第37話 ──神なき戦場(前編)──“加護封殺兵”襲来
王都ルヴィエールの空が、淡い灰色に染まった。
それは“神の加護”が希薄になる前兆――
異界より侵入してくる“加護封殺兵”の兆しだった。
◇ ◇ ◇
即応部隊が集結する城壁上。
そこには、かつてアリアと共に戦った十人の仲間たち、
そして王国から選抜された五十人の精鋭兵士が整列していた。
中でも目立っていたのは、以下の数名の兵士たち――
◆【五十人の王国兵:主な登場人物】
・レン=カーディアス(24)
元辺境出身の斧兵。鍛え上げた肉体と実直な性格で仲間からの信頼も厚い。
・リィナ=フェルノア(20)
弓術に優れた女性兵士。冷静沈着だが仲間思いで、特に新人兵に優しい。
・バルグ=トーレン(32)
盾兵。かつてグラディウス配下の部隊で副長を務めていた歴戦の男。無口だが頼れる壁。
・セリオ=ミルダン(18)
最年少の魔導兵士。呪文詠唱と機動力の速さに定評あり。実はフィリアの魔法教師の弟子。
◇ ◇ ◇
「敵接近、北門上空に異常魔力反応!」
ユーフェミアの叫びと共に、王都上空の空間が裂ける。
そこから落ちてきたのは、無数の黒い装甲兵。
肌もなく、声もない、だが剣を携えた“人型兵器”――加護封殺兵。
「この戦い、普通の戦術じゃ通じない。奴らは“神の加護”を“吸収”して無効化してくる!」
カイルが叫ぶ。
「つまり、癒しの術も防御加護も通じないってこと……!」
◇ ◇ ◇
「第五小隊、迎撃を開始! 援護に回るのは第三!」
即応部隊を率いるアリアの号令が響く。
バルグが盾を構え、真っ向から黒兵を迎え撃つ。
「構えろォォオ!! 抜かせるな!」
レンが巨大な斧を振るい、リィナが頭上から正確に矢を放つ。
セリオは詠唱魔法で敵を牽制し、後衛の護衛を補助する。
――しかし、敵は止まらない。
「回復魔法が効かない!? 傷が塞がらない!」
「呪いのように、魔力が“吸われていく”……!」
それでも――
「ならば、加護などなくても、俺たちは立つ!」
レオンが叫ぶ。仲間たちが応える。
アリアは、王妃としてでなく、“戦場の先頭”に立った。
「この王都は、誰にも渡さない。
たとえ“神を殺す兵”が相手でも、私は立ち続ける!」
◇ ◇ ◇
そして、そのときだった。
「南門に異変! 第二波が現れました!」
即応部隊が分断されようとしていた。
敵は、あらかじめ王都の境界を分析し、戦力分断と加護遮断の二段戦術を仕掛けてきたのだ。
アリアは叫んだ。
「全軍、次元術式ポイントへ移動! 分散せず、力を一箇所に集める!
これが、王都ルヴィエールの底力だって見せてあげなさい!」
──第38話へ続く。
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