表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/123

第31話  ──次代の鼓動──集結する仲間たちと“試練の式典”



 王都ルヴィエールの朝は、どこか浮き立つようなざわめきに満ちていた。


 かつて“魔王の娘”と呼ばれた王妃アリア。

 彼女の子どもたち、リアムとフィリアが、正式に“次代の継承候補”として式典に臨む日――


 王城の広場には、十人の仲間と、選抜された五十人の王国兵が集まっていた。


 


 ◇ ◇ ◇


 


 「……まさか、俺たちがまた“この場”に戻ってくるとはな」


 長身の槍士・レオンが肩を竦める。


 「感傷か? らしくないね、あんたが」


 冷静な弓使い・エレナが呆れ顔で言うと、陽気な魔導師・カイルが笑った。


 「まぁまぁ。今回は“王子様とお姫様”の付き添いだ、いつもと違うよ?」


 彼らはアリアと共に数多の戦場を駆け抜けた、かつての王都護衛団の精鋭たち。

 今はそれぞれ独立した立場にあるが、今回の式典のために再び集められていた。


 そこへ、リアムとフィリアが姿を現す。


「みんな、準備できてる?」


「今日は“お仕事の日”だよねっ」


 子どもとは思えぬほど堂々とした足取りで現れたふたりに、

 一同が一斉に頭を下げた。


「王子、王女。式典へのご同行、光栄の極みです」


 


 ◇ ◇ ◇


 


 ――今回の舞台は、“四王国連合条約”の調印式。


 これまで敵対関係にあった東方エリゼア王国と、北方ステラ連邦との和平が目的だ。


 その調印式の前段として行われるのが、“次代継承者による模擬戦”。


 外交と武力。未来を背負う者たちが、互いを認め合い、手を取り合う儀式。


 


 「模擬戦の相手は、エリゼア王国の次期騎士団長候補か……」


 ユリウスが眉を寄せると、アリアは微笑んで言った。


 「大丈夫。うちの子たち、私の“継承”だからね。見せてあげましょう、“双光の絆”を」


 


 ◇ ◇ ◇


 


 そして、王都外縁の“練兵広場”。


 軍の精鋭50人を前に、リアムとフィリアはそれぞれの立ち位置についた。


 フィリアは魔法陣を描き、風の力を纏う。


 リアムは剣を構え、体勢を低く落とす。


「兄さま、合わせて!」


「もちろん!」


 魔法と剣の連携が、地を裂き、敵の防御を打ち破る。

 訓練とはいえ、兵たちは“王子王女の戦術精度”に心底驚いていた。


「っ……これが……魔王の血かよ……!」


「いや、“王と王妃”の教えの賜物だ。あれは“恐ろしく優しい強さ”だ」


 


 ◇ ◇ ◇


 


 夕方、模擬戦を終えたふたりの前に、

 外交使節団の少年が一歩進み出た。


「リアム・グラディウス王子。フィリア王女。……今日の君たちの姿、心に刻んだ」


 それはエリゼアの将来を担う、少年騎士セディス。


「私たちもまた、剣を収める日を望んでいる。

 この手が、もう武器ではなく、握手のためにあると信じたい」


 その言葉に、リアムは躊躇わず手を差し出した。


「じゃあ、もう握手しよう。これが、僕たちの“始まり”だ」


 小さな手と、小さな手が重なる。


 その光景を、陰から見守るふたりの老人がいた。


 澪と、グラディウス。


 


 「ふふ……この子たち、ちゃんと“選んで”るね」


 「……ああ。“守られる者”ではなく、“繋ぐ者”としてな」


 


 ◇ ◇ ◇


 


 式典は無事に終了し、リアムとフィリアは帰路の馬車の中で眠っていた。


 アリアはその寝顔を見下ろし、呟いた。


「……この子たちの未来には、たぶん、私たちの知らない試練もある。

 でも――きっと乗り越えていける。ねえ、あなたもそう思うでしょ?」


「……ああ。これは、きっといい物語になる」


 ユリウスの言葉に、アリアは微笑んだ。


 


“次代の物語は、もう始まっている。

継がれた光の、その先へ――”


 


──第32話へ続く。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ