ。
そもそも寄生生物は宿主に寄生出来なければ死んでしまう。それが繰り返されれば種としては断絶してしまうだろう。しかしながら寄生生物は1度寄生してしまえば、生物の3大欲求のうち食欲と睡眠欲といった2つのリソースが必要無くなるのだ。故に蟯虫や有鉤条虫などはその限られた身体リソースを繁殖の為だけに発展させ、生き残ってきた。
一方でエルフ達は進化の過程でメスだけが生まれ、常に繁殖できるように無月経に進化してきた。これはオスを産むというリソースを排除し、合理的に進化した結果だ。
オスを産むということは、個々の形質の変化を産むことで遺伝病や伝染病の致命的な感染爆発を抑え込む事に有利に働くが、魔法が一般化したこの世界では遺伝病は魔法で治し、伝染病は「クリーン」の魔法で伝染を防ぐことが出来る。故に例え種の形質が全て同じであってもある程度の生存は可能だ。だからこそ必要のないオスというリソースを削り、ヒトという類似生物の子種を使い(あるいはヒト文明の男に寄生、男性リソースを簒奪することで)発展した。
そして、気になるのはオスを産むというリソースをエルフ達がどこに回したか、である。それは言うまでもなく寿命と魔法であろう。
エルフの平均寿命は1000年とも500万年とも言われており、詳しいことは分かっていない。しかしながら、彼女たちが寄生生物である以上繁殖にリソースを回すのは確実であろう。個々の個体を長寿命化させることで、ひとつの個体が生涯でヒトのオスという限られたリソースに出会う回数を増やし、1個体の繁殖回数を増やすのだ。そうすることで集落は0~何万歳もの個体で溢れ、何もしなくても人口は増え続ける。
そして、彼女達の体つきもヒトに好まれるよう淘汰されてきた結果だ。
人類よりも長身で、細い手足に美しい爪。尖った耳や澄んだ瞳に、潤う唇。男であれば触れてみたいと思うほど柔らかに弾む大きな胸は、多くの芸術家ですら表現できない至高の美しさとされる。
さらに言えば彼女達の生活様式も全て繁殖の事が最優先されている。
エルフはある一定の人口を超えるとさながらミツバチのように「分蜂」することで知られている。
これらは同一個体のヒトのオスから何代にも渡って子種を受け取ること(近親相姦)を防止するための仕組みと私は考える。
なぜなら同一集落(集落のことはクランと呼ぶ)のエルフ達はみな口を揃えて同じタイプのオスを好きになるからだ。
これらは無意識的に遺伝子の相性を選択するヒトの雌雄と同じように遺伝的多様性を持つ事で、死産や障害児出産を防ぐ生物的本能と言えるだろう。
そして、同一クランでまた人口が増えれば、同じタイプが好きなエルフが固まり、新たなクランを作る。こうしてエルフは生存してきたのだ。
そして、さらに特異なのは彼女達がある一定の周期でヒトの前に現れることである。
その周期は約1000年から1500年ほどであり、そのほとんどの個体が王族貴族の庇護を受け、ある日忽然と姿を消している。
それらの事案を記した書物は、多くの場合恋物語として記されるが、エルフの女は誰かと結ばれることも、関わろうとすることも、子を産むこともなく姿を消すといった記載が多い。
そしてどの物語でもエルフは絶世の美女とされ、エルフと結ばれることは何千人もの男たちの垂涎の的となり、現代にもその美貌が伝わっている。
まず、男であれば貞淑で魔法を自由自在に使いこなし、知恵も回る彼女達に惚れるなという方が難しい。
しかしそれこそが彼女達の生存戦略の核心であるのだろう。
人の好みというのは移ろいやすい。バロック期の美術品がルネサンス期では時代遅れと言われるように、ヒトは短い人生の中で気ままに美醜の価値観を変えてしまう生き物だ。だからこそ彼女達の中で選ばれたある個体がヒトの前に現れることでヒトの中の美醜の価値観を固定するのだ。
何万年も続いたヒトの文化的歴史の中で、唯一不変の美しさと称えられるのはエルフの身体のみである。
これらの事項を根拠にこの不自然な永遠の美しさを持つエルフのことを、私は「寄生生物」と称した。
寄生生物の中には宿主の行動を操る生物が存在する様に、彼女たちエルフ族ヒト型単一雌性生物は終宿主である人類の「美」の価値観を操り、自らを求めるように人類を作り替えたのだ。
彼女たちの甘い香りのする髪も、触れれば柔らかく沈み込む胸も、至上の快楽を生む雌の肉襞も、全てがエルフを至高の存在たらしめる道具に過ぎないのだ。
この結論が正しいかどうかは分からない。しかしながら、彼女達の不自然な美貌の前では、それはどうでも良いことなのかもしれない。
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