第62話 再召喚の衝撃──動き出す王宮と、秘められた意図
◆序章:再召喚、王宮に知れる
その報は、瞬く間に王都全域へと広がった。
「“始まりの花嫁”が──澪様が、帰還されたと?」
王宮の中央執務塔。
長老会議の議場には、重鎮たちの動揺が満ちていた。
「本物なのか? 偽者という可能性は?」
「いや、確認した記録保管室の管理者が言っていた。
《封じられた書庫》が反応したのだ。“本人”である可能性が極めて高いと」
やがて一人の若き王族、
王国軍第一師団長のアルト=ルヴィエールが立ち上がる。
「澪様が戻られた……それが事実であれば、
この国にとっての《奇跡》だ」
しかし――議場の隅で、渋面を浮かべる男がひとり。
名は、クロス=ギルデン。
保守派の長老であり、“神の加護による旧秩序”を重んじる者。
「だが我々は忘れるべきではない。
あの女が現れたことで、“世界は一度破壊された”ことを」
会場に冷たい空気が走った。
「……ならば、今回の召喚は“再びの崩壊”かもしれぬ」
⸻
◆第一章:澪、迎えられる
一方その頃――
澪は王都北門の迎賓殿にて、控え室にいた。
記憶はある。けれど、戸惑いもある。
「……あの人たちは、もう居ないのよね。
アリアも、ユリウスも……セレナも、ユウも」
だが扉がノックされ、現れたのは見覚えのある姿。
「ミオ様……こちらへ」
そう言ったのは、
老いた護衛長――マルテ=グレイ。
彼はかつて、アリアの時代に仕えていた最後の“生き残り”だった。
「あなた様に、お会いできるとは……生きていてよかった」
涙ながらに頭を下げるその姿に、澪は何も言えずただ頷いた。
そこへ駆け込んできたのは、兵士のカイと記録係ミア。
「澪さん! 王宮が、すぐにあなたに会いたいって!」
「やっぱり……向き合わなきゃいけないのね、これも」
澪は静かに立ち上がった。
⸻
◆第二章:議会と、裏の囁き
王宮では、すでに裏の動きが始まっていた。
長老・クロスは私室にて、“ある文書”を広げていた。
それは100年前、王国を揺るがせた《禁じられた記録》の断片。
『澪は、世界を“書き換えた”。
神の秩序を否定し、人間の手で再編した。』
クロスは唇を歪めて呟く。
「そんな存在を、再びこの世界に許してよいのか?
……ならばいっそ、召喚された直後に――」
だがその瞬間、部屋の奥から声がした。
「……その続きを言ったら、お前を消すぞ」
現れたのは、かつて王国兵だったレン=グレイバー。
隠密となって今も王家に忠誠を誓っている老剣士だ。
「澪様を傷つける者がいれば、俺が斬る。
……それが百年越しの誓いだ」
⸻
◆終章:再会の扉、開かれる
夕刻。
澪は王宮へと歩いていた。
城門前で、王国騎士たちが一斉に頭を下げる。
「……“始まりの花嫁”、澪様」
その光景に、澪の胸は締めつけられるように熱くなる。
けれど、迷いはない。
「私は……また、この世界を信じたい。
もう一度、誰かのために立ちたい」
そして扉が開く。
百年ぶりの――王宮との再会。
その奥に待っていたのは、ただの“過去”ではなかった。
次なる波乱と、新たなる敵意が澪を待ち構えていた。
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