表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/123

第39話  ──神なき戦場(後編)──勝利の代償と夜明けの誓い


 夜明け前。

 王都ルヴィエールの空は、深い闇に包まれたままだった。


 その地を這うのは、加護封殺兵の残骸。

 魔力の痕跡すら吸い取られた大地。

 そして、泥に塗れ、血に染まった兵士たちの姿だった。


 


 ◇ ◇ ◇


 


 だが。


 「――撤退だ」


 異界に開かれた門の向こうで、ヴァイルの冷たい声が響いた。


 加護封殺兵たちは、命令を受けたように動きを止め、次元の歪みへと引いていく。


 その異様な静寂の中、王都の防衛戦は終わりを告げた。


 


 ◇ ◇ ◇


 


 アリアは、崩れ落ちるように膝をついた。


 「……終わった、の……?」


 ユリウスがそっと肩を支えた。


 「いや、これは“始まり”だ。だが……少なくとも今は、生きている」


 


 その瞬間、後方からひときわ大きな歓声が上がった。


 「戻ったぞ! 南門隊、全員無事だ!」


 「東防衛線も、負傷者はいるが死者なし!」


 「北壁隊、レン小隊も全員生存!」


 


 ◇ ◇ ◇


 


 信じられなかった。


 この死と隣り合わせの夜を越えて、

 ――還らぬ人は、誰ひとりとしていなかったのだ。


 深手を負った兵は多く、再起不能となった者もいた。

 だが、命を落とした者はいなかった。


 


 それはまさに、“奇跡”だった。


 


 ◇ ◇ ◇


 


 バルグが無言で盾を置き、仲間の肩を抱く。


 リィナが泣き笑いのままメルアと抱き合い、

 セリオが震える手でナリアの手を取った。


 「……これが、“生きる”ってことだよな……」


 


 グラディウスは、静かに剣を納めると、戦場の中心で立ち尽くすアリアに近づいた。


 「よくやったな。俺たちの世代では、こんな戦いはできなかった」


 「……私だけじゃない。みんなが、“信じて、守ってくれた”から」


 


 ◇ ◇ ◇


 


 夜が明けてゆく。


 東の空に、初めて太陽が昇った。


 それは、加護も魔力も関係ない――“本物の夜明け”。


 


 アリアは、リアムとフィリアをその手に抱きしめながら言った。


 「ねえ、覚えていて。今日という日を。

 “絶望が迫っても、人は希望をつなげる”ってことを」


 


――神の奇跡でなく、人の誓いが世界を救った。


 


 この防衛戦は、後にこう呼ばれることになる。


 《奇跡なき勝利》


 そしてそれは、真の戦い――

 神と人の“境界線”を越える物語の、序章にすぎなかった。


 


──次章【聖域編】へ続く。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ