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第69話 別れの前に、遺すもの──最後の地、花が咲く場所へ


◆序章:最後の試練の地へ


王都ルヴィエールを旅立ったのは、夜明け前だった。


澪とセラフィナ。

彼女たちは、地図にも記されぬ“契約の終着地”――

《フローデルの谷》を目指していた。


それはかつて、澪がグラディウスと“初めて本音を交わした場所”。

花が咲き乱れる、命の巡る土地。


「……ここで、全てが始まった気がする」


「なら、ここで終わらせるのも……悪くないわね」


 



◆第一章:王国に残る者たち


その頃。王都では、それぞれの仲間たちが、澪への思いを胸に語っていた。


 


●【アリアとユリウス】

「母のこと、幼い頃に聞いたわ。でも、今やっと実感してるの。

“この国を救った花嫁”が、本当に帰ってきたんだって」


「アリア……それを、君が今度は託していく番だよ」


 


●【リアムとフィリア】

「彼女がいたから、俺たちもこの国で戦えた。

……俺は、それを忘れない」


「私も。“守られた命”を、次に“守る側”へ渡さないと」


 


●【十人の仲間たち】

・リヒト「帰ってくる場所を、俺たちで守ろう」

・メリア「ちゃんと見送れる強さ、持たなきゃね」

・カリム「彼女の記憶は、癒えない傷を包む光だった」


 


●【五十人の王国兵】

 最年少のフィルは、空を見上げて呟いた。


「……俺たち、もう一度、守ってみせるよ。

今度は、澪様が“帰る場所”を」


 



◆第二章:セラフィナの願い


フローデルの谷に着いた澪とセラフィナ。


そこは相変わらず、風がやさしく、

季節外れの花が咲いていた。


 


「ねえ、澪」

セラフィナがぽつりと口を開いた。


「私、昔は“世界なんて壊れてしまえばいい”って思ってた。

でも今は……守りたいものが、できた」


 


「あなたがそう思えたことが、私はすごく嬉しいよ」


 


ふたりは手を取り、最後の契約の陣に歩み寄る。


“双花の契約、ここに完了す”


空に光が差し、谷全体が温かな魔力で満たされていく。


 



◆終章:別れの時、そして“明日へ”


澪の身体が、少しずつ透け始める。


セラフィナは目を見開き、叫ぶ。


「えっ……まさか、もう!?」


「うん。でも大丈夫。ちゃんと覚悟してたから」


 


「でも――っ! こんなの、急すぎ――」


「セラフィナ、お願い。笑って見送って。

この記憶を、誰かに伝えて。

“この世界を、愛した少女”がいたってこと」


 


涙を堪えながら、セラフィナは頷く。


「……また、会えるよね?」


澪は微笑んで、空へと手を伸ばす。


「うん。また“物語”が始まったら、きっと――」


 


光が弾けた。


澪の姿が、花の光に包まれて消えていく。


 



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