第55話 始まりの祭壇──語られなかった“世界の仕組み”
◆序章:彼方の祭壇、到達
雲海を越え、断崖を登り、霧の裂け目を抜けた先――
セレナとユウが辿り着いたのは、
“世界のどの地図にも記されていない”秘境の地だった。
空は銀色に輝き、大地には黒曜石の塔がそびえる。
風が吹くたび、空間そのものが震えているように感じる。
中央にあったのは――
《始まりの祭壇(アルテ=ヴィラリア)》
王国でも神話でも語られなかった場所。
だが、それは明らかに“この世界のすべてを見ていた地”だった。
セレナの持つ水晶が光を放つ。
そして、かつてアリアの声が封じられた記録が、石碑に反応し始めた。
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◆第一章:アリアの声、封印より蘇る
『私は、アリア・グラディウス=ユリウス。
魔王と人の血を引き、この世界で新しい命を繋いだ者です。』
その声は、凛と響き、優しく包み込む。
『この場所──“始まりの祭壇”には、
世界の根幹、《輪廻の仕組み》が刻まれています。』
セレナとユウは目を見開く。
アリアの声は、記録の奥へと導くように続けた。
『私たちはずっと、“世界に選ばれた”と思っていた。
でも、それは違った。
私たちの出会いも、死も、再会も、……始めから“設定されたもの”だったの』
『この祭壇には、“神”が介入した痕跡がある。
澪が召喚された日から、魔王が世界に現れた時代まで。
すべて、“再構築された時間”だったの』
ユウが呟く。
「つまり……すべては偶然じゃなかった……?」
セレナは小さく震えながら、アリアの言葉に耳を傾ける。
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◆第二章:“神々のコード”と、澪の運命
アリアの声がさらに続く。
『神々は、《記録世界》を繰り返し書き換えた。
異世界から人を召喚するたび、魔王を創り、勇者を立て、
世界を救う者と滅ぼす者を入れ替えた。』
『澪が来たのも、選ばれたのも、愛したのも――
すべてはこの“神々のコード”に従ったプログラムだったの。』
セレナは絶句する。
「……じゃあ澪は……“自由意思”で愛したんじゃなく……?」
『いいえ。違うの。』
そのとき、別の声が割って入った。
少女の声。柔らかく、でも確かな意志を宿した声――
制服姿の澪が、光の中に再び現れた。
「私は、自分で彼を選んだ。
運命に書かれていたからじゃない。
……私は、彼を“好きになったから”あの道を選んだの」
澪の手には、赤く染まった古い日記帳が握られていた。
『神々が決めたプログラムの上でも、
“その中で、私たちは確かに生きていた”んだよ』
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◆終章:選び直す未来と、ふたりの決意
セレナはゆっくりと口を開く。
「澪さん……私、あなたの記録をずっと追いかけてきた。
でも、ようやくわかった。
私はもう“あなたを追うだけの存在”じゃない」
ユウも剣を抜き、祭壇に跪く。
「“選ばれる者”じゃなく、自分で“選ぶ者”になる。
……それが俺たちの使命だ」
澪が頷いた。
「じゃあ、あなたたちにこの鍵を託す。
“再構築の権限”。神のコードを上書きできる唯一の力」
セレナとユウの手に、赤と蒼の光が宿る。
『あなたたちはもう、“記録される者”ではない。
世界そのものを書き換える者。――継承者よ。』
そして空は揺れる。
新たな世界の扉、《第五の転生地》が開かれようとしていた。
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