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【外伝・大学生編】第3話『継がれた声、図書館の奥で』


 


澪が大学附属図書館での実習に参加し始めて、三日目。

閲覧スペースの奥、古文書が眠る“旧蔵書区画”での作業中に、彼女は不思議な感覚に包まれていた。


積み上がった箱の中から、ふと一冊のファイルを手に取ったとき――


「……この紋章、見たことある」


澪の指先が、表紙に描かれた金色の刻印をなぞる。


それは、かつて王都ルヴィエールで彼女が過ごした玉座の間。

王宮の大広間に燦然と掲げられていた《双翼の竜》の紋章と、まったく同じものだった。


──なぜ、こんなものがこの世界にあるの?


そう思うと同時に、澪の頭の奥に、ふわりと“声”が響いた。


『お前の記憶は、消えてなどいない。継がれてきたのだ、ずっと……』


澪は、静かに本を開く。

そこには、こう綴られていた。


 


『ルヴィエール王国最後の記録──継承者の書』


“最後の戦火のあと、王都は再建され、

新しき王たちによって、新歴が刻まれた。


だが、その礎にあったのは、

交際0日で契りを交わし、命運を変えた【少女と魔王】の物語だった――”


 


澪の胸が高鳴った。


やっぱり、ここに“残っていた”んだ。

私と、あの人の物語が。


そして、今を生きる子孫たち――

リアムやフィリア、アシリアやリュシアンたちが紡いだその記録が、

教科書ではなく、“誰かが残してくれた手書きの記録”として、目の前にある。


 



実習が終わったあと、澪はその記録の一部をデータ化する作業を手伝った。

だが、その日の帰り際――


資料整理室の奥の書棚に、ひとつだけ“記録にない”箱が残されているのを見つける。


「……あれ?」


近づいたその瞬間。


箱の隙間から、澪は“あの声”を確かに聞いた。


『澪。まだ……君の物語は、終わっていないよ』


 


──次回、第4話『記録の扉、その先へ』

澪は、“記録にない箱”の中に眠る《ある手紙》を発見する。

それは、現実世界に届いた、誰かからの“呼びかけ”だった――



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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