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【外伝・高校三年生編】 第2話『あの世界の“その後”を探して』


 春野澪は、図書館通いが日課になっていた。


 放課後、制服のまま地下の資料室にこもって数時間。

 文献、古本、大学論文の寄稿記事──

 あらゆる媒体を通じて、ただひたすらに“あの世界”の“その後”を探していた。


 見つかる記録は、ほんの断片。


 リアムとフィリアの統治は王国に繁栄をもたらし、

 双子の子どもたちは聡明に育ち、“百年後の記録”にもその子孫の名が刻まれている。

 そして、時折、名もなき“来訪者”の影が歴史の片隅に記されていた。


 “澪”の名は、ほとんど出てこなかった。


 でも、それでよかった。


 彼らが幸せに、そして、平和に生きていたという“証”だけで、胸がいっぱいになった。



 ある日、澪はとある大学の研究データベースにたどり着いた。


 〈空想王国における継承者と来訪者の系譜〉──という奇妙な論文の一節。


 それは、誰もが“物語”として扱うような世界に、微かな“現実”の裏付けを探ろうとした、若い学者の試みだった。


 


 > 「実際に“夢”として記憶されているケースが、複数確認されている。

 > しかもそれらは、時代も場所も異なるにも関わらず、“王国ルヴィエール”という同一名称を共有している」

 >

 > 「なかには、“自分の名前が記録にあった”と語る証言者もいる。

 > 彼らは“戻ってきた”後、元の世界で再び“あの記録”を探し始めるという」


 


 澪の心臓が跳ねた。


 それは、まるで“自分と同じ存在が、この世界に他にもいる”と語っているようだった。


 


 「……他にも、いるの……?」


 “帰ってきた”人たちが、私だけじゃなかったなら。


 この記憶が、空想や事故の後遺症なんかじゃなく、確かに“誰かとつながっている”ものなら──


 私は、この世界で、もう一度あの世界と出会えるかもしれない。



 その夜。


 澪は自分の部屋で、机の上に地図を広げた。


 ルヴィエールという国の場所はわからない。

 でも、世界中のどこかで、それを信じた人たちが記録を残してきた。

 そしてそれは、“たった一人の旅”じゃなかったのかもしれない。


 


 「……私、きっともう一度会いに行く。みんなの“その後”に」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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