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第67話 契約者の影──初陣、セラフィナの咆哮


《対連盟戦・前哨編》へ…


◆序章:夜を裂く黒の雷鳴


王都ルヴィエールの空に浮かぶ、黒の召喚陣。

そこから降り立ったのは、一人の男だった。


全身を黒い礼服で包んだその姿は、

列国連盟・第六座“黙示の執行者”――イシュマエル=ラグナス。


その足元に現れたのは、召喚された数体の魔獣。

しかし、それは陽動に過ぎなかった。


「標的は……“ふたり”とも、殺す。これが命令だ」


無表情のまま、イシュマエルは短剣を構える。


 



◆第一章:迎撃、双花の刃


王都守備隊が展開するより早く、澪とセラフィナは駆けた。

刻まれた“契約紋”がふたりを導く。


 


「敵の魔力、かなり高い……。でも、逃げられない」


「逃げる気なんてないわよ」


セラフィナは冷たく言い捨て、魔術陣を展開。

その背には、黒と紅が混ざった“幻の羽”が広がっていた。


「影に触れるなら、焼き払うだけよッ!」


 


澪も負けじと、記憶魔術を発動。

彼女の呪文が、魔獣の動きを封じていく。


ふたりの呼吸は、もはや完全に一致していた。


双花、開陣。


陣形・“百年花の誓い”――


 


その瞬間、光と闇の混じる魔法が放たれる。


 



◆第二章:イシュマエルの“執行”


「なるほど……契約魔法と召喚術を、ここまで使いこなすとは」


イシュマエルは冷笑したまま、自身の影から“刃”を生む。


「だが、神に背いた者に未来はない。

今、ここで“執行”する」


 


彼の魔術は“影を喰う”術。


澪とセラフィナの影が削られ、動きが鈍る。


 


「セラフィナ、集中を!」


「言われなくてもわかってるっ!」


セラフィナは内なる力を呼び起こす。

心の中で、かつて“否定された少女”だった自分を、今、赦す。


 


「私は、“もう一人の花嫁”なんかじゃない!

私は――この世界に、愛された一人の少女だ!!」


 


その瞬間、紅い光が彼女の体から噴き出した。


紅焔魔装こうえんまそう・セラフィナ”


彼女自身の“感情”が魔力として覚醒し、

影の刃を焼き払っていく。


 



◆終章:影の敗走、共鳴する未来


セラフィナの一撃に、イシュマエルは片膝をつく。


「……なるほど。これが、“心”の魔力か」


彼は一言、呟いたあと、影へと姿を沈めていった。


「執行は未完。だが、“理解”は得た。次こそは完遂する」


 


澪とセラフィナは崩れ落ちるように座り込む。


「……ふう。まさか、こんなすぐ来るとは思わなかった」


「でも……次は、もっと強いのが来るわ」


それでもふたりは微笑み合った。


「大丈夫。だって――私たちはもう、“ふたり”だから」


 


王都の夜が明けていく。

黒の召喚陣は消滅し、しかしその“幕開け”は、すでに始まっていた。


 



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