第73話 開戦の号砲──王都決戦、炎と雷と刃と
王都ルヴィエール、その城壁を望む丘陵地帯にて。
空を裂く咆哮のような音が、開戦の合図として響き渡った。
列国連盟《十柱の影》が送り込んだ軍勢は、闇色の旗を翻しながら進軍を開始。
敵兵の数はおよそ八千。王国軍の倍以上。だが、彼らには――
「全軍、配置につけ!第一から第五小隊、任務開始!」
号令と同時に、五十人の王国兵が戦場を駆ける。
それぞれの小隊が、それぞれの役割を担い、各所で激突する。
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「っ――くっ、もう来た!?早すぎる……!」
火線の先、赤い魔力を帯びた魔導師が咆哮する。
その名はレフィア・ファルネーゼ。かつて“炎の魔導士”と呼ばれた祖母の名を継ぐ少女。
「ならば、迎え撃つまで!」
彼女の杖が天を指し、赤き魔方陣が空に広がる。
同時に、彼女の隣で雷光が瞬いた。
「レフィア、援護するぞ。……雷は、すぐそこだ」
ユウゴ・ストレイ。雷の剣を携えた、剣の継承者。
その剣先が雷を引き、レフィアの火焔に重なる。
――雷火連斬・双嵐
雷と炎の力が、一点に集中し、迫る敵兵の中央を吹き飛ばした。
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一方、後方にて。
「水流術式、展開――《流水輪盾》!」
冷ややかな声が響く。サラ・フェリアンの術が、仲間を護る水の盾となり敵の矢を弾く。
彼女の後方では、ナオミ・エデルバッハが冷静に地図と連絡網を整え、戦況を読んでいた。
「第三小隊、敵右翼に突破口発見。遊撃、急げ!」
瞬時に指令が伝えられ、影のごとき兵たちが動き出す。
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前線中央。巨大な盾が砦のようにそびえる。
「――俺の後ろに、誰も行かせない。それが俺の役目だ」
ヴァンス・ラグナ。一歩も退かぬその姿は、まさに“鉄壁”。
敵の槍が降り注ぐ中、彼の盾は一歩も揺るがなかった。
その脇を、疾風のような弓が駆け抜ける。
「援護、入るぞ……!」
リヒト・グレンの放つ矢が、敵の指揮官の兜を貫く。
「先に撃てば、負けない」――それが彼の信条。
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戦場の混乱の中、五十人の王国兵たちもまた、自らの任務を果たしていた。
•第一小隊は城門前で防衛を
•第二小隊は後方支援に徹し
•第三小隊は敵陣奥深くを撹乱し
•第四小隊は魔術砲撃を展開し
•第五小隊は敵司令部へ潜入を試みる
すべては、勝利のため。
そして、未来を継ぐ者たちのために。
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その頃。誰もいない高塔の屋上。
風に混じって、微かに響いた“声”があった。
――「……聞こえる? 大丈夫。あなたたちは、きっと勝てる」
それは、百年前の英雄、澪の“声”だった。
空を見上げた継承者たちの背を、確かに押した。
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この戦いの先に、どんな未来が待つのか。
だが今はただ、王都を――仲間を――守るのみ。
そして、戦場に雷鳴が落ちた。
──続く。
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