第31話 ──次代の鼓動──集結する仲間たちと“試練の式典”
王都ルヴィエールの朝は、どこか浮き立つようなざわめきに満ちていた。
かつて“魔王の娘”と呼ばれた王妃アリア。
彼女の子どもたち、リアムとフィリアが、正式に“次代の継承候補”として式典に臨む日――
王城の広場には、十人の仲間と、選抜された五十人の王国兵が集まっていた。
◇ ◇ ◇
「……まさか、俺たちがまた“この場”に戻ってくるとはな」
長身の槍士・レオンが肩を竦める。
「感傷か? らしくないね、あんたが」
冷静な弓使い・エレナが呆れ顔で言うと、陽気な魔導師・カイルが笑った。
「まぁまぁ。今回は“王子様とお姫様”の付き添いだ、いつもと違うよ?」
彼らはアリアと共に数多の戦場を駆け抜けた、かつての王都護衛団の精鋭たち。
今はそれぞれ独立した立場にあるが、今回の式典のために再び集められていた。
そこへ、リアムとフィリアが姿を現す。
「みんな、準備できてる?」
「今日は“お仕事の日”だよねっ」
子どもとは思えぬほど堂々とした足取りで現れたふたりに、
一同が一斉に頭を下げた。
「王子、王女。式典へのご同行、光栄の極みです」
◇ ◇ ◇
――今回の舞台は、“四王国連合条約”の調印式。
これまで敵対関係にあった東方エリゼア王国と、北方ステラ連邦との和平が目的だ。
その調印式の前段として行われるのが、“次代継承者による模擬戦”。
外交と武力。未来を背負う者たちが、互いを認め合い、手を取り合う儀式。
「模擬戦の相手は、エリゼア王国の次期騎士団長候補か……」
ユリウスが眉を寄せると、アリアは微笑んで言った。
「大丈夫。うちの子たち、私の“継承”だからね。見せてあげましょう、“双光の絆”を」
◇ ◇ ◇
そして、王都外縁の“練兵広場”。
軍の精鋭50人を前に、リアムとフィリアはそれぞれの立ち位置についた。
フィリアは魔法陣を描き、風の力を纏う。
リアムは剣を構え、体勢を低く落とす。
「兄さま、合わせて!」
「もちろん!」
魔法と剣の連携が、地を裂き、敵の防御を打ち破る。
訓練とはいえ、兵たちは“王子王女の戦術精度”に心底驚いていた。
「っ……これが……魔王の血かよ……!」
「いや、“王と王妃”の教えの賜物だ。あれは“恐ろしく優しい強さ”だ」
◇ ◇ ◇
夕方、模擬戦を終えたふたりの前に、
外交使節団の少年が一歩進み出た。
「リアム・グラディウス王子。フィリア王女。……今日の君たちの姿、心に刻んだ」
それはエリゼアの将来を担う、少年騎士セディス。
「私たちもまた、剣を収める日を望んでいる。
この手が、もう武器ではなく、握手のためにあると信じたい」
その言葉に、リアムは躊躇わず手を差し出した。
「じゃあ、もう握手しよう。これが、僕たちの“始まり”だ」
小さな手と、小さな手が重なる。
その光景を、陰から見守るふたりの老人がいた。
澪と、グラディウス。
「ふふ……この子たち、ちゃんと“選んで”るね」
「……ああ。“守られる者”ではなく、“繋ぐ者”としてな」
◇ ◇ ◇
式典は無事に終了し、リアムとフィリアは帰路の馬車の中で眠っていた。
アリアはその寝顔を見下ろし、呟いた。
「……この子たちの未来には、たぶん、私たちの知らない試練もある。
でも――きっと乗り越えていける。ねえ、あなたもそう思うでしょ?」
「……ああ。これは、きっといい物語になる」
ユリウスの言葉に、アリアは微笑んだ。
“次代の物語は、もう始まっている。
継がれた光の、その先へ――”
──第32話へ続く。
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