第36話 ──動き出す影──列国連盟議長“ヴァイル”の策略
王都ルヴィエール、夜。
神殿地下牢の中で、元第四小隊副隊長ゼイラスは壁にもたれかかりながら、誰に向けるでもない呟きを繰り返していた。
> 「ヴァイルが動き出す……あの男が……」
アリアは、牢の前に立ったまま、その名を静かに口にした。
「……“ヴァイル”。それが、列国連盟の議長の名……?」
ゼイラスは苦笑した。
「名など意味はない……あれは、ただの“人”じゃない。もはや、“神を殺したいだけの意志の塊”だ」
◇ ◇ ◇
そのころ、遥か遠方。
列国連盟の中枢都市、地下層にある禁忌議会の中。
漆黒のローブに包まれた男が、灰色の仮面を外した。
整いすぎた顔立ち。人のものとは思えぬ冷たい瞳。
――それが、ヴァイル・グラディオン。
列国連盟を率いる“破壊の王”。
「神々は人に奇跡を与えたが、平和を与えはしなかった。
ならば、我が手で“神の概念”を地上から抹消する」
彼の前に跪く一人の戦士が、静かに問うた。
「ヴァイル様。いよいよ“地の封印”に手をかけるのですか」
「当然だ。“鍵”はそろった。あとは、“光の血統”を完全に引き出すだけ……」
そして映し出された魔法陣の投影には――
リアムとフィリアの姿が映っていた。
◇ ◇ ◇
王都側では、再編された十人の仲間たちが集まり、
新たな防衛線《次元境界式》の構築を開始していた。
それは、ヴァイルが用いる“空間歪曲”による侵攻を防ぐための術式。
「侵入者が次元を曲げて潜入してくるなら、こちらも“空間を固定”して閉じ込めればいい」
カイルがそう言いながら、魔導術陣のコアにフィリアの紋章を重ねた。
◇ ◇ ◇
その夜、ユリウスとアリアは、子どもたちを抱きしめながら話していた。
「……私、もしも私の加護がフィリアやリアムの命を危険に晒してしまったら……」
「アリア」
ユリウスがその手を取る。
「それでも、君は“この世界に光を遺した”。だからこそ、この子たちは生きている」
アリアの目が潤む。
「……なら、守らなきゃね。“ヴァイル”の呪いごときに、未来を渡すわけにはいかない」
◇ ◇ ◇
一方、再び暗転するオルディスの地下。
ヴァイルは、自らの右手に“光の加護”の欠片を注入していた。
「……光は美しい。しかし美しいものほど、破壊の価値がある」
彼の瞳に宿るのは、狂気にも似た静けさ。
「さあ、継承者よ。
次の幕は――“神すら欺く戦場”だ」
──第37話へ続く。
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