第34話 ──列国連盟、真の目的──“神殺し”計画と選ばれし継承者
夜。王都ルヴィエールの王城地下にある禁書の書庫──
そこは、王妃アリアと王魔ユリウスにすら「閲覧制限」が課されていた、“古の記録”の保管庫だった。
その扉を開いたのは、グラディウス。
かつて「魔王」の名を持ち、今は“影の守護者”として王国の深奥を見守る存在。
◇ ◇ ◇
「……これは、かつて神々が“人の領域”に干渉しようとしたときの記録」
澪が古文書をめくりながら、静かに語る。
「彼ら――列国連盟は、《神の加護》を“人の制御下”に置こうとしているの」
「それって……“加護を奪って、兵器化”するってこと?」
アリアの問いに、カイルが言葉を呑んだ。
「ありえない話じゃない。……模造騎士に“奇跡耐性”があったのはそのせいか」
エレナが静かに言う。
「なら……神の加護を持つ者が、最初の標的になる」
皆の視線が、アリアとユリウス、そしてその背後の――
リアムとフィリアに向いた。
◇ ◇ ◇
――“選ばれし継承者”。
それは、かつて神託によって“魔王を止める存在”としてアリアが召喚されたように、
今の時代において、“加護の継承者”としてリアムとフィリアに選ばれた存在。
だが、今度の敵は違った。
彼らは「神を崇める」のではなく――
「神の権能を奪い、支配する」。
◇ ◇ ◇
「……奴らの真の目的は、“神の座”そのもの」
グラディウスの低い声が響く。
「それが達成された時、この世界の“奇跡”も“秩序”も崩壊するだろう」
「ならば、私たちは……?」
「“世界を守る戦い”に挑むことになる」
◇ ◇ ◇
数日後、リアムとフィリアには王都の“継承学園”で特別課程が始まった。
アリアとユリウスは表向きの王務をこなしながらも、裏では“列国連盟”に対抗する体制を整え始めていた。
王都の十人の仲間たちは、それぞれの専門性を活かし、分散して諜報や迎撃、研究を進める。
一方、五十人の王国兵は、各都市に“防衛式神核”を設置し、列国の動きに備えた。
◇ ◇ ◇
その頃、列国連盟の中枢都市“オルディス”では――
仮面の議長が、巨大な円卓の前に立っていた。
「“第零計画”──《神殺し》の準備は、最終段階に入った」
「対象:神の加護を受けし存在」
「排除対象:王都ルヴィエール、王妃アリア、その血統」
円卓に座る各国の影の代表たちは、無言で頷いた。
次なる刺客は、すでに王国近辺に潜入している。
◇ ◇ ◇
そして王城。
フィリアは夢を見ていた。
そこに現れたのは、白い光を纏う“神”のような影だった。
「……世界が揺らぐ。
けれど、お前たちの“手”にこそ、鍵がある」
「あなたは……誰……?」
「私は……かつて、母君を呼び出した者。
そして今、お前たちに未来を託す者」
目覚めたフィリアは、涙を流していた。
“神は、まだ見ている。
世界が壊れぬように。
光を託した、あの家族を信じて──”
──第35話へ続く。
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