表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/123

【外伝1話】 『目覚めた世界は、知らない天井だった』


高校二年生の春野澪が異世界で亡くなった後の

現実世界に戻ってくるお話です。1話にて記載があります。


外伝シリーズ『記録の向こうで、君は生きていた』


 “光”が、全てを包んだのは――放課後の交差点だった。


 高校二年生の春野澪はるの・みおは、いつもの帰り道。赤信号で立ち止まり、ふと空を見上げたその瞬間だった。


 視界が、真っ白になった。


 音もない。風もない。ただ、白い――“光”だけが、澪を包んだ。


 次に意識を取り戻したとき。


 澪の目に映ったのは、無機質な蛍光灯と、清潔な白い天井だった。


「……どこ、ここ……」


 頭が重い。身体が動かない。


 だけど、その問いよりもずっと早く、涙があふれた。


 意味もなく、理由もなく、ただ――涙が止まらなかった。



「澪! 澪! 目が覚めたのね、よかった……!」


 母の泣き声が聞こえた。

 病院の個室、医師が何度もこう説明した。


 「交通事故です。信号無視の車が交差点に進入し、澪さんは避けようとして転倒、頭部を強く……」


 でも。


 “違う”と、澪は心のどこかで思っていた。


 事故? 本当に?

 でも私、覚えてる。“剣の音”。“夜の焚き火”。“空を翔ける翼”……。


 あれは夢だったの?


 それとも――



 退院は一週間後だった。


 日常に戻るはずだった。けれど、澪は気づいていた。


 学校の音、クラスメートの声、教科書のページをめくる感触。

 どれもが“遠い”。少しだけ、色が褪せて見える。


 授業中、何度もノートの隅に書いてしまう。


 ──アリア

 ──王国兵

 ──ルヴィエール

 ──リアム

 ──フィリア


 「……誰、だろう」


 名前の意味は思い出せない。けれど、確かに“知っていた”。心がそう叫んでいた。



 そんなある日。


 放課後の図書室で、澪はある一冊の本を見つけた。


 ──『空白の年代と異界の来訪者』。


 興味本位で開いたそのページに、彼女は息を呑んだ。


《異界から現れ、王国の運命を変えた“少女”の記録。

その名は、“澪”と記されている。》


 目を疑った。


 そこには、自分の名前が、物語ではなく──“歴史”として、書かれていた。


 「……嘘……でしょ?」


 澪は、本を抱えるように閉じた。


 心臓が、痛いほどに鳴っていた。



 私は、あの世界で――

 本当に、生きていたんだ。


 物語は、終わっていなかった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ