表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/123

第22話 ──鼓動、ひとつふたつ──王妃アリア、母になる


アリアが妊娠したお話です。



 ――ある春の日の朝。


 王城の中庭で、アリアは穏やかに空を見上げていた。


 陽光はやわらかく、風は花の香りを運んでくる。

 けれど、胸の奥では小さな予感が揺れていた。


「最近、少しだけ……体が重い気がする」


 王妃としての政務、外交、民との触れ合い。

 日々は慌ただしくも、幸せだった。


 でも、ここ数日――何かが違っていた。


 


 ◇ ◇ ◇


 


 診療室。


 王家付きの医師が、そっと頷いた。


「ご懐妊です、アリア様。

 王子殿下とのお子で間違いありません」


「……!」


 その瞬間、胸に灯ったのは、喜び――だけじゃなかった。


 驚き、動揺、責任、そして深い深い幸せ。


 “いのち”というものが、自分の内で芽生えているという事実に、言葉を失った。


 


 ◇ ◇ ◇


 


 「……ユリウス、聞いてくれる?」


 その夜、月下のバルコニーで、そっと彼の袖を引く。


 ユリウスは不思議そうに振り返った。


「どうしたの? 急にそんな真剣な顔して」


「……私たち、もうすぐ“ふたり”じゃなくなるの」


「……え?」


「赤ちゃん……できたの。私たちの子」


 一瞬、言葉をなくしたユリウス。


 けれど次の瞬間――信じられないように、でも確かに、彼はアリアを抱きしめた。


「ありがとう……ありがとう……!」


「こ、こら! しっかりして、王子様……!」


「ごめん……でも、本当に嬉しくて……アリア……」


 その声が震えていた。


 彼の肩も、微かに震えていた。


 戦場で何度も命を懸けた男が、

 初めて“父になる”という未来に、心の底から喜びを溢れさせていた。


 


 ◇ ◇ ◇


 


 その夜、アリアは彼の胸に寄り添いながら、ぽつりと囁いた。


「ねえ、ユリウス。

 私、この子に――あなたみたいな強さと優しさ、どっちも持ってほしいな」


「じゃあ僕は、この子に――君のような光と意志を」


 ふたりは、まだ見ぬ命にそっと誓う。


 「ようこそ、私たちの未来へ」

 「待ってるよ、あなたに会える日を」


 


──第23話へ続く。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ